食欲の秋、みなさんの食欲はいかがでしょうか。
保健指導でお会いする方に、食道の不快な症状があって食事を楽しめないというお話を伺うことがあります。
今回は、そんな働く世代に多い「食道の不快な症状」についてご紹介します。
食道の不快な症状
・ 胃から酸っぱいものがあがってくる
・ 胸やけがする
・ 胸が痛む
・ 喉の違和感
・ 咳が出る
こういった症状が続く場合は、胃食道逆流症かもしれません。
胃食道逆流症
食べ物を飲み込むと、食道を通って胃に入ります。
通常は胃に入った食物が逆流しないように筋肉が役目を果たしていますが、うまく働かずにゆるんでしまうと、胃の内容物が逆流してしまいます。
胃には食物だけでなく、分泌された胃酸があるため、これが逆流すると食道や喉に不快な症状が出ることがあります。
放置しても問題ない?
不快なだけだから我慢していればと、受診しない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、放置していると合併症が起きることもあります。
たとえば、胃酸によって食道粘膜が繰り返し傷つくことで出血を招くことがあります。
また、まれではありますが、粘膜の細胞が変質して、食道がんを発症することもあります。
そのため、受診をしたうえで、定期的に検査を受けると安心です。
しかし、食道の不快な症状を引き起こすのは胃食道逆流症だけではありません。
他の病気が隠れていることもあるので、症状を放置せずに、受診をしましょう。
不快な症状を改善するには
胃食道逆流症の場合には、薬による治療が行われることが多いです。ここでは、治療と合わせて症状改善のためにできることをご紹介します。
* 食べ過ぎない
⇒食べ過ぎると胃酸の分泌が増えることで、逆流を起こしやすくなります。
* 脂っこいものを控える
⇒健康な場合でも脂っこい物を食べると胃がもたれますよね。脂肪を消化するのには時間を要します。胃の中に食物が長くとどまると逆流が起きやすくなります。
* 早食いしない
⇒早く食べると食事と一緒に空気を飲み込みやすく、胃が膨れます。また、消化に時間がかかり、食べ物が胃に長くとどまるので逆流が起きやすくなります。
* 食後すぐに横にならない
⇒胃に食物がある時に横になると物理的に食物等が逆流します。食後数時間は横にならないようにしましょう。
* 横になる時は左側を下にする
⇒体の構造上、左側を下にして横になると胃の内容物が逆流しにくくなります。
* 腹部を締め付けない
⇒腹部をきつく締めると、腹圧があがるため逆流することがあります。
* 肥満を解消する
⇒肥満は胃食道逆流症の原因になります。
ピロリ菌と胃食道逆流症
胃の中に胃酸が多いと、胃酸が食道へ逆流しやすくなります。ピロリ菌は胃潰瘍や胃がんのリスクを高めることで有名ですが、胃酸の分泌も減らします。
日本では、ピロリ菌感染率が低下してきているため、以前に比べ、胃食道逆流症は増加しているといわれています。
食事は大切なエネルギー源です。食事を気持ちよく取れるよう、不快な症状があれば対策・受診を行ってみていただければと思います。