【女性の健康週間】「個人の問題」から「職場全体の課題」へ~女性特有の健康課題に配慮する3つのポイント~

3月1日から8日は、女性の健康に関する知識の向上と健康課題について理解を深めることを目的とした「女性の健康週間」です。
女性の健康課題は、職場においては今なお「女性社員個人の問題」として扱われてしまうことも少なくありません。
しかし実際には、女性特有の健康課題は職場全体で配慮する姿勢が求められるテーマであり、女性が働きやすい職場づくりは男性を含めたすべての社員にとっての働きやすさにもつながります。
そのため、女性の健康週間は社員全員の働きやすさを見直す機会として捉えることが重要です。

女性特有の健康課題に対して、求められているのは「理解」と「両立支援」

東京都が、都内で働く女性3,500人と企業担当者200人を対象に実施し、2023年10月に結果を公表したアンケート結果では、「女性特有の健康課題に対して、職場にどのような配慮があると働きやすいと思うか」という設問に対する女性社員の回答として最も多かったのが「上司や周囲の従業員の理解」、次いで「休暇制度や時短勤務など仕事との両立を図るための支援」でした。
この結果から見えてくるのは支援制度そのものも重要である一方で、日常的な周囲からの理解や声かけ、制度を利用しやすい雰囲気づくりが働きやすさに大きく影響しているという点です。

女性特有の健康課題は、症状や程度に個人差が大きく外からはわかりにくいことも多いため、本人が言い出しにくいという特徴があります。
周囲の理解があるだけで無理を重ねることを防げるケースも少なくありません。

女性が働きやすい職場づくりのための3つのポイント

女性が働きやすい職場づくりを進めるためには衛生担当者や人事などが共通して意識しておきたいポイントがあります。

①「理解を示す姿勢」を組織として共有する

実態調査結果にも表れているように上司や周囲の理解は働きやすさに直結します。
全員が女性の健康を「じぶんごと」として捉え、ヘルスリテラシー(健康や医療に関する正しい情報を入手し、理解して活用する能力)を高めるための組織的な働きかけが重要です。
具体的には、管理者向けにジェンダー意識向上研修などを実施し部下からの相談や制度利用の申し出に適切に対応できる知識や視点を共有すること、また全社員向けに女性の健康やジェンダーバランス、D&Iに関する研修を行い職場全体で理解を深める取り組みが有効です。

これらの取り組みは、適切な現場対応やハラスメント防止、心理的安全性の向上、モチベーション向上といった効果にもつながります。

② 制度を「あるだけ」にしない

休暇制度や時短勤務といった両立支援策が整っていても、利用しづらい雰囲気があれば十分に機能しません。
産業医や保健師、企業の衛生担当者などの産業保健スタッフ、人事労務担当者が連携し、制度の利用状況や現場の声を確認しながら継続的に見直していく視点が求められます。

③ 現場と制度をつなぐ役割を明確にする

誰に相談すればよいのか、どこまで配慮できるのかが曖昧なままでは支援が属人的になりがちです。
人事や衛生担当者、産業保健スタッフ等それぞれの役割を整理し、現場が迷わず動ける体制を整えることで制度がより活用されやすい環境づくりにつながります。

支援効果をモニタリングし、より質の高い健康経営へ

女性特有の健康課題を抱える社員への支援策としては相談窓口の整備、柔軟な勤務形態、休暇制度の活用などさまざまな方法があります。

個々の状況を把握し必要な支援を提供するとともにその効果や意義を経営としてモニタリングし続けることは、より質の高い健康経営の実践につながります。

女性の健康課題への配慮は、新たな制度を増やすことから始める必要はありません。
まずは、既存の制度が実際に使われているか社員が女性の健康課題を理解しているか、相談しやすい雰囲気が整っているかを衛生担当者や人事の視点で改めて振り返ってみてください。
女性の健康週間をきっかけに社員の声に耳を傾け、理解と両立支援が職場に根づいているかを点検することが誰もが安心して働き続けられる環境づくりへの第一歩となるはずです。

<参考>
・ 東京都「都内で働く女性3500人+企業担当者200人へのアンケート調査結果」
・ 経済産業省「健康経営における女性の健康課題に対する取組事例集(令和7年3月)」
・ 厚生労働省「職場で取り組む働く女性の健康支援(PDF)」

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片桐芽衣株式会社ドクタートラスト 管理栄養士

投稿者プロフィール

クリニックや薬局で管理栄養士として、生活習慣病の患者様を中心に栄養指導を行ってまいりました。病気になる前のもっと早い段階でたくさんの方々の健康をサポートしたいと思い、ドクタートラストへ入社しました。現在は主に栄養や睡眠をはじめとした生活習慣に関する面談(特定保健指導等)やセミナー、コラム執筆を行っています。
日頃から健康的な生活習慣を身に着けることが今の自分、そして将来の自分を作っていきます。生涯にわたって元気に働けるヒントとなる情報を発信できるよう努めます。
【保有資格】管理栄養士、人間ドック健診情報管理指導士、上級心理カウンセラー、上級睡眠健康指導士、第一種衛生管理者

【ドクタートラストの特定保健指導サービス詳細はこちら】
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