今年も健康診断が始まる時期になりました。
早めに受けた方は、そろそろ結果が届いている頃かもしれませんね。
健康診断にはさまざまな項目がありますが、その中でも引っかかりやすい項目のひとつである「コレステロール」についてお話します。

コレステロールの悪玉、善玉とは

「コレステロール」と聞くと、なにか健康に悪いものというイメージがありますが、本来コレステロールは細胞を構成したり、ホルモン・胆汁の原料となるもので、人間の体になくてはならないものです。
食事から摂取するのが30％、残り70％は肝臓で合成されています。
それらが、血液に乗って全身の必要な場所に運ばれていくのですが、その役割の違いによって「悪玉」「善玉」と呼ばれるものがあります。
「LDLコレステロール」は、肝臓で作られたコレステロールを全身に運ぶ役割をしています。
増えすぎると、血管壁に蓄積して血管を詰まりやすくし、心筋梗塞や狭心症、脳梗塞の原因になります。
それゆえ「悪玉コレステロール」と呼ばれます。
一方「HDLコレステロール」は、増えすぎたコレステロールを回収し、血管壁に溜まったコレステロールを回収して肝臓に戻す働きをします。
いわば血管の中の掃除屋さんなので、「善玉コレステロール」と呼ばれています。

コレステロールは低ければ低いほど良い？

どちらも体にとって必要不可欠ですが、それぞれのバランスが大切で、LDLコレステロールは高すぎ、HDLコレステロールは低すぎに注意しなくてはなりません。
LDLコレステロールに関しては、140mg/dl以上が高LDLコレステロール血症の診断基準となります。
健康診断や人間ドックでは厳しめに判定基準が設けられており、119mg/dl以下が正常、120〜139mg/dlは境界域と判定されるので、かなり多くの方が正常以外に該当します。
では、低ければ低いほど良いのでしょうか？
LDLコレステロールは60〜119mg/dlが基準になることが多く（日本人間ドック学会より）、低いといっても下限付近であれば通常問題ありません。
しかし、50mg/dlを下回る場合は、他に原因となる病気が隠れていることがあるので注意が必要です。
肝機能低下、肝硬変、甲状腺機能亢進症、がん、低栄養などが原因となって二次的に低LDLコレステロール血症となることがあります。
まれですが、遺伝疾患によって低LDLコレステロール血症である可能性もあります。
そのため、あまりに低い場合はそれらの病気が隠れていないか調べることをおすすめしますが、それが除外されば、LDLコレステロールが低めであること自体は現時点で特に問題がないとされています。

女性は閉経後に注意

①LDLコレステロールを120mg/dl未満に近づけて、②HDLコレステロールを40mg/dl以上に増やすことが、動脈硬化を予防につながります。
食事からとるコレステロールは30％と決して多くはないものの、コレステロールが高い方はやはり食事からの摂取を抑えることが大切です。
コレステロールは、卵（魚卵も含む）や動物性脂肪、内臓類に多く含まれます。

＜コレステロールが多く含まれる食べ物＞
・　鶏卵
・　イカ
・　タラコ
・　ウニ
・　シシャモ
・　レバー
・　モツ
・　カラスミ
・　キャビア
・　ウナギ　など

お酒のつまみになるものが多いですね。
お酒を飲むと食欲が高進して、つい食べ過ぎてしまうので特に気を付けましょう。
食べてはいけないわけではありませんが、1回量を少なくする、毎日食べないなど、食べ方に工夫が必要です。
反対に、積極的に取り入れていただきたいもの、ことは以下の通りです。

・　大豆（豆腐、納豆など）
・　オリーブオイル
・　青魚類（アジ、サンマ、サバ　など）
・　運動
・　禁煙

オリーブオイルに含まれるオレイン酸、青魚に多く含まれるDHA/EPAにはHDLコレステロールを下げずに LDLコレステロールを下げる働きがあります。
また、運動不足や喫煙はHDLコレステロールの低下を招くので、積極的に運動を取り入れていきましょう。
女性は、特に閉経するとコレステロールが高くなる傾向があります。
これは「エストロゲン」というホルモンの影響で、エストロゲンがコレステロールの上昇を抑えているのですが、閉経とともに分泌が減少することで、コレステロールが上昇しやすくなるためです。
脂質異常症は生活習慣病のひとつなので、まずは生活習慣の改善が必須です。
すぐに結果が出ないと飽きてしまいますが、日々の生活の中での積み重ねが大切なので、何かできることを見つけて変えていきましょう。