
12月に入り寒さが本格化、空気の乾燥が一段と進んできました。
喉のイガイガや肌のカサカサ、鼻づまり、かゆみなど、乾燥に伴うトラブルが増える季節です。
乾燥は単なる不快感にとどまらず、ウイルスの感染力を高める要因にもなり、また肌のバリア機能を低下させることで、かゆみや発疹、ひび割れなどの肌トラブルを悪化させることがあります。
この時期を快適に過ごすためには、乾燥対策を“早めに・こまめに”生活習慣に取り入れることが大切です。
1. 室内環境の整備
乾燥対策の基本は、室内の湿度・温度・換気のバランスを整えることです。
湿度が40~60%を保てると、喉や肌の乾燥を防ぐだけでなく、空気中のウイルスも活動しにくくなります。
自宅に加湿器がなくても、濡れタオルや洗濯物を室内に干すだけで効果的な加湿が可能です。
また、暖房の使用により空気が乾燥しやすくなるため、加湿器とサーキュレーターの併用で部屋全体に行き渡らせるのもおすすめです。
冬は窓を閉め切りがちですが、1日数回、10分程度でも換気を行うことで、こもった空気やハウスダスト、ウイルスを減らし、室内の環境を整えましょう。
🔹チェックポイント:室内環境
室内湿度は40〜60%をキープ
加湿器や濡れタオルで保湿
1日数回、10分程度の換気
室温は20〜22℃前後に調整
空気清浄機や掃除でホコリ・ハウスダストを減らす
暖房の風が直接肌に当たらないよう配置に注意
2. 喉、肌・体のケア
乾燥した空気は喉の粘膜を刺激し、痛みや違和感を引き起こすだけでなく、粘膜の防御機能を低下させて風邪やインフルエンザなどの感染症にもかかりやすくなります。
こまめな水分補給を意識し、温かいお茶や白湯で喉を潤すと、乾燥から保護されやすくなります。
外出時にはマスクを着けて喉の乾燥を防ぎ、帰宅後や就寝前にはうがいで口の中をキレイにしましょう。
🔹チェックポイント:喉・呼吸器
水分をこまめに取る(約1.5〜2L/日)
外出時のマスク着用
外出後・就寝前のうがい
寝室に加湿器を置く・枕元に濡れタオルを干す
また、冬の肌は、気温や湿度の低下、暖房による乾燥などで角質層の水分量が減少し、バリア機能が低下します。
その状態が続くと、かゆみ・粉ふき・赤み・発疹・ひび割れなどのトラブルが起こりやすくなります。
🔹入浴後の「10分以内の保湿」がカギ
入浴後は特に肌の水分が蒸発しやすい時間帯です。
タオルで軽く水気を拭き取ったら、10分以内を目安にボディクリームなどで保湿を行いましょう。
乾燥肌・敏感肌といった肌のバリア機能が低下している肌には、セラミド入りのクリームがバリア機能を補修する効果があるといわれています。
また、さまざまなタイプがありますので、ご自身の肌に合わせた保湿剤を選びましょう。
| 種類 | 水分と油分のバランス、使用感 | ポイント |
| ボディクリーム | 油分が多い、しっとり | 乾燥肌、冬場の保湿、 |
| ボディミルク | 油分と水分のバランスが良い、なめらか | 日々の保湿、混合肌、敏感肌、べたつきが苦手な人 |
| ボディローション | 水分量が多い、さっぱり | 脂性肌、夏場の保湿、べたつきが苦手な人 |
🔹塗り方のポイント
1. 手のひらでクリームを温めて柔らかくする
2. 乾燥しやすい部位(すね・ひじ・かかと・手・頬)を中心にやさしくなじませる
3. 強くこすらず、「押さえる」「包み込む」ように塗る
🔹入浴時の注意
熱すぎるお湯(40℃以上)や長時間の入浴は皮脂を奪い、肌のうるおいを逃がします。
38〜40℃のぬるめのお湯で10〜15分程度を目安にしましょう。
ボディソープは泡立てて使い、ナイロンタオルなどでゴシゴシ洗うのは避けます。
手のひらで優しく洗うだけで十分清潔に保てます。
🔹日中の保湿と服装の工夫
外出前や手洗い後にも、こまめにハンドクリームを塗ることが大切です。
特にアルコール消毒の後は乾燥が進みやすいため、小さなチューブタイプを携帯すると便利です。
また、ウール素材の衣類が直接肌に触れるとチクチク刺激になることもあるため、綿素材のインナーを下に重ねるなど、肌への摩擦を減らすこともポイントです。
🔹生活習慣でのケア
食事面では、ビタミンC・ビタミンE・たんぱく質・オメガ3脂肪酸を含む食品(魚、ナッツ、果物、緑黄色野菜など)を意識的に取ることで、肌のターンオーバーや潤い維持を助けます。
水分摂取も肌にとって大切です。
寒い時期は喉が渇きにくいですが、温かい飲み物で少しずつこまめに補給しましょう。
さらに、睡眠不足やストレスはホルモンバランスを乱し、肌トラブルを悪化させることがあります。
質の良い睡眠とリラックス時間を確保することも、立派なスキンケアです。
🔹チェックポイント:肌・体
入浴後10分を目安に保湿
乾燥部位は重ね塗りでカバー
ぬるめのお湯で短時間入浴
タオルで肌をこすらない
綿素材の衣類で肌摩擦を減らす
栄養バランス+十分な睡眠を意識
4. 企業でもできること
乾燥シーズンを快適に過ごすため、個人だけでなく企業でも取り組めることがあります。
執務室や会議室に加湿器を設置し、湿度を40〜60%に維持
換気の時間や方法を明確にし、1日数回の空気の入れ替えを習慣化
手指消毒液の近くにハンドクリームや保湿ミルクを設置
朝礼や社内チャットで「加湿器ON・換気タイム」を呼びかけ
小さな積み重ねが、喉と肌の健康を守る大きな力になります。
乾燥によるトラブルから従業員を守ることは、健康の維持増進になり、結果として企業の生産性の向上にもつながります。
上記の内容を、少しずつ取り入れてみてください。
冬の乾燥は、喉の不調や肌荒れ、感染症などさまざまな健康トラブルの原因になります。
「室内環境の整備」「喉・粘膜の保護」「肌と体の保湿」の3つを意識し、日々の生活に無理なく取り入れましょう。
乾燥を防ぎ、潤いをもたらす習慣で、喉も肌も健やかに保ち、健康で快適な冬を過ごしていきましょう。
<参考>
・ 東京都福祉保健局「健康・快適居住環境の指標」
・ Wisnu Triadi Nugroho、Sawitri Sawitri、Astindari Astindari、Budi Utomo、M Yulianto Listiawan、Evy Ervianti、Linda Astari「The Efficacy of Moisturisers Containing Ceramide Compared with Other Moisturisers in the Management of Atopic Dermatitis: A Systematic Literature Review and Meta-Analysis」(『Indian J Dermatol』2023 Jan-Feb;68(1)53-58)


















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