
強い日差しと高温多湿な日々が続き、熱中症対策に意識が向かう一方で、実はこの時期に「風邪」をひく方も多いことをご存知でしょうか?
夏風邪は、子どもに起こりがちな風邪と思われることも多いのですが、エアコンによる冷えや睡眠不足、暑さによる疲労の蓄積などが免疫力の低下を招き、大人もかかることがあります。
今回はその中でも、感染の報告が徐々に増えてきている「ヘルパンギーナ」についてもお伝えしつつ、他の夏風邪との違いもあわせてご紹介します。
ヘルパンギーナとは
ヘルパンギーナは、例年6〜8月にかけて流行するウイルス性の感染症です。
主に乳幼児に多く見られますが、最近では家庭内感染などを通じて大人にも広がるケースが増えています。
特にお子さんが保育園や幼稚園に通っているご家庭では、お子さんを通じて家族に感染が広がることがあり、職場でも注意が必要です。
大人が感染した場合、高熱やのどの激しい痛みによって体力を消耗し、仕事や日常生活に支障をきたすことがあります。
症状
発熱(38〜40℃) | 急に発熱し、1~3日ほど続きます。 |
のどの強い痛み | のどの奥(軟口蓋や口蓋垂周辺)に小さな水疱や潰瘍ができ、痛みが生じるため、飲食の量が減ることが多いです。 |
脱水のリスク | のどの痛みにより水分がとりにくくなり、脱水症状に注意が必要です。 |
<受診のサイン>
・ 発熱が2日以上続く
・ 頭痛や嘔吐の症状がみられる
・ 明らかにぐったりとしている
・ 水分が取れず、排尿がみられない
・ 息苦しそうにしている
これらの症状がみられる場合には、医療機関での適切な処置が必要になる可能性もありますので医療機関の受診をご検討ください。
治療
夏風邪に特効薬はなく、基本的には症状に応じた対症療法(解熱・水分補給・安静)となります。
特に大人は症状が重く感じられることもあるため、早めの受診や休養を心がけましょう。
特に夏場は、気温や発熱によって水分が失われやすいためこまめな水分補給を意識しましょう。
主な「夏風邪」の比較
夏に流行する風邪は複数あり、それぞれウイルスの種類や症状が異なります。下記に代表的な3つをまとめました。
疾患名 | 主な原因ウイルス | 主な症状 |
ヘルパンギーナ | コクサッキーウイルスなど | 突然の高熱、のどの水疱、痛み |
手足口病 | エンテロウイルスなど | 発熱、口内炎、手足の発疹 |
咽頭結膜熱(プール熱) | アデノウイルスなど | 高熱、のどの痛み、結膜炎(目の充血) |
これらの症状は似ている部分もあります。自己判断が難しいため、症状が改善しない場合には、早めに医療機関で診断を受けるようにしましょう。
感染経路と予防策
夏風邪の多くはウイルスが原因のため、感染予防が重要です。以下のような感染経路があるとともに、予防方法を意識してみてください。
感染経路
飛沫感染 | 咳やくしゃみなどによって飛んだ飛沫に含まれる病原体を吸い込み感染すること |
接触感染 | 皮膚や粘液に触れたり、病原体がついたドアノブや手すりなどを介して間接的な接触により、病原体が付着し感染すること |
経口感染 | おむつ交換で便に触れることや唾液の付着した物を触った手で目・鼻・口などを触ることで感染すること。 |
予防方法
・ 手洗い・うがいの徹底(特にトイレ後・食事前・帰宅時)
・ タオルや食器の共用を避ける
・ 睡眠・栄養をしっかりとる(免疫力の維持がカギ)
・ 体調が悪いときは無理をしない
・ 室内の温度管理にも注意(空調機器の風に直接当たらないように!)
また、家庭内に小さなお子さんがいる場合は、おむつ替えや排泄物の処理の際に特に注意が必要です。使い捨て手袋の活用や手指のアルコール消毒、交換後の流水での手洗いも効果的です。
さいごに
夏は楽しい予定も多い季節ですが、その反面、疲れやすく体調を崩しやすい時期でもあります。
「少し喉が痛いけど大丈夫」「熱はあるけど出勤できそう」などと無理をしてしまうと、回復が遅れたり、周囲に感染を広げたりすることにもつながります。
体調に異変を感じたときは、早めに休養をとることが回復への近道です。特に高熱や強いのどの痛み、水分がとりにくい症状がある場合は、無理せず医療機関を受診するようにしましょう。
夏風邪は見過ごされがちですが、しっかりと予防と対策をとることで感染を防ぎ、長引く不調を回避することができます。「手洗い・うがい」の基本的な感染対策をしっかりと行いましょう。
とくに今年は、ヘルパンギーナのように大人も油断できない感染症が流行しています。
ご自身やご家族の体調を気にかけながら、無理なく夏を乗り切っていきましょう。