アニサキスによる食中毒が増加しています!~夏場はサバなど旬の魚にご注意~

夏が近づくと食中毒が増える時期となります。
そんな中最近、報道などでもよく目にするアニサキス食中毒。
オールシーズン発生の可能性はありますが、夏場は特にサバやアジ、イワシなどの生魚に注意が必要です。

ただ過度に恐れることはなく、注意するポイントをおさえれば大丈夫です!
栄養素が豊富に含まれている魚を安心して食べるために、正しい知識と予防策をお伝えします。

アニサキス食中毒にあたると激痛?

アニサキスは寄生虫の一種です。
今の時期が旬であるサバやアジ、イワシのほか、サンマ、カツオ、イワシ、サケ、イカなどにも寄生しています。
全長は2~3cmで、白色の細長い糸のような形をしていて、目視できる大きさです。
通常は魚の内臓に棲みついていますが、魚が死亡して時間が経つと、内臓から筋肉の部分に移動するといわれています。

以下は、実際にアニサキスにあたった人の声です。

「自分で釣ったサバを酢締めにして食べて発症。胃の辺りがずっと痛い。嘔吐した後も、ずっと継続して痛くて動けない状態だった」
「鮮魚店で購入したイワシの刺身を食べて発症。痛いし苦しいし息苦しい。みぞおちが締め付けられる感じだった」

このように、自分で釣った魚、鮮魚店で買った魚の他にも、飲食店の刺身の盛り合わせや、スーパーで買った刺身などで発症した事例もあります。
アニサキスが寄生していることに気付かずに魚を食べると、アニサキスがヒトの胃や腸の壁に侵入して胃腸炎を起こすことで、激しい腹痛や嘔吐などの食中毒を引き起こします。

近年増加するアニサキス食中毒

近年の患者数を見ると、以前より増加傾向にあることが分かります。
最近では、アニサキスが食中毒全体の原因の半数近くを占めるとも言われており、かなり身近な食中毒となっています。
graph
※2018年が特に多いのは、カツオが大量に獲れた年だったためです。

ではなぜ近年、アニサキスによる食中毒が増加しているのでしょうか。
要因として考えられることは諸説あります。

・ 温暖化の影響で海水温が高くなり、アニサキスが増えやすい環境になっている
・ アニサキスの終宿主であるクジラの数が増えている
・ 流通ルートや技術の向上などにより、より新鮮な種々の生魚が手に入りやすくなった

正しい予防と対策は?

アニサキスによる食中毒を予防するためには、生の魚を買うときはできるだけ新鮮な魚を選び、早めに内臓を取り除きましょう。
内臓は絶対に生で食べないでください。
魚を調理するときには、目で幼虫がいないか確認しましょう。
また、幼虫がまな板や包丁などから、他の食品に混入する場合があるので、他の食材を近くに置かないことや、使用した調理器具は熱湯消毒しましょう。

そして、巷で噂されているような、酢で締める・塩漬けにする・醤油やわさびで漬けるなどの処理では、アニサキスは死滅しません。
ただ、加熱または凍結で死滅するので、調理をする場合には中心部まで十分加熱(70℃以上)するか、中心部まで完全に凍結させる(-20℃で24時間以上)ことです。

最後に、腹痛や嘔吐などの症状は食後2~8時間後に起こることが多いです。
生の魚介類を食べてからこのような激しい症状が起こったときは、アニサキスによる食中毒かもしれません。
アニサキスは人の体内では長く生きられないので、1週間以内には死ぬといわれています。
そのため、腹痛などの症状は自然によくなることもありますが、症状が激しい場合は速やかに受診いただくことをお勧めします。
胃内視鏡検査を行い、アニサキスをその場で除去してもらうと強い痛みは治まります。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

中村 有紀株式会社ドクタートラスト 保健師

投稿者プロフィール

行政や健診センターにて幅広い年代の方々と関わる中で、働く世代の健康づくりの難しさを痛感すると共にその重要さを感じ、現在は産業保健師として活動しています。
仕事で忙しくご自身の健康に目を向ける機会が少ないという方々にも、役立つような健康情報を分かりやすくお届けしてきたいと思います。
【保有資格】看護師、保健師、第一種衛生管理者、人間ドック健診情報管理指導士
【詳しいプロフィールを見る】
【ドクタートラストの保健師サービスへのお問い合わせはこちら】
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼などはこちらからお願いします】

この著者の最新の記事

関連記事

解説動画つき記事

  1. 衛生委員会等のオンライン開催についての通達が示されました

    【動画あり】もっと深く知りたい方必見!衛生委員会等のオンライン開催について詳しく説明します

一目置かれる健康知識

  1. 他人ごとだと思っていませんか?若年性認知症
ページ上部へ戻る