【5-4-3-2-1法】不安を感じたらグラウンディングで”今ここ”に戻ろう
- 2025/10/24
- メンタルヘルス

この夏を振り返ってみると、自然災害では「観測史上初の」「危険な暑さ」「豪雨・突風」「命を守るために」といった言葉を多く目にしました。
また、7月には「大災難が起こる」という噂が広がり、ニュースで目にした情報が頭から離れず、なんとなく落ち着かない思いをした方もいるかもしれません。
さらに、今年は戦後80年の節目だったこともあり、例年にも増して戦争経験者の貴重な語りや映像も多く流れました。
最新技術により、これまで白黒で見ていた当時の映像が、彩色されてより生々しく視覚に訴えかけてきたことも印象的でした。
どれも必要な情報であることはわかっていても、見聞きした情報が頭の中にこびりついて、不安や胸を掴まれるような苦しさを感じてしまう人もいるでしょう。
実際に被害に遭えば当然ですが、実際に体験していなくても、見聞きしたことによって大きく動揺してしまう場合もあります。
今ここに戻るためのグラウンディング
そのようなときのセルフケアとして「グラウンディング」についてご紹介します。
グラウンディングとは、感情や思考の渦に飲み込まれた際に、五感・身体感覚・イメージなどを使って意識を「今ここ」に戻すための技法です。
私たちは何に不安を感じるかというと「予測できない未来」や、繰り返し何度も思い出してしまったり、同じことが起きるかもしれないと考え続けたりしてしまう「頭の中で想起される過去」です。
そのような状態のとき、私たちはわからないことや、変えられないことにとらわれてしまい、「今」に集中できなくなってしまっています。
未来や過去への不安が大きいときに「今」に注意を向けると、「今ここには危険はない」「今この瞬間は大丈夫」という安心感が得られ、否定的な感情や思考から切り替えができるようになります。
5-4-3-2-1法のやり方
今回はグラウンディングの方法の一つである「5-4-3-2-1法」をご紹介します。
どこでもできる方法なので、不安を感じたときに試してみてください。
※ただし、人によっては感覚刺激が逆に不安を呼び起こす場合もあります。そのため、自分に合う方法を少しずつ試しながら、決して無理はしないでください。
<見えるものを5つ>
今、目に見えるものを5つ、できるだけ細かく観察して心の中で挙げてください。
(例)
・白地に青色でウサギの絵が描かれたコップ
・表面に少しすり傷ができている茶色の手帳
・ランチの時に持っていく、お気に入りのお店のスタンプカード
・インクの量が1/3くらいになった黒色ボールペン
・コードが2回転している固定電話
<触れられるものを4つ>
今、実際に手や身体で触れているものを4つ挙げます。
(例)
・腕時計の皮ベルト
・少しザラザラした椅子の背もたれと座面
・ひんやりしたテーブル
・つるつるした素材のシャツ
<聞こえるものを3つ>
耳をすませて、聞こえる音を3つ挙げます。
(例)
・キーボードを叩く音
・コピー機が動く音
・窓の外から聞こえる車の音
<においを感じるものを2つ>
周囲のにおいを感じ取って2つ挙げます。
(例)
・リップクリームのミントの香り
・さっき食べたチョコの香り
<味や食感を感じるもの1つ>
実際に口の中にある味、あるいはさっき食べたものを思い出しながら1つ挙げます。
(例)
・ミントタブレットの味
最初は慣れないかもしれませんが、続けていくうちに「不安を感じたり緊張したりしたら今に戻る」がスムーズにできるようになっていきます。
考えが行き詰まってしまったときやストレスを感じたときにも有効とされているので、ぜひ取り入れてみてください。
<参考>
・世界保健機関(WHO)「ストレスを感じたらやるべきこと:イラストガイド(翻訳:早稲田大学人間科学部・大学院人間科学研究科 大月研究室)」


















