働く女性の妊活②-妊娠しやすい体を作る食事

インターネットで「不妊」「妊活」「食事」などの言葉を検索すると、様々な情報が氾濫しています。
実は、その情報の多くに医学的な根拠がなく、○○を食べると良い! や、逆に△△を食べ過ぎると妊娠しにくくなる! といった情報の多くは、調べてみると根拠となるデータが乏しいことが多々あります。

そのような情報に惑わされず、今できること・続けられることを見つけて、いつか子どもを授かりたいと思ったときに「妊娠できる体」を目指しませんか?

医学的に根拠がある「妊娠に効果がある食事」とは

不妊治療の専門クリニックで、栄養指導をされることは、実はほとんどありません。
それは、薬剤での治療と比較すると、科学的な裏付けが取れておらず即効性には欠けるため、「不妊治療にはこの栄養指導!」という治療の指針がないからです。
しかし、その中でも、医学的に妊娠に結び付く研究結果が発表されている食事のポイントがいくつかありますので、ご紹介します。

 ① 加工食品・インスタント食品を控える
 ② 糖分を多く含む食事を控える
 ③ ビタミンB/ビタミンE/ビタミンCを意識して摂る
 ④ 鉄分(特に非ヘム鉄)を積極的に摂る

加工食品・インスタント食品に多く含まれる「トランス脂肪酸」は、体を酸化させる(=錆びさせる)成分として知られています。
トランス脂肪酸の過剰摂取は、排卵障害や、卵巣の機能の低下につながるという研究結果もあり、摂りすぎないように注意が必要です。
具体的にはマーガリン、ショートニングといった成分は、トランス脂肪酸に当たります。菓子パンのパッケージを見ると、間違いなくほとんどの製品に含まれています。

また、脂肪分や糖分を多く含む食事を摂ると、体重が増え、肥満になりやすくなります。
その結果、ホルモン分泌が乱れ、「PCO(多のう胞性卵巣症候群)」という、排卵しにくい状態を作り出すことがあるため、注意が必要です。

ビタミン、鉄分に関しても、妊娠に関する様々な数値との関連が研究されています。
特に日本人女性は貧血が多く、通常の血液検査ではわからない「隠れ貧血(フェリチンという数値が低い)」の方も多いといわれています。
ダイエット! と肉・魚を控えるのではなく、脂身の少ないお肉や魚などは積極的に食べるようにしましょう。特に吸収されやすいヘム鉄は、レバー・牛もも肉赤身・カツオなどに多く含まれています。

やはり基本は「和食」

現在、いくつかの不妊治療クリニックでは、栄養指導を併用した治療・研究も始まっており、論文も発表され始めています。
それらのクリニックでの指導に共通するものは、やはり、玄米など未精製の穀物、納豆や味噌など発酵食品、緑黄色野菜・根菜類、良質なたんぱく質(肉・魚)をたくさん摂る……という指導にいきつくことが多いようです。
基本は、月並みな言い方になってしまいますが、バランスのとれた食事を摂ることが何より大切と言えるでしょう。
1人暮らしだったり、お仕事が忙しいと、どうしても手軽に食べられるパスタやファーストフードに頼ってしまいがちですが、
・ 玄米をまとめて炊いて、和食を中心としたお惣菜を買うようにする。
・ 週末にまとめて和惣菜を作り置きしてみる(作り置きブームで、参考になる本がたくさん書店に並んでいます!)。
・ 外食は和食屋さんを選ぶ
などの工夫で、食生活を変えて行くことができます。

いきなり料理をしよう!と意気込まなくとも、例えば具材たっぷりの豚汁に玄米おにぎりだけでも、パスタだけ・菓子パンだけの食事より、バランスが取りやすく脂肪分も抑えられます。
妊娠だけでなく、ダイエットや美肌にも役立つ食事メニューになりますので、まだ具体的に妊娠を考えていない頃からでも、是非取り入れていきたい食事習慣ですね。

こんな食事はNG!

先に書かれた内容をお読み頂ければ、大体予想がつくかと思いますが、女性に多い以下のパターンは、実は栄養バランスが取りにくいことが多いのです。
■ サラダとパンのランチ→タンパク質不足
■ 菓子パンやサンドイッチだけのランチ→ビタミン・タンパク質不足
■ パスタランチ→ビタミン・タンパク質・野菜不足
■ おにぎりと野菜ジュースだけ→タンパク質不足

いきなり100%健康に良い食事へと転換するのは、とても大変ですし、ストレスも溜まってしまいます。
まずは菓子パンを買うときに「成分表記」に目を通してみる、外食が続いたら自炊の日を挟むなど、出来ることから、少しずつ初めていくことが大切です。

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中村 眞弓株式会社ドクタートラスト 保健師

投稿者プロフィール

企業での健康相談や産業保健の経験を生かし、「じっくり聴く・しっかり考える」保健師を目指しています。社員の皆様・人事の皆様と一緒になって企業の健康を支えていけるよう頑張ります。
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