休むだけでは回復しない?心と体を整える休養の質を高めるポイント

厚生労働省の2025年度の就労条件総合調査によると、年次有給休暇の取得率は66.9%と10年連続で上昇しています。
働き方改革の影響もあり、以前より「休める環境」が整ってきました。
「より良い仕事をするためには休息が不可欠」という考え方が、社会全体に浸透してきた結果ともいえます。
一方で、仕事が忙しい人ほど休日にも仕事のことを考えてしまう、休みを取ることに罪悪感を感じてしまう人は多い気がします。
また、いざ休みになると何もしたくなくなる、あるいは休んだはずなのに翌週にも疲れが残っているという人もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、休みをただ取るだけではなく、心と体がきちんと回復するための「休養の質の高め方」について、ポイントをわかりやすくご紹介します。

「休養」とは?

休養と聞くと「休むこと」と同じ意味だと思われる方も多いのではないでしょうか。
厚生労働省は「休養」には2つの側面があると示しています。

1. 心身の疲労を回復し、元の活力ある状態にもどす「休む」
2. 明日に向けて鋭気を養い、身体的、精神的、社会的な健康能力を高める「養う」

実は、疲れているときにはあえて軽い運動や自分にとって心地の良い活動を取り入れることで、体の回復が早まるともいわれています。
「休みの日は何もしたくない」という日もあれば、「少し動いた方が気分が軽くなる」という日もありますよね。
どちらが良い悪いではなく、その時の自分に合った「休む+養う」のバランスをとることが大切です。

心と体が回復する休日のつくり方

では、具体的にどんな休日の過ごし方が「質の高い休養」につながるのでしょうか。
心理学の研究では、心身の疲労回復やストレス軽減に効果的な休日の特徴をまとめた「DRAMMAモデル」という考え方があります。
この考え方をもとに、日常生活で取り入れやすいポイントをご紹介します。

①仕事から頭を離す時間があること

休日は、意識的に仕事から完全に離れることが大切です。
仕事用のチャットやメールは見ないようにし、なるべく仕事とは関係のない場所へ行くと良いでしょう。
特に在宅勤務が多い人は、ONとOFFの切り替えが難しくなることがあります。
パソコンを閉じて通知をオフにする、音楽を流すなど、切り替えの儀式を決めておくと休日モードに入りやすくなります。

②心と体の緊張を緩め、穏やかな時間があること

平日に忙しさが続く人や、家事で常に体が戦闘モードの人は、上手に緊張を緩める方法を身につけておくと良いでしょう。
深呼吸やストレッチ、軽い運動、ゆっくりと入浴することでもリラックス効果があります。

③自分のペースで動けること

疲労の程度により、予定は詰め込みすぎないようタスクは減らし、自分で選んだ活動を優先すると休息効果が高まります。
そのときの気分や天候で自由に行き先を変えて散歩やドライブをするのもおすすめです。

④小さな達成感があること

新しい料理や趣味のスキルアップ、軽いスポーツなど、達成感を感じることはストレスに強い心を作ります。
部屋の一角だけを片付ける、短い間だけストレッチをするなど、特別なことでなくても構わないので、「少しできた」という感覚が持てると良いです。

⑤自分にとって価値のある時間があること

自然に触れたり、料理・DIYなどの創作活動をしたり、自分にとって良い時間だと感じられる活動を取り入れましょう。
余裕があるときには公園を散歩したり、カフェでゆっくり読書を楽しむのも良いです。

⑥心地よい人とのつながりがあること

家族や友人と過ごす時間や、共通の趣味を持った仲間との交流など、気を遣わない人との心地の良い交流がとても大切です。
実際に会えない場合でも、電話やメッセージのやり取りがあるだけで安心感につながります。

これら6つをすべて揃えなくてはいけないのではなく、休日の過ごし方を考えるヒントとして、できそうなものを取り入れてみることがおすすめです。
また、疲労が身体的なものなのか、精神的なものなのかによって、選ぶ活動を少し調整できると、より休養の効果が高まります。
こうした過ごし方を意識することで、翌週の疲労感や集中力、ストレスの感じ方、イライラや不安の程度が軽くなる可能性があります。

休んでも疲れが取れないのは体内時計の乱れの可能性

休日というと、つい昼まで寝て過ごしてしまう方も多いかもしれません。
しかし、実は休日の寝だめは体内時計を乱し、自律神経のバランスを崩す原因になります。
社会的時差ボケと呼ばれ、月曜日に強い疲労感が出やすくなるため、起床時間はなるべく平日と大きくずらさないことが大切です。
大きくてもズレは2時間以内に留めておきましょう。

また、朝の光を浴びることは体内時計が整えるうえで非常に効果的です。
光の刺激により交感神経と副交感神経の切り替えがスムーズになり、心身のリズムが整いやすくなります。


ご自身の疲労度や体調に合わせて、休養の方法を柔軟に選ぶことが大切です。
もし強い疲労感があるときは、無理に動こうとする必要はありません。
まずはしっかり休み、「少し動けそうだな」と感じてきたら、自分が取り組みやすいことからゆっくり始めてみましょう。

<参考>
・ 厚生労働省「令和7(2025)年就労条件総合調査 結果の概況」
・ 厚生労働省「健康日本21(休養・こころの健康)」
・ Newman DB、Tay L、Diener E「Leisure and Subjective Well-Being: A Model of Psychological Mechanisms as Mediating Factors」(『Journal of Happiness Studies』2014年15巻3号555~578頁)

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佐々木みな株式会社ドクタートラスト 保健師

投稿者プロフィール

前職では看護師として病院勤務をしていました。比較的若い方が病気により生活が大きく変化してしまう状況を多く経験し、次第に予防への関心が高まっていきました。健康的に働ける環境を整えるサポートがしたいと産業保健分野への志望を決めました。皆さまに役立つ情報を発信していきます。
【保有資格】保健師、看護師
【ドクタートラストの保健師サービスへのお問い合わせはこちら】
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