
毎年10月は、公益社団法人日本脳卒中協会が定める「脳卒中月間」です。
世界脳卒中機構(WSO)が制定した10月29日の「世界脳卒中デー」に合わせて、脳卒中の予防啓発や正しい知識の普及を目的としたキャンペーンが全国で展開されます。
脳卒中は「高齢者の病気」と思われがちですが、10〜40代の若年層でも決して他人事ではありません。
筆者が看護師として脳神経外科で働いていた際、30代で脳卒中を起こした患者さんが入院し、「もっと食事に気を付ければよかった」「たばこもお酒もやめられなかった」と後悔の言葉を話されるのを見てきました。
皆さんの周りではいかがでしょうか。
若年層の脳卒中は、自覚症状の少なさや「若いから、ただの疲れだろう」という油断から、発見や対応が遅れる危険性があります。
自分や周囲の身を守るために、リスク要因と今日からできる予防策を確認しましょう。
若年層に潜む脳卒中のリスク要因
高齢者の脳卒中の主な要因である「加齢による血管の老朽化」に対し、若年層では「生活習慣の乱れ」「過労」「一時的で急激な負荷」が大きな要因となります。
■健診結果の「放置」
健診結果で血圧、脂質、血糖、心電図等が「要再検査」「要精密検査」となった場合、その結果を放置することで、動脈硬化が進行するなど血管への深刻なダメージが大きくなります。
■過労・睡眠不足・強いストレス
長時間の労働や慢性的な睡眠不足、強い精神的ストレスは、自律神経のバランスが崩れやすく、交感神経を過剰に刺激し、血圧が下がりにくい状態が持続するため、動脈硬化の進行を早めます。
■極端な血圧変動
1日のうちで血圧が急激に上下する大きな変動や、冬季の寒暖差、入浴前後、起床時の急激な血圧上昇は脳の血管に大きな負担をかけます。
今日からできる!若年層の脳卒中予防策
若年層の脳卒中を防ぐには、毎日の生活習慣を整えて血管への負担や動脈硬化の進行を抑えることが大切です。
①まずは減塩、そしてバランスの良い食事
脳卒中の最大の原因は高血圧です。
高血圧を予防するためにまず行うべきことは、減塩です。
バランスの良い食事を基本に、野菜を1日350gなどを意識しましょう。
ラーメンやうどんなどの麺類のスープはできるだけ残し、汁物は具だくさんにして汁の量を減らすこともいいですね。
②健康診断の結果を確認し、二次健診(再検査)を受ける
「要再検査」や「要精密検査」の通知が来たら、放置せず速やかに医療機関を受診しましょう。
早期の生活改善や投薬管理が最大の予防となります。
③こまめな水分補給と適切な睡眠
長時間のデスクワーク、スポーツ時、お酒を飲む場面では意識的に水分を摂りましょう。
また、1日6〜7時間程度の質の良い睡眠を確保して自律神経を整えましょう。
④節酒と禁煙
過度の飲酒は、血圧を急激に上昇させ、脳卒中を引き起こす直接的な原因になります。
たばこに含まれるニコチンは、神経を刺激し血管を急激に収縮させるため、血圧を上昇させます。
また、たばこに含まれる活性酸素や有害物質は、血管の内側の壁を傷つけ、コレステロールなどが溜まりやすい状態を作ります。
⑤予防につながる食べ物
青魚に豊富に含まれるEPA・DHA(不飽和脂肪酸)には、悪玉コレステロールや中性脂肪を減らし、動脈硬化を防ぐ高い効果があります。
野菜や果物に多く含まれるカリウムは、体内の余分な塩分(ナトリウム)の排出を促し、血圧を安定させます。
また、ビタミンC・Eやβ-カロテンなどの抗酸化成分が血管の老化を防ぎます。
早期発見の指標「FAST(ファスト)」
若い世代でも、突然、以下のような症状が出たら「肩こり」「過労」と自己判断せず、可能なかぎり早く救急車を呼んで、病院を受診しましょう。
一時的に症状が改善しても油断は禁物です。
その症状が重度の脳梗塞の前兆であることや、危険なサインであることもあります。
Face(顔):顔の片側が下がる、口角からよだれが出る
Arm(腕):片方の腕に力が入らず上がらない、しびれる
Speech(言葉):ろれつが回らない、言葉が出てこない、理解できない
Time(時刻):すぐに発症時刻を確認して119番通報する
「若いから大丈夫」という先入観を捨てて、日頃の健康管理と初期症状への敏感な対応を心がけていきましょう。
<参考>
・公益社団法人 日本脳卒中協会「脳卒中月間10/1-31」
・厚生労働省「みんなで知ろう!からだのこと 第3回 脳卒中ってなぁに?」
・厚生労働省「脳卒中、心血管疾患に資する危険因子について」
・厚生労働省「生活習慣病などの情報(脳血管障害・脳卒中)」
・一般社団法人 日本脳卒中学会「脳卒中の予防・発症時の対応」
・一般社団法人 日本循環器学会「脳卒中と循環器病克服 第三次5ヵ年計画 ストップCVD(脳心血管病) 健康長寿を達成するために」





















