4月14日に発生した熊本地震と、それに引き続く、度重なる地震活動。私たちは、改めて自然の脅威を目の当たりにしました。
地震に限らず、自然災害は突然発生します。
そこで、突然の事態にも対応できるように、日頃から知識を蓄えておくことが必要です。
今回は、クラッシュシンドロームについて皆さまにお伝えいたします。
クラッシュシンドロームは死に至る可能性がある
阪神・淡路大震災では、クラッシュシンドローム(挫滅症候群)があまり知られておらずに見過ごされ、治療が遅れた例もあったと言われています。
厚生労働省研究班の調査によると、阪神淡路大震災での挫滅症候群の患者は372例、うち50例(13%)が死亡しており、致死率は決して低くありません。
クラッシュシンドロームとは、瓦礫などに長時間挟まれ筋肉が圧迫され続けることで筋肉細胞が障害・壊死を起こして毒性の高い物質が蓄積され、その後、救助されて圧迫されていた部分が解放されると、血流を通じて毒性の高い物質が急激に全身へ広がり、腎臓や心臓の機能を悪化させて死に至る場合があるというものです。
早期発見、早期治療が重要になるため、救出前から周囲の人々により、兆候を見分けて早めに判断を下すことが大事です。
長時間にわたり圧迫され続けると危ない
クラッシュシンドロームの観察のポイントは、
① 2時間以上にわたり腰、腕、腿などが、がれきの下敷き状態であった
② 軽度の筋肉痛や手足のしびれ、脱力感などの症状がある
③ 尿に血が混じり、茶色の尿が出る
④ 尿の量が減る
などがあります。
クラッシュシンドロームを発症すると、救出されてから治療を始めるまでの時間によって、命が助かるかどうか左右されるといわれています。
そのため、クラッシュシンドロームと考えられるような状態が見られた場合は、むやみに瓦礫の撤去は行わずに、医療従事者やレスキュー隊を呼びましょう。
瓦礫を撤去した場合は、早急に医療従事者のもとに連れて行き、圧迫されていた部位や時間、何に圧迫されていたか報告しましょう。
また、水分補給や点滴によって血中の毒性が高い物質を薄めることも有効です。
挟まれた状態でいる受傷者に水を1リットル以上大量に飲ませましょう。
精神的な安心のために声掛けをしたり、体温調整のために毛布をかけましょう。
あなたもクラッシュシンドロームになるかもしれない
過去の地震により、オフィス内で棚が倒れ、下敷きになりそうになった人もいるのではないでしょうか。
もしかすると、棚などで下敷きになった同僚を助ける機会が今後起こりうるかもしれません。
災害が広域にわたるものであると、すぐに医療従事者や消防が駆けつけることは難しい場合があります。
そのため、広域にわたる災害時は特に、同じビルにいる社員同士や住民同士の助け合いが重要になるでしょう。
まずは災害時に起こり得るリスクについて一つでも多くの知識を蓄えておき、実践できるようにしていきましょう。
参考サイト
平成 22 年度救助技術の高度化等検討会報告書
http://www.fdma.go.jp/html/data/tuchi2304/pdf/230427-1.pdf