運動は自分への投資!メリットしかない運動の効果

毎日忙しい日々を過ごす中で「運動しないと」「身体を動かしたい」と思いながらつい後回しになってしまうこと多いですよね。
特に在宅ワークが中心な方やデスクワークの方は、気づけば座りっぱなしで一日が終わってしまうなんてことも。
運動は筋肉をつけるだけではなく、あらゆる効果があります。
今回は運動の効果について解説します。

現代人は運動不足?

厚生労働省の「国民健康・栄養調査(令和5年)」の結果によると、運動習慣のある者(1回30分以上の運動を週2回以上実施し、1年以上継続している者)の割合は、男性で36.2%、女性で28.6%となっています。
年齢階級別にみると男性では30代、女性では20代が最も低くそれぞれ23.5%、14.5%という結果が出ています。
20~64歳より65歳以上の高齢者のほうが運動習慣のある方の割合が高いです。
歩数でみてみると、平均で男性は6,628歩、女性は5,659歩であり、この10年で男女とも優位に減少しているという結果が出ています。

なぜ多くの方が運動不足になるのかの理由ですが、以下のような要因が考えられます。

座る時間が長い:デスクワーク中心、在宅勤務などで動かない時間が長い
運動する時間を確保できない:仕事や家事、育児などでまとまった自由時間をとるのが困難に感じやすい
加齢による活動量の低下:加齢とともに身体活動が自然に減ってしまう人もいる
幼少期からの運動経験不足:子どもの頃から運動する機会が少なかった人は、大人になっても運動習慣がつきにくい
モチベーション維持の壁:運動が健康に良いことはわかっていても、すぐに効果が現れることは少ないため、継続するのが難しいと感じる

働き盛り・子育て世代の多忙な毎日を過ごしている皆さんが最も運動をする習慣をつけるのが難しいことがわかります。

 運動のすごい効果

私たちの身体は本来動くことが前提でできています。
ですが、前述したように現代の生活はどうしても座る時間が長かったり同じ姿勢が続いたりします。
その状況が続くと、気づけば肩こりや腰痛が出現する、なんだか常に疲れているなどの不調につながる可能性があります。
また、運動不足が続くと体力や筋力も低下します。
その結果、肥満や耐糖能異常、脂質異常、高血圧などの生活習慣病の発症リスクが増大します。
身体面の問題だけではなく、精神面にも影響を与えるといわれているため、運動習慣があるのとないのとでは、心身の健康状態に大きな差が出てきやすいです。
主観になりますが、運動を習慣化できている方は、特に精神面が非常に安定している(後々安定してくる)方が多い印象です。

運動するとどのような効果が生まれるのか、以下に説明します。

身体面に対する効果

・ 運動をすることで血流が改善し全身に酸素が届きやすくなり、肩こりや冷え性が改善、疲労回復しやすくなる
・ 筋肉量が増えると太りにくくなり、生活習慣病発症リスクも低減できる
・ 生活機能低下(フレイル)を予防できる
・ 抵抗力が高まり、感染症予防につながる など

精神面に対する効果

・ 運動によりストレスを解消させるためのホルモンが分泌される(セロトニン、エンドルフィンなど)
・ 自律神経のバランスが整う
・ 睡眠の質が向上する
・ 運動中は呼吸や身体の動きに意識が向くため、自然と悩みから距離がとれる
・ 集中力や判断力、記憶力が高まる など

 運動は健康にとって一番コスパの良い投資

1日だけ運動しても効果が現れないため、継続するのは非常に難しいといわれますが、運動継続にまつわるネガティブな感情と切り離し、少しでも身体を動かすことが非常に重要です。
運動の有無は将来の健康状態を大きく左右します。
筋力や骨密度は年齢を重ねると必ず落ちていきますが、日々少しでも身体を動かしている人は落ち幅が緩やかになります。
また、運動は細胞の寿命に関わるテロメアを保護し、身体の若さを保つ効果が研究で報告されています。

運動量の目安は、成人で1日60分(約8,000歩相当)以上、筋トレ週2~3回となります。
運動習慣がほとんどない方にとっては非常にハードルが高く感じるのではないでしょうか。
完璧を目指さなくても少しでも意識し取り組むことで変わってきます。
運動習慣が今ない方は日常の中で短時間でもこまめに動くことを目標にしましょう。

~今日から少しでも意識してみよう~

・ 1日1回は外に出てみる。5分でも10分でも歩く意識付けをする
・ 動画共有サイトなどを利用し、簡単なストレッチ・筋トレに取り組む
・ トイレやテレビ視聴時のCMが流れている時にストレッチや筋トレをする
・ エスカレーターやエレベーターの代わりに階段を使用する
・ 信号待ちや電車を待っている時につま先立ちをする
・ 1駅前で降りて歩く

~1日7,000歩を目指そう~

ウォーキングの歩数に関して1日10,000歩を目標にしましょうと言われることも多いですが、1日7,000歩を満たしていると、さまざまな病気のリスクの減少につながるとシドニー大学などによる研究で明らかになっています。
この研究では、以下のような結果が出ています。

・ 1日7,000歩歩くと死亡リスクが47%減少し、1日10,000万歩とほぼ同等の効果が得られる
・ 1日7,000歩歩くと認知症リスクは38%低下する
・ 平均歩数を1日2,000歩から5,000~7,000歩に増やすと健康状態が著しく改善する

その他にも糖尿病やがん、うつ、心血管疾患などのリスク低減にも効果があることが示されています。
まずは1,000歩でも多く歩こうという意識を持つことも大切です。


運動は未来の自分のための投資ですが、私が考える運動の一番のメリットは人生の選択肢が広がることではないかと思っています。
体力や筋力があれば、旅行や趣味を楽しむ機会も増え、いくつになってもやりたいと思えることを制限されず、人生の自由度がぐっと高まります。
やりたいことを制限されないためにも、日々の忙しい中で少しでも身体を動かす意識をもってみましょう。

<参考>
・ 厚生労働省「令和5年『国民健康・栄養調査』の結果」
・ 厚生労働省「健康日本21(第三次)」
・ 健康長寿ネット「運動不足は死亡率に影響するか」
・ Liang Sun,et al.「Exercise delays aging: evidence from telomeres and telomerase -a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials」(『Front Physiol』2025 Jun 26)
・ Prof Ding Ding,et al.「Daily steps and health outcomes in adults: a systematic review and dose-response meta-analysis」(『The Lancet Public Health』Volume10、Issue 8、E668-E681、2025 Aug)

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保健師 大島かよ

投稿者プロフィール

病棟・クリニックでの患者さんとの関わりの中で、「もっと早く治療開始できていれば」、「病気になる前に何かできないか?」と考えるように。その思いから次第に予防に興味を持ち、「働く世代」に対するアプローチがしたい!と、産業保健の世界へ飛び込みました。
現在産業保健師として数社訪問、健保で特定保健指導を担うフリーランスの保健師です。
自分の経験なども盛り込みながら、産業保健に関連する情報を発信していきます。
【取材、記事協力依頼、リリース送付などはこちらからお願いします】

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