策定・見直しに手が回らない?防災対策・BCP(事業継続計画)に関するアンケート2022年調査結果

策定・見直しに手が回らない?防災対策・BCP(事業継続計画)に関するアンケート2022年調査結果

今回は東京商工会議所が公表した「会員企業の防災対策に関するアンケート2022年調査結果」について解説します。
本調査は東京商工会議所と東京都が締結した「東京の防災力向上のための連携協力に関する協定」の一環として、会員企業へ防災対策などの把握を目的に行われました。
自然災害に備え企業はどのくらい対策を行っているのか、またどのように行っているのかなど、確認していきましょう。

そもそもBCP(事業継続計画)とは?

初めに、BCP(事業継続計画)について、聞きなれない方も多いと思うので簡単にご説明します。
BCP(事業継続計画)とは、自然災害やテロ行為、サプライチェーンや突発的な事故などが発生した際、事業を持続させる、またはできる限り早く復旧作業を行うための方針や手順などを示した計画のことを指します。
最近では新型コロナウィルスの流行により、経団連からコロナ禍における事業継続に向けたBCPの策定などが呼びかけられました。

また、介護業はこのコロナ禍で事業持続の重要性が再認識され、2024年からBCP策定が義務化される予定です。
このように、震災や台風、そして感染症の流行など、大きな自然災害を機に徐々に注目度が上がっています。

それでは、実際にBCPを策定済みの企業はどれくらいいるのでしょうか。

調査結果によると、「BCP(事業継続計画)を策定済」の企業は全体でおよそ3割、そのうち企業規模を中小企業と大企業に分けると、中小企業は策定済みがわずか2割なのに対し、大企業は5割を超えていることがわかりました。
また、BCPの策定済みの企業の9割は「地震」を想定したBCPを策定しており、感染症や水害は約半数でした。

新型コロナウィルスが流行する前は、事業が停止する可能性の最も高いものは「地震」だと考えられていました。
一方、今回の新型コロナウィルスの流行で多くの企業が事業に影響を受けたことからも、今後は「地震」のほかに「感染症」に関するBCP策定を進める企業も増えてくるのではないでしょうか。

BCPの策定はどれくらいの費用・時間が必要?

続いて、「BCPを策定済み」と回答した企業の策定に要した費用や期間、そして具体的な内容について掘り下げます。

BCP策定済みの企業による「見直しや訓練、周知の実施状況」の調査結果では、「見直しを行っている」また「社内への周知を行っている」と回答した企業はどちらも6割、「訓練を行っている」と回答した企業は5割でした。
いずれも行っていないと回答した企業は1割未満で、BCP策定済みの企業の多くが策定して終わりではなく、その後も活用していることがわかります。

続いて費用については、「費用負担なし」が5割と最も多く、3割近くが「10万以上100万以下」、「100万円以上」は1割でした。
BCP策定に要した期間については6割が「1か月~半年以内」と回答しています。

今どきらしい回答結果が得られたのは「情報収集・安否確認手段」についての回答です。
災害時の情報収集手段は「インターネット(SNS除く)」が最多となり、「防災アプリ」との回答も昨年から増加しています。
さらに、従業員の安否手段は「メールやSNS」が最も多く、次に多いのが「有料の安否確認システム」でした。

過去の震災ではアクセスが集中し、メールやSNSが使えなくなることもありました。
そういった場面を想定し、専用の安否確認システムを選択する企業も多いようです。

コロナ禍で7割の企業は「BCPの策定・見直し」に手が回らず

最後に、コロナ禍における事業への影響に関して、約8割の企業が「感染者が発生したが、縮小や遅延なく事業を継続できた、または一部縮小や遅延が生じたが事業を継続できた」と回答しました。
そのなかで、「策定済みのBCP通り対応した」と回答したのはたったの1割で、7割の企業は「BCPの発動や策定・見直しまでは及ばなかった」といった結果になりました。

このように、有事の際にはBCPの策定にまで手が回らないというのが現実だと思います。
最近、「第7波がきた」とニュースで取り上げられていますが、今一度BCPについて検討してみてはいかがでしょうか。

<参考>
・ 東京商工会議所「会員企業の防災対策に関するアンケート2022年調査結果」
・ 厚生労働省「令和3年度介護報酬改定における改定事項について」

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信定祐希株式会社ドクタートラスト

投稿者プロフィール

大学卒業後、飲食業界に入社し、従業員満足度と顧客満足度のつながりが強さを実感してきました。お客さまを幸せにするためには、従業員自身の幸福度が高くないと実現ができません。しかしそれはどの業種においても言えることだと思っています。
ワークライフバランスを整え、活き活きとやりがいのある仕事ができる社会を目指して発信していきたいと思います。
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