【管理栄養士が教える】朝、それとも夜?「腸活」に効果的なタイミングは存在する?

冬になり冷え込む日が多くなってきましたね。
気温とともに体温が下がると現れる不調の1つに便秘があります。
便秘には血行不良によって腸のはたらきが不活発になることや、寒さから活動量が減ることなどが影響しています。
お腹周りの不調を感じたとき、ぜひ実践していただきたいのが「腸活」です。
腸活とは、腸内環境をより良い状態にするために、食事に気をつけたり必要な運動をしたりすることです。
実践している方が多いものだと、ヨーグルトを食べたり、日頃から野菜を意識的に取り入れて食物繊維を摂取することなどがあげられます。
せっかく腸活をするなら、より効果的なタイミングで取り入れたいですよね。
1日のうち、どのタイミングで腸活を行うのがよいのでしょうか?
本記事では、そんな疑問にお答えします。

善玉菌を活発にすることが腸活のカギ!

腸内環境は、腸に生存している細菌のバランスによって左右されます。
そして腸内細菌は、働きによって善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3つに分けられます。

善玉菌

善玉菌は、腸内環境を悪化させる悪玉菌の侵入や増殖を防いだり、腸の動き(蠕動運動)を促すなどの作用により、腸内環境を整えます。

悪玉菌

悪玉菌は、増えすぎると体内で有害物質をつくり、腸内環境を悪化させるため、便秘や下痢、肌荒れなどを引き起こす原因になります。

日和見菌

腸内細菌の中では最も数が多いのが日和見菌です。
善玉菌・悪玉菌のどちらにも属さず、腸内の善玉菌と悪玉菌、数が多い方に味方して働きます。

上記のように、腸内細菌の大多数を占める日和見菌が、善玉菌・悪玉菌のどちらに味方するかが腸内環境を左右します。
ですから腸活のために重要となるのが善玉菌を活発にして、正常な腸内環境を維持することです。

善玉菌を活発にする食べ物

善玉菌を増やし、腸内細菌のバランスを整えるためのポイントは「善玉菌を増やすこと」と「善玉菌を元気にすること」です。
そのためには、善玉菌を含むものと善玉菌のえさとなるものをとることが重要です。

善玉菌を含むもの

善玉菌は、よくお腹の調子を整えるために良いと言われる、ヨーグルトやぬか漬け、納豆などの発酵食品に多く含まれます。
善玉菌の生存期間は長くて2週間ほどで、腸内に住み着くわけではないため毎日続けて摂取して、補充する必要があります。
ただ、キムチ、ぬか漬け、チーズなど、発酵食品には塩分高めなものも多いので、たくさん食べればよい、というものではありません。
塩摂取過多にならないよう、食べ過ぎには注意しましょう。

善玉菌のえさになるもの

善玉菌は食物繊維やオリゴ糖をえさにします。
両方を含む食材としては、玉ねぎ、ゴボウ、きのこ類、果物などがあげられます。
食物繊維の中でも、腸内細菌のえさとなるのは水溶性食物繊維です。
水溶性食物繊維は海藻、里芋、オクラ、果物など、表面がぬるっとしたり、水分を多く含んだ食材に含まれます。
中でも乾燥わかめは、水で数分戻すだけで手軽に食物繊維をプラスすることができるうえ、長期保存が可能で管理しやすいため、自宅や職場にストックしておくと便利です。
冬が旬の長いもには、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方が含まれます。
不溶性食物繊維で便のかさを増やしつつ、水溶性食物繊維で腸のはたらきを活発にすることができるので腸活にはピッタリの食材です。

以下の記事には、その他の具体的な食材や摂取方法もまとまっております。ぜひこちらも参考にして、善玉菌を活発にする食材を取り入れましょう。

また上記の食材の摂取と合わせて、腸の血行を良くするためにお腹周りをカイロやブランケットで温めたり、冷たい飲食物を控えることも有効です。

効果的な腸活のタイミング

腸活の効果的なタイミングは、朝とも夜ともいわれますが、実はそれぞれにメリットがあって、必ずしもいつがいいというわけではありません。
善玉菌を効率的に働いてもらうためには、腸が活発なタイミングで腸に善玉菌を届けることが有効です。
そして、1日の中で腸が活発に動くのは起床直後と睡眠中です。ですから、朝と夜どちらに食べても効果が期待できます。
ただ、菌を生きた状態で腸まで届けたい場合には、空腹時や食事の最初に食べるのは避けることをおすすめします。
空腹時は、胃の消化液である胃酸の酸性が強いため、その状態で発酵食品を食べると、せっかく生きていた善玉菌が死んでしまう可能性が高まります。
ですから、善玉菌を生きたまま腸まで届けたい場合には、食事の最初ではなくある程度食べ進めたころに取り入れるのがポイントです。
また発酵食品においては、体内で消化されやすい特性も持ち合わせています。
夕食が遅い時間になってしまったときなどに取り入れると消化吸収を助ける作用があるため、そういった観点では夕食に取り入れるのがおすすめです。
先述したように、善玉菌は腸内で働き続けてくれるわけではありません。ですから、1日のうちいつに食べるのが一番いいというよりは、日々継続的に食べる習慣をつけるほうが大事です。

ご自身の取り入れやすいタイミングや方法を探して、腸活を毎日の習慣にしていきましょう!

<参考>
・ 厚生労働省 e-ヘルスネット「腸内細菌と健康」
・ 辨野義己監修『自力で腸を強くして一生健康!』(宝島社、2015年8月)

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佐々木ももこ株式会社ドクタートラスト 管理栄養士

投稿者プロフィール

4年間、管理栄養士として病院や保育園で経験を積む中で、子どもたちの生活習慣や健康状態に働く世代である保護者の習慣が大きく関わることを実感、企業の健康経営に携わりたいと考えドクタートラストに入社いたしました。
経験を活かしつつ有益な情報の発信ができるよう尽力いたします。
【保有資格】管理栄養士
【ドクタートラストの特定保健指導サービス詳細はこちら】
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼、リリース送付などはこちらからお願いします】

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