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7月28日は世界肝炎デー~沈黙の臓器、肝臓の理解を深めよう~
- 2025/6/24
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世界肝炎デーと日本肝炎デー
世界保健機関(WHO)は、2010年に世界的レベルでのウイルス性肝炎のまん延防止と患者・感染者に対する差別・偏見の解消や感染予防の推進を図ることを目的として、7月28日を「World Hepatitis Day(世界肝炎デー)」と定め、肝炎に関する啓発活動等の実施を提唱しています。
また、2012年度から、厚生労働省は世界肝炎デーに合わせ、毎年7月28日を「日本肝炎デー」としています。
7月28日を含む月曜日から日曜日までを「肝臓週間」といい、肝疾患や肝炎ウイルスの感染予防に関して、全国でさまざまな啓発活動が行われています。
これを機に、皆さんも「肝臓」について理解を深めましょう。
肝臓のはたらきと、〇〇な臓器
肝臓の機能は大きく3つあります。
栄養素の代謝、有害物質の解毒、胆汁の生成です。
① 栄養素の代謝
私たちが経口摂取した食べ物や飲み物に含まれている栄養素は、消化管を通り、肝臓にやってきます。
② 有害物質の解毒
体内に取り込まれた有害物質を無毒化し、体外に排出するというとても大切な働きを担っています。
有害物質とは、アルコールや薬物なども含まれます。習慣的に飲酒をされる方、内服薬を定期的に内服されている方は、肝機能の数値を確認しましょう。
③ 胆汁の生成
胆汁は、脂肪を消化するための液体で、肝臓で1日に1リットルほどつくられています。
肝臓の中で常に分泌されている物質であり、おもに脂肪の乳化とたんぱく質を分解しやすくするはたらきがあります。
肝臓には、痛みを感じる神経が通っていないので、機能が低下しても自覚症状が出にくいという特徴があります。
このような特徴から「沈黙の臓器」と呼ばれることがあります。
定期健康診断や人間ドックでわかること
肝機能調査は法定項目の一つ
肝機能検査は、労働安全衛生規則第44条に定められている法定項目の一つになります。
(定期健康診断)
第44条 事業者は、常時使用する労働者(第45条第1項に規定する労働者を除く。)に対し、1年以内ごとに1回、定期に、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。
(中略)
七 肝機能検査
(後略)
出所:労働安全衛生規則
定期健康診断の採血でGOT、GPT、γ-GTPという項目を調べていますが、これは肝臓に機能を表すものになります。
それぞれ基準値を超えていないか、きちんと確認するようにしましょう。
また、人間ドックを受けている方は、腹部エコー検査(腹部超音波検査)でも肝臓の大きさ、脂肪の程度、血管の太さや形などを腹部の外側から確認することができます。
肝機能検査の数値が表していること
肝機能は採血の結果で確認することができます。
なぜ、血液中の物質を確認して肝臓の機能がわかるのでしょうか?
GOT(AST):アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ⇒肝細胞、心筋、骨格筋などに多く存在する酵素です
GPT(ALT):アラニンアミノトランスフェラーゼ⇒おもに肝臓の細胞内で生成される酵素で、アミノ酸の代謝に関わっています
γ-GTP:ガンマグルタミルトランスペプチダーゼ⇒肝臓の解毒作用に関わっている酵素です
これらの酵素は、主に肝臓に存在しています。それらが血液中に多く存在しているということは、血液中に漏れ出しているということを表します。
お酒を飲まないから心配ない?
NAFLDという言葉をご存じでしょうか?
非アルコール性脂肪性疾患のことで、アルコールやウイルスなどを原因としない脂肪肝の総称です。
飲酒歴がない、または少量しか飲まない人にできる脂肪肝です。
肥満や糖尿病、脂質異常症、高血圧などの生活習慣病がある人に多いのが特徴です。
NAFLDによる脂肪肝が進行し、肝組織に炎症が起きると、NASH(非アルコール性脂肪肝炎)という状態になります。
飲酒習慣のない方も、健康診断のタイミングで肝機能をチェックしましょう。