じめじめした梅雨の季節になりました。
梅雨になると「食中毒」が気になり、普段以上に食品管理に気をつかう方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は過去5年間の食中毒発生状況と、梅雨時に気をつけたい職場の食中毒対策について紹介します。
2021年の食中毒発生状況は事件数、患者数ともに過去5年間で最も低い
上記は、過去5年の食中毒発生状況をグラフにまとめたものです。
2021年の事件数は717件、患者数は11,080人と過去5年間で最も低い数値になっています。
また食中毒は湿度や気温の高い梅雨から夏場に発生が心配されますが、2021年の月ごとの発生データをみると多く発生しているのは「3月」「10月」「12月」で、夏場ではありませんでした。
これは4月から9月に緊急事態宣言が発令されたため、その影響で事件数が少なくなったと考えられます。
食中毒の事件数が減少している背景は、「新型コロナウイルス」の影響が考えられます。
厚生労働省は新型コロナウイルス対策による衛生意識の向上や、例年食中毒の事件数が多い「飲食店」での食事機会が大幅に減少したことが影響しているとの認識を示しました。
しかしながら、場所別の発生状況では「飲食店」が283件と4割近くを占めています。
また、飲食店からテイクアウトした料理を家庭で食べたことによる食中毒も24件発生しています。
コロナ禍で衛生意識が向上しているものの、加熱が十分でない調理や、買ったお弁当の保管棟には十分に気をつけていきたいですね。
また、厚生労働省では事業者向けにテイクアウト・デリバリーにおける食中毒予防についてチェック項目を設けて周知しています。
<チェック項目>
☑ テイクアウトやデリバリーに適したメニュー、容器ですか?
◆鮮魚介類などの生ものの提供は避けましょう
◆水分を切る、よく煮詰める、浅い容器に小分けするなど傷みにくい工夫をしましょう
☑ お店の規模や調理能力に見合った提供数になっていますか?
◆注文を受けてから調理するなど、食べられるまでの時間を短くする工夫をしましょう
◆容器詰めは、清潔な場所で行いましょう
☑ 加熱が必要な食品は、中心部まで十分に加熱していますか?
◆”半熟”卵や、”レア”なお肉の提供は、テイクアウト・デリバリーでは控えましょう
☑ 保冷剤、クーラーボックス、冷蔵庫、温蔵庫などを活用していますか?
◆調理した食品は速やかに10℃以下まで冷やすか、65℃以上で保管しましょう
◆食中毒菌は、20~50℃の温度帯でよく増えます!
☑ 速やかに食べるよう、お客さんにお知らせしていますか?
◆購入した食品は速やかに食べるよう、口頭で、または容器にシールを貼るなどして、お客さんに伝えましょう。
出所:厚生労働省「テイクアウト・デリバリーにおける食中毒予防」
職場でできる食中毒予防のポイントと食中毒への対応
2021年に事業所で起きた食中毒は全体の約4%です。事業所の内訳では老人ホームなどの給食施設で多く発生しています。
「給食施設だから自分には関係ないや」と思った方はいらっしゃいませんか。
「キッチンカーなど社外で購入した食品」「仕出し弁当や手作りのお弁当」「社員食堂」など、わたしたちの働くオフィスでも食中毒が発生しやすい食品や環境はあるため、以下の点に気を付けましょう。
冬場を中心に流行しやすいノロウイルスは、コロナウイルスと違ってアルコール消毒が効きにくいため食事前は手洗いを丁寧に、確実にする
買ったお弁当や食品はなるべく早く食べる
買ったお弁当や手作りのお弁当は短時間でも冷蔵庫で保管する(朝お弁当箱に食品をつめる際は、冷めてからつめること)
食材はよく加熱して食べる(75℃以上で1分加熱が基本)
食中毒のサインと受診目安をお伝えします。
<食中毒のサイン>
食後数時間で、腹痛・下痢・嘔吐などがおこった場合は食中毒の可能性があります。
体内で増殖した細菌やウイルスの排出を妨げる恐れがあるため、下痢止めや吐き気止めを自己判断で服用しないようにしてください。
<こんなときは受診を!>
1日に10回から20回、激しい下痢が続く、嘔気嘔吐がとまらない
激しい腹痛がある
意識がもうろうとしている
水分の補給ができない など
まとめ
今回は梅雨時に気になる「食中毒」について紹介しました。
食中毒予防のポイントは、冬場を中心に流行しやすいノロウイルスは、コロナウイルスと違ってアルコール消毒が効きにくいため食事前は手洗いを丁寧に、確実にする。買ったお弁当や食品はなるべく早く食べる。
お弁当は短時間でも冷蔵庫で保管する食材はよく加熱して食べる(75℃以上で1分加熱が基本)、といった点に注意してください。
梅雨に限らずどの季節でも食中毒は発生しています。
日頃から食材管理や手洗いなどに気をつけて食中毒を予防していきましょう。