【調査結果】新型コロナウイルス感染症によるメンタルヘルスへの影響は?

厚生労働省では、新型コロナウイルス感染症による国民のメンタルヘルスへの影響を把握するために、2022年度にインターネット調査(以下、本調査)を実施しました。
この調査は、コロナの感染拡大や感染拡大に伴う行動制限などの対策により、感染に関する不安や行動変容に伴うストレスなど、国民のメンタルヘルス面に影響が生じている可能性があることから、その影響を把握することを目的としています。
実際に私もドクタートラスト営業として担当企業へ日々状況確認を行っているのですが、コロナ禍の際はメンタル不調による休職や産業医面談がコロナ前より多く発生しているとお答えになる企業が多い印象でした。
2022年度はどのような調査結果だったのか見ていきましょう。

調査概要

本調査は、2020年度および2021年度に実施した「新型コロナウイルス感染症に係るメンタルヘルスに関する調査」のフォローアップとして行われました。
継続回答者による心理面の経年変化を分析するとともに、2020年度の設計数(母集団準拠)に対して新規回答者を補充することで、全国約1万人のメンタルヘルスの状況を把握し、それらの結果を精神保健福祉センターなどでの相談対応などに活用していくことを目的としています。

・調査期間:2022年10月21日(金)~10月26日(水)
・調査方法:インターネットによる調査
・調査対象:一般の方々(15歳以上)
・回収サンプル:10,812件

以下①、②の方法で調査を実施しています。

① 令和2年度に全国の母集団人口に準拠した性別(男性、女性)・年代・地域ブロック別に回収数を割付けて調査を実施し、回答いただいた方全員(10,981人)を対象に2022年度調査協力を依頼
② ①にて協力を得られなかった方がいた場合に、全国の母集団人口に準拠した割付数の不足分を、新規モニターより抽出して調査協力を依頼

調査結果

今回の調査では大きく分けて5つのことがわかりました。

① 不安を感じた時期

感染者数が急増した2022年1~3月、7~8月は、4割前後の人が何らかの不安などを感じていたが、全体としては、2020年度、2021年度の調査を下回る割合の傾向となった。
回答設問は、神経過敏に感じた、そわそわ落ち着かなく感じた、気分が落ち込んで何が起こっても気が晴れないように感じた、どれもなかったの4つ。

② 不安の対象

不安の対象としては、2020年度、2021年度の調査と同様に、いずれの時期も「自分や家族の感染への不安」が最も多かった。
他には自分や家族の仕事や収入、自粛等による生活の変化、家族、友人、職場など人間関係の変化が横並びの回答割合となった。

③ 困ったこと・ストレスに感じたこと

困ったこと・ストレスに感じたことは2021年度を上回る割合の傾向となった。

(1) 新型コロナウイルスの流行(コロナ禍)がいつ終わるかわからない:34.4%
(2) 旅行やレジャーができない:34.1%
(3) 自分や家族が感染するかもしれない:45.6%
(4) 医療機関を受診しづらいなど医療サービスを受けづらくなった:25%
(5) 世帯の経済的な苦しさが増した:16.7%
(6) 家族・親戚・友人などに会えない:24.5%

④ 日常生活の変化

感染拡大前と比較した日常生活における変化としては、運動量は減少し、ゲーム時間が増加した。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大前とくらべて以下のように回答。

・運動量は、前回調査の結果と同様に約2割の人が「減少した」
・ゲームをする時間は、6.4%の人が「増加した」(前回調査は5.3%が増加と回答)

⑤ 不安やストレスの解消方法

不安やストレスの解消方法は、手洗いやマスク着用等の予防行動が最も多かった。
その他スマートフォンやインターネットを使って情報を検索、家族や友人に話をするなど、さまざまな方法があったが、解消方法を行った人の半数以上が、不安やストレスをうまく発散・解消できていると回答。

今後の動向

今回の調査結果については、まだまだストレスを感じている方が多いなというのが個人的な感想です。
マスクが緩和されて、5月8日から5類感染症になりましたが、マスクを着けている方もまだまだ多くいらっしゃいますし、人との接触に不安を感じている方、メンタル面談が不安定な方もまだ多くいらっしゃると思います。実際私もオフィスやプライベートではマスクを外していますが、担当企業へ訪問のうえ対面で打ち合わせを行う際は今でもマスクを着けて伺っています。
ここ数ヶ月担当企業へお伺いしてコロナのこと含めて状況確認を行ったところ、メンタルヘルス対策やマスクなどの社内ルールは非常にさまざまでした。
メンタルヘルス対策は、コロナを機に在宅勤務を行っているので、コミュニケーション不足とならないようにチームミーティングや1on1ミーティングを行っていたり、積極的に産業医などの医療職との面談を実施したりなどの対策を行い、年月が進むにつれて状況が改善された企業も多い印象です。
現在の感染対策は個人・事業者の判断が基本となっています。
5類になったとはいえ、感染力が弱まっているわけではありませんので、引き続き「定期的な換気」「手洗い・手指消毒」「重症化リスクの高い方は感染予防のためマスクの着用」が有効です。
体の対策だけではなく、メンタルヘルス対策も大切なので、家族や友人など話しをしたり、旅行やレジャーに行くなど、上手く息抜きをしながら過ごしていくと良いでしょう。
本調査は、2022年10月に実施されたものでしたので、5類に移行した現在では調査結果が変わってくると思います。
引き続き注目していきたい内容です。

<参考>
厚生労働省「新型コロナウイルス感染症に係るメンタルヘルスに関する調査の結果(令和4年度報告書)」

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上田 倫子株式会社ドクタートラスト

投稿者プロフィール

大学在学中は心理学を学びました。その頃から人間の心理やうつ病等の精神的な病に関わる仕事がしたいと思い、ドクタートラストに入社しました。入社後は主に営業として、休職や過重労働等で困っておられる企業様をたくさん担当させていただきました。働く人を1人でも健康にできるように、これからも勉強を続けてまいります。
【保有資格】健康経営アドバイザー
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼、リリース送付などはこちらからお願いします】

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