「漢方薬」と聞くとどんなイメージがありますか?
「苦くて飲みにくい」
「長く飲まないと効かない」
「気休め程度」
と思っている方も少なくないと思います。
漢方薬=中国というイメージもありますが、現在の日本で使用されている漢方は、古くに中国から伝わった医学を元に日本独自で研究・発展したもので、使われているもののほとんどが植物由来です。(一部鉱物なども含まれます)
冷え性、月経不順、不妊治療などの体質改善を目的として服用する場合は、長い期間飲むこともありますが、漢方には意外と即効性のあるもの、効果を実感しやすいものがあり「こんなに効くんだ!」と驚かれるかもしれません。
今回は、薬局やドラッグストアで購入できるものの中で、日常で起こりやすい症状に対するもの、かつ効果を実感しやすい漢方薬をご紹介したいと思います。
風邪症状にオススメの漢方
① 葛根湯
「風邪には葛根湯」と言うくらい有名な漢方です。
風邪のひき始めに使います。
寒気やだるさがあり、「あれ、風邪を引いたかな?」と思ったタイミングで飲むのが正しい飲み方で、風邪が長引いてからではあまり効果がありません。
風邪の初期1〜2日目に飲んでください。
体を温めて発汗を促すことで風邪を治す体の働きを後押ししてくれますし、体を温める作用は頭痛や肩こりにも効果があります。
② 麻黄湯
「まおうとう」と読みます。こちらも風邪に対する漢方です。
やはり風邪の引き始め、早めの段階で内服します。
寒気以外に関節痛がする時(インフルエンザが疑わしい時にも)に効果があり、比較的若い人や体力のある人、子供向けの漢方です。
麻黄湯にはエフェドリンという成分が含まれていて、鼻づまりや体のだるさを軽減する効果があるのですが、体力のない人や高齢の方が内服すると、心臓や胃腸に負担がかかることがあるので注意が必要です。
その点では葛根湯の方が体質や年齢をあまり気にせず使うことができます。
③ 桔梗湯
「ききょうとう」と読みます。
字のごとく、紫色の花をした「桔梗」の根の成分でできていて、扁桃炎など喉の痛みや腫れに効果があります。
苦い漢方が多い中でこちらは甘い味がして飲みやすいです。
お湯で溶いてお茶のように飲んでください。
胃腸症状にオススメの漢方
漢方薬には胃や腸など消化管の働きに関するものも多くあります。
④ 五苓散
「ごれいさん」と読みます。
嘔吐や下痢など胃腸炎の際に使います。
また、二日酔いや浮腫みに使うこともあります。
体の中の水分を調整する働きがあって、正しい状態に戻すように働きかけてくれます。
胃腸炎で吐き気や嘔吐がある時は、お湯に溶いた五苓散を少しずつ飲んでください。
吐いてしまったとしても、また少しずつ時間をかけて飲みます。
味は美味しくはないのですが、個人の感想としては「変わった味のするお茶」程度の印象です。
ココアに混ぜると味が紛れるようですが、吐き気のある時にココアは飲みにくいので、私はそのままお湯に溶いて飲みます。
想像していたより「飲める」と感じる方が多いと思います。
⑤ 六君子湯
「りっくんしとう」と読みます。
体力が通常よりも低下していて、胃の調子が悪い、食欲がない、みぞおちのつかえ感がある時などに使います。
胃がひどく痛んだり、潰瘍ができているような時ではなく「なんとなく最近胃の調子が悪いな、元気がないな、食欲が出ないな」と言った時に効果を発揮します。
こちらは1回だけ頓服で飲むのではなく、数日程度は続けて内服すると良いでしょう。
⑥ 補中益気湯
「ほちゅうえっきとう」と読みます。
入っている成分は六君子湯と似ています。
元気を補って、食欲や消化機能をよくする働きがあります。
体が疲れてだるい時、病気や手術をして体力が低下した時、風邪が長引いている時、夏バテのときなどに効果があります。
こちらも1回だけではなく、数日程度は続けて飲むと良いでしょう。
飲みにくい時はどうする?
漢方が敬遠される理由のひとつに味の飲みにくさがあります。
お湯に溶いたり、粉末を水で飲んでも気にならない方もいますが、一般的には飲みにくいと感じる方が多いでしょう。
できる工夫としては
・ オブラートに包む
・ 他の飲み物に混ぜる
・ 少しだけ飲んで味見してみる
この3つです。
上に挙げた中では「葛根湯」は飲みやすいと思います。
「麻黄湯」はりんごジュースと相性が良いので、少なめのお湯に溶いてからはちみつを混ぜて(1歳以上)りんごジュースで割ってしまえば、子供でも飲める味になります。
「桔梗湯」は甘くてそのままでも飲めますが、こちらも少なめのお湯に溶いてからオレンジジュースで割ると、全く気にならなくなります。
「五苓散」は美味しくはないのですが、そこまで不味いわけではなく、また、胃腸炎の時は少量ずつ水分をとる方が良いので、お湯に溶いたものを少しずつ飲みます。
私はオブラートを使っていますが、「六君子湯」は比較的甘い味がするようです。
このように、飲みにくい時はオブラートを使用したり、別の飲み物に混ぜることで飲みやすくなります。
また、漢方薬が必ずしも苦くて飲みにくいというわけではなく、意外と甘みがあったり飲みやすいものもあるので、一度飲めるかどうか味見してみることもおすすめしています。
漢方薬は効かないイメージもあるかと思いますが、西洋医学と違って、痒いところに手が届くようなお薬が多く「ズレてしまった体の状態を元に戻す」のが漢方の考え方の基本です。
コロナ禍で、なんとなくの調子の悪さ抱えていたり、体調が以前とは違うと感じる方もいらっしゃると思います。
今回ご紹介したものはドラッグストアなどでも購入できるものですので、「病院に行くほどではないけれど…」というようなときには、一度試してみてはいかがでしょうか。