20~40代は要注意!「麻疹(はしか)」~知識と対策~

麻疹(はしか)に関するニュースが日々報じられています。
海外旅行客を発端とした沖縄での麻疹感染のニュースを目にされた方も多いのではないでしょうか。
その後も、沖縄から帰ってきた患者から名古屋の医療従事者へ、感染者が増えています。
日本でのオリンピック開催が2020年に控えていることから、海外からの観光客は増える一方とされており、麻疹の感染リスクも高まるでしょう。
麻疹から身を守るためにには、正しい知識を身に付けることが重要です。

麻疹の症状を知っておこう

麻疹の症状には次の特徴があります。

・ 感染から10〜12日後に発熱・咳・鼻水・目の充血が起きる。
・ 頬の粘膜(口の中)に直径1~2mmくらいの白い斑点ができる。
・ その後いったん体温が1℃くらい下がり、再度39℃程度の発熱。同時に顔から全身に向けて赤い発疹が広がる。

全身に発疹の広がる前がもっとも感染しやすいため、本人も麻疹であることに気づかずに、感染を周囲に広げてしまうことがあります。
また、麻疹は完治までに1週間前後必要で、重症化すると入院治療が必要なケースもあります。
さらに、免疫が回復するまで1ヶ月程度は他の感染症に注意が求められ、発疹が黒ずんでしばらく残るなど、長期的に生活に影響が出る感染症です。

麻疹の怖さは、その感染力

麻疹の流行が大きく報道される理由として、その感染力の高さが挙げられます。
麻疹は、感染者の咳やくしゃみから、空気感染や接触感染をします。
その感染力は非常に強く、冬季によく流行するインフルエンザの10倍近いともされ、免疫を持っていない人はほぼ100%感染するほど強いものです。
さらに、麻疹ウイルスは非常に小さいため、市販のマスクを通り抜けてしまいます。
うがい・手洗い・マスクという感染予防対策は、麻疹に関しては効果的がありません

感染を防ぐ手段は予防接種のみ

麻疹の感染を防ぐ最も確実な手段は、「2の予防接種を受けること」です。
※ 過去に確実に麻疹に罹患した方は、免疫を獲得しているため、必要ありません。

ご自身の予防接種歴を把握している方は少ないと思いますので、以下の方法で確認をしましょう。

1. 母子手帳が残っていれば、予防接種歴を確認する

・ 麻疹の予防接種を2回受けている
→問題ありません。

・ 1回しか受けていない場合や、接種歴がはっきりしない場合
→麻疹にかかる可能性があるといえます。

2. 医療機関を受診する

上記1で予防接種歴がはっきりしない場合や、予防接種の回数が不足している場合は、医療機関(内科でよいでしょう)を受診して医師に相談しましょう。
麻疹に対する免疫があるかどうかを調べることも可能です。
予防接種の回数が不足してる可能性が高い場合は、接種を行います。
麻疹のワクチンは、風疹と混合の場合1万円前後で受けられ、お住まいの自治体から補助が出るケースもあります。

1977年〜1990年生まれは「ワクチン空白世代」

1977〜1990年生まれの方は、定期接種が1回のみだった可能性が高いため、特に注意が必要とされています。
ご自身がこの年代に該当する場合は、母子手帳を確認して、必要な場合はなるべく早く予防接種を受けましょう。
また、妊娠している方や抗がん剤を使っている方は、麻疹の予防接種を受けることができません。
その場合は、主治医によく対策を相談してください。身近に麻疹の感染者が出た場合は、一時的に生活圏を移すことも必要になります。
※ 麻疹の予防接種後は、2ヶ月程度の避妊が必要となります。妊娠の可能性がある方は、ご注意ください。

企業として取ることができる対策とは

企業として、麻疹の感染拡大を図ることは、社員を守る意味でも、社会貢献という観点からも重要です。
具体的には次の方法が挙げられます。
・ 社員の予防接種歴を確認するよう呼びかける
・ 予防接種が2回必要であることをポスターや社内メールで呼びかける
・ 予防接種希望者には費用補助をする
衛生委員会で議題に取り上げるとともに、産業医や衛生管理者が中心となって、企業内での対策を打つことが望ましいでしょう。
医療関係者だけでなく、接客業や旅行業なども、感染のリスクが高いと考えられます。
今回の沖縄の流行は、台湾からの旅客からの感染拡大が原因と考えられていますが、まだまだ世界では麻疹が流行している国があります。
事業が海外へ展開し、出張の機会が増える企業などは、必ず事前に海外渡航者向けのクリニックを受診させるなどの対策を取ってください。
麻疹は恐ろしい感染症ですが、予防接種さえきちんと受けていれば、感染する確率はほぼありません。
ご自身の健康を守るために、また感染を広げてしまわないために、今すぐにでも予防接種歴の確認をしてみましょう。

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中村 眞弓株式会社ドクタートラスト 保健師

投稿者プロフィール

企業での健康相談や産業保健の経験を生かし、「じっくり聴く・しっかり考える」保健師を目指しています。社員の皆様・人事の皆様と一緒になって企業の健康を支えていけるよう頑張ります。
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