働く女性の妊活③-妊娠したい人に向くダイエット・向かないダイエット

過去の働く女性の妊活記事では、婦人科の選び方や食事についての情報をお伝えしてきました。
今回は、女性とは切っても切れないお話である「ダイエット」の視点から、妊娠との関連についてお伝えします。

ダイエットの方法次第では、妊活を後押ししたり、逆に妨げてしまうこともあるのをご存知でしょうか?

【働く女性の妊活に関する過去記事はこちらから】



ダイエットと妊娠の関係

まず知っておくべきことは、肥満は、排卵障害を引き起こすことがある、という事実です。

ご自身が肥満の域に入っているかどうかは、BMIから数値を計算することで判断できます。
BMI(Body Mass Index):
体格指数=体重(kg)÷身長(m)÷身長)が22を適正体重とし、25以上を肥満、18.5以上25未満が普通、18.5未満をやせと判定する指標
※排卵障害があるからと言って、自己判断で極端なダイエットをすることは危険です!ご注意ください。

赤ちゃんを授かるためには、まず卵子が受精が可能な状態にまで育ち、卵子の外に飛び出ることができないと、精子と出会い着床することができません。
肥満になると、脂肪細胞から「アディポネクチン」と呼ばれるタンパク質の分泌が減ります。
このアディポネクチンが減ることで、卵巣の皮が固くなり、卵子が外に出ることができず、卵子自体がきちんと育たなくなったり、卵巣から外に出ることができなくなってしまうのです。
妊活には肥満を解消することが大切という点はおわかり頂けたかと思いますが、それでは、具体的にどのようなダイエットならOK、またはNGなのでしょうか。

妊活を妨げるダイエット ①極端な食事制限

女性は、男性とくらべて食事制限のダイエットに頼りやすいと言われています。
もちろん甘いケーキやお菓子、揚げ物などを控えることはダイエットの王道です。
しかし、短期間に痩せようとしたり、食事は野菜のみ・タンパク質は豆類から取るといった極端なビーガン(完全菜食)ダイエットも、時として貧血や低蛋白を引き起こし、逆に排卵を妨げてしまうことがあります。
美容・健康のために菜食ダイエットを取っている方は、特に貧血に注意が必要です。
貧血は排卵障害や、黄体ホルモンと呼ばれる女性ホルモン(受精卵の着床に関わる)の分泌を引き起こすことがあるからです。
玄米菜食に近い形でのダイエットを始める方は、鉄分含有量の高い食品やたんぱく質、ビタミンCなどを積極的に摂る必要があります。

妊活を妨げるダイエット ②極端な運動

1日30分程度の適度な運動は、妊活にとってもダイエットにとっても、非常にプラスになります。
しかし、1日60分を超えるような激しい運動は、無月経を引き起こすこともあります。
特に思春期に部活動などで激しい運動を行い、無月経や生理不順を抱える方は、早い段階で婦人科医と相談することも必要です。

妊活に効果的なダイエット ①糖質制限ダイエット

では、流行が続く「低糖質ダイエット」「糖質オフダイエット」はどうなのでしょうか。
医学的には、排卵障害と血糖値には関連があることがわかってきています。
一部の研究でも、糖質を控えてタンパク質の摂取量を増やしたことで、男女ともに体外受精の妊娠率が上昇したという結果も発表されています。
現代の日本人はご飯・パン・パスタなどの糖質(=炭水化物)が多すぎる食生活を送っているとされているため、これらを控えるダイエットは、妊娠にはプラスに働くと言えそうです。
急激な血糖値の上昇を防ぐために、野菜→メイン→炭水化物と食べるような食事の摂り方も効果的です。

妊活に効果的なダイエット ②30-60分の有酸素運動やヨガ

先に述べたような激しいトレーニングではなく、少し体に負荷がかかる程度の有酸素運動は、妊娠にもプラスに働くとされています。
不妊治療クリニックの中でも、ランニングマシーンを用いたウォーキングを取り入れる施設も出てきています。
また、ヨガやストレッチのような血行をよくする運動もお薦めです。
週末を含めた週に何回かの有酸素運動と、自宅でのストレッチやヨガの併用なども良いでしょう。
妊娠と栄養・運動には、密接な関係があります。
極端な運動や食事でダイエットを行い、結果として月経周期が乱れたまま長い期間を過ごしている若い女性も珍しくありません。
妊活を意識される方は、ぜひ健康的なダイエットを心がけてください。

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中村 眞弓株式会社ドクタートラスト 保健師

投稿者プロフィール

企業での健康相談や産業保健の経験を生かし、「じっくり聴く・しっかり考える」保健師を目指しています。社員の皆様・人事の皆様と一緒になって企業の健康を支えていけるよう頑張ります。
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