9月は「食生活改善普及運動月間」~手間不要!ちょっとの工夫でバランス重視の食事が叶う~

厚生労働省では、毎年9月1日から30日までの1か月間を「健康増進普及月間」、「食生活改善普及運動月間」としています。
このうち2024年度の「食生活改善普及運動」は「食事をおいしく、バランスよく」を基本テーマとし、以下の取り組みをさらに強化するため、全国的に展開されます。

・ バランスのよい食事を取っている者の増加
・ 野菜摂取量の増加
・ 果物摂取量の改善
・ 食塩摂取量の減少

今回は、この4点の改善ポイントをご紹介します。

「バランスのよい食事」には冷凍食品や乾物がおすすめ!

そもそも「バランスのよい食事」とは

1つ目の、「バランスのよい食事」とは、主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を指します。
農林水産省が2024年3月に公表した「食育に関する意識調査報告書」によると、「主食・主菜・副菜を組み合わせた食事」が1日2回以上の日がほぼ毎日の者の割合は、全世代で38.2%でした。
20~39歳の若い世代では28.3%と特に低い傾向にありました。
同調査で、主食・主菜・副菜を3つ揃えて食べる回数を増やすために必要なことを聞いたところ「手間がかからないこと」を挙げた人の割合が 59.9%と最も高く、次いで「時間があること」(52.1%)、「食費に余裕があること」(49.8%)でした。
厚生労働省が2023年5月に公表した「21世紀における第三次国民健康づくり運動」(健康日本21(第三次))では「主食・主菜・副菜を組み合わせた食事が1日2回以上」がほぼ毎日の者の割合を2023年度に50%にすることを目標としています。

「野菜摂取量の増加」には副菜摂取量を増やしたい

また、厚生労働省が2016年11月に公表した「平成27年国民健康・栄養調査」では、主食・主菜・副菜のうち、組み合わせて食べられないものは、男女とも「副菜」が最も高いことがわかっています。
食生活改善普及運動の目標の1つ「野菜摂取量の増加」を満たすためにも、副菜のおかずを食べたいところです。
なお、「健康日本21(第三次)」では1日350gの野菜摂取が目標とされています。

超有能!食物繊維

「食育に関する意識調査報告書」を踏まえると、バランスのよい食事をするためには、手間や時間をかけずなおかつ費用を抑えて副菜を準備することがポイントになるわけですが、そんなときは冷凍食品や乾物の活用するのがおすすめです。
これらの食品は、価格変動がしにくく、長期保存も可能なので経済的です。
野菜に多く含まれる栄養素「食物繊維」は冷凍をしても壊れにくくほとんど摂取量も変わりません。

最近では、スーパーだけでなくコンビニ等でも冷凍の野菜を販売していますね。
個人的には、この時期おすすめの食材が「オクラ」です!
解凍するだけですぐ食べられる輪切りになって販売されています。
調理も簡単で、汁物にいれたり、ポン酢をかけたり、納豆やめかぶ、もずくとあわせて食べたり、凝った調理をしなくとも何かに加えるだけでもOKです。
(胃腸の粘膜保護を助ける食物繊維が豊富で、今年の夏も猛暑で夏バテ気味だったという方に、おすすめの食材です! )

また、副菜というと、野菜をイメージする人も多いと思いますが、野菜だけでなく、からだの調子を整えるビタミン、ミネラル、食物繊維が多く含まれる海藻類やキノコ類も当てはまります。
乾燥ワカメ、キノコを常備して水戻ししておかずや一品加えるのもおすすめです。

果物を料理に取り入れてみよう!

果物200gってどれくらい?

また、果物摂取量の改善について、生活習慣病のリスク低下が期待できることから「健康日本21(第三次)」では、1日200gの果物摂取が目標とされています。
果物200gはリンゴ、ナシ、モモ、カキなら1個、ミカン、キウイフルーツ、バナナなら2個程度が目安です。
しかし厚生労働省が2020年に公表した「令和元年国民健康・栄養調査」によると、日本人の果物平均摂取量は100g程度となっています。
また、公益財団法人中央果実協会が2022年5月に公表した「令和4年度果物の消費に関する調査報告書」によると、1日の摂取量が200g未満の人に現状の摂取量である理由を調査したところ、価格が高いことや他に食べる食品がある、一度にそんなに量を食べられないからなどの理由が挙げられていました。

果物摂取量を増やすポイント

個人的におすすめの果物の摂取量を増やすポイント1つ目が、旬の果物を食べることです。
というのも旬の果物はリーズナブルに購入しやすいためです。
秋でいうと、りんご、梨、ぶとう、柿などが当てはまります。
また、バナナやキウイフルーツは若干値上がり傾向ですが、1年中手に入りやすく他の果物とくらべると価格が安定しているので買いやすいでしょう。

ポイント2つ目は、果物を料理に取り入れることです。
デザートとして果物を食べる方も多いと思いますが、料理に取り入れることで食べる習慣が身に付きやすくなります。
サラダのトッピングにのせたり、ソース、和え物にしても味のアクセントになります。
公益財団法人中央果実協会が運営している「毎日くだもの200グラム!」というサイトでも果物を使ったレシピを公開しているので参考にしてみてください。

公益財団法人中央果実協会「毎日果物200グラム!」

健康のためのサラダ、ドレッシングはかけすぎていない?

塩分摂取量多めの日本人

高血圧をはじめとした生活習慣病やがんの発症等にも関連があることから国の定める食塩の摂取目標量は男女ともに7g/日未満とされています。
ところが「令和元年国民健康・栄養調査」によると、日本人の平均の食塩摂取量は現状10.1gです。
そのだめ1日3g程度の塩分量を減らす必要があります。
普段の食事にどのくらいの塩分量が含まれているのか、どれだけ塩分をとっているのか、まずは食品の裏の成分表示などを確認してみましょう。

以下は、生活習慣病予防の食事相談をした方の食事を例に塩分量です。

朝:トースト1枚:塩分0.8g、ベーコンと目玉焼き:同1.5g、サラダ(ドレッシング付):同1.4g
昼:ラーメン:塩分6.9g、半チャーハン:1.9g
夜:幕の内弁当:5.1g、味噌汁:2.4g
1日の合計食塩摂取量:20.0g

外食が多い若い男性の食事でよく見かけるパターンです。
この方の場合は、目標とする食塩摂取量の約3倍近く摂取していました。

まず気を付けたいのは「ドレッシング」

ではどのように食事から食塩を減らしたらよいのでしょうか?
日本人は食塩摂取量の7割は調味料から取っているとされています。
そのため、食塩摂取量を減らすうえでは調味料の使い方に気を付けることが最優先です。

塩分摂取量を減らすコツ

たとえば、朝ご飯でのサラダ。
健康のためにサラダを食べていてもドレッシングをかけ過ぎてしまい塩分の取りすぎになってしまうかもしれません。
お皿の下まで溜まってしまうのは、かける量が多いかもしれません。
サラダにかけるドレッシングは、大さじスプーン1杯分程度までを目安にしてみましょう。
また、減塩タイプのドレッシングに変えてみたり、ドレッシングの代わりにレモン汁や無塩のリンゴ酢、ごま油、オリーブオイル、フライドガーリック、胡椒などアクセントになる調味料や食材、スパイスを活用するのもおすすめです。

昼食のラーメンではラーメンの汁は残すようにしましょう。
また、チャーハンを白米にするなど、味の濃いものを1食で複数食べるのを控えるようにしましょう。

夕飯では、味噌汁を減塩タイプのものにすると、商品にもよりあますが半分の量の塩分をカットすることができます。
お弁当についているソースや醤油などは、上から全部かけるのではなく、つけて食べましょう。
とんかつにソースをかけると約大さじ1杯で塩分量1g程度になりますが、つけて食べると約小さじ1杯で0.3g程度と約0.7gの減塩につながります。
「たったこれだけの量?」と思う方も中にはいるかもしれませんが、小さな積み重ねで少しずつ塩分量を減らしていきましょう。

「健康増進普及月間」および「食生活改善普及運動」の期間である9月は、今一度ご自身の食事を振り返ってみましょう。
特に、主食、主菜、副菜を揃えたバランスの良い食事ができているか、野菜や果物の量は少なくないか、食塩の摂取量は多くないか確認し、取り組めそうなことから改善に努めてみてください。

<参考>
・ 厚生労働省「令和6年度食生活改善普及運動の実施について」
・ スマート・ライフ・プロジェクト「令和6年度食生活改善普及運動について」
・ 農林水産省「食育に関する意識調査報告書」
・ 厚生労働省「健康日本21(第三次)」
・ 厚生労働省「平成27年国民健康・栄養調査」
・ 厚生労働省「令和元年国民健康・栄養調査」
・ 公益財団法人中央果実協会「令和4年度果物の消費に関する調査報告書」

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宮野 友里加株式会社ドクタートラスト 管理栄養士

投稿者プロフィール

年間100人以上の特定保健指導、ダイエットサポートを食事面、運動面から行う管理栄養士。
食事に関するアドバイスはもちろん、自分自身がデスクワークを始めてから悩まされている「肩こり・腰痛」「目の疲れ」の予防、改善方法についてもセミナーや執筆活動を通して積極的に情報提供している。
目標は「働く世代の方々にとってが管理栄養士が身近な存在になること」
【保有資格】管理栄養士
【ドクタートラストの特定保健指導サービス詳細はこちら】
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼、リリース送付などはこちらからお願いします】

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