交代勤務者の健康管理できていますか?生活習慣病リスク増加、企業ができる環境整備と食事・睡眠指導

交代勤務は多くの産業で欠かせない働き方ですが、勤務時間が不規則になることで体内時計が乱れやすく、健康への影響が懸念されています。
本記事では、実際に交代勤務者への保健指導を行っている管理栄養士が、企業として注意すべき点や必要なフォローについて解説します。

交代勤務がもたらす健康リスク

夜勤により昼夜が逆転することで睡眠の質が低下し、慢性的な疲労や集中力の低下につながります。
さらに、生活習慣が乱れやすく、肥満・高血圧・糖尿病といった生活習慣病のリスクが高まることが知られています。
十分な休養が確保できない場合、メンタル不調の発生やヒューマンエラーの増加にもつながり、労災や事故のリスクが高まります。
日本では、深夜業に6カ月平均で月4回以上従事する労働者に対し、年2回の定期健康診断が義務付けられており、交代勤務者の健康把握は制度上も重視されています(労働安全衛生法66条、労働安全衛生規則45条)。

職場で取り組める健康支援の工夫

衛生管理者や人事担当者がまず取り組むべきは、勤務環境の整備です。
例として以下が挙げられます。

・ 夜勤中に短時間でも仮眠ができる休憩スペースの確保
・ 眠気防止のため夜勤時の照明を明るくする
・ 3交代制の場合は「正循環」(朝番→日勤→夜勤)による勤務編成

職場に食堂がある場合には、栄養バランスの良いメニューの提供や、適正カロリーに配慮した見直しも効果的です。
また、教育面として、交代勤務者自身が実践できる睡眠や食事に関する知識の提供が欠かせません。
健康診断結果では特に血圧・血糖値・体重の変化に注目し、必要に応じて産業医や保健師による面談指導につなげることが望まれます。

従業員への指導内容

従業員と生活習慣について話す機会があれば、以下のポイントを重点的に伝えましょう。

食事

交代勤務者では、食事回数が1〜2回と少なくなり、1回あたりの食事量が増えやすい傾向があります。
食事回数が少ないと血糖値の変動幅が大きくなり、生活習慣病リスク増大につながります。
特に夜勤後、24時間営業のファストフード店などで大盛を選ぶ習慣が見られることもあります。
1食あたりの食事量が多くなり過ぎないように注意すること、原則1日3食に分けて食事をとるようにすることを伝えてみてください。
主食、主菜、副菜を揃えた食事が難しい時には、まずは炭水化物とたんぱく質を補えるバナナとヨーグルトや具入りのおにぎりなどを取り入れるのもおすすめです。
食事回数が少ないと、おかずの摂取機会が減ることでたんぱく質不足になりがちです。
納豆や豆腐など手軽な豆製品の活用もおすすめです。

睡眠

夜勤では、寝つきの悪化や睡眠時間の減少が生じやすく、眠るために飲酒へ頼ってしまう例もよく見られます。
アルコールは入眠を助ける一方で、睡眠の質を低下させ中途覚醒を増やす原因になるため注意が必要です。
過度な飲酒はアルコール依存症にもつながりかねません。
睡眠について悩んでいる従業員には、飲酒量が多くなっていないか、入眠に向けてお酒以外の方法で工夫できることがないか確認してみましょう。
寝室はなるべく静かに過ごせるように騒音対策を行い、寝る前にはブルーライトを発する電子機器の使用を控えたり部屋の照度を落とすようにすることをすすめてください。
また、休日に寝だめをすることも体内時計の乱れを引き起こしかえって心身の健康を乱してしまう可能性があるのでおすすめしません。
平日と休日で睡眠時間に大きな差がないようにすることも合わせて伝えましょう。


交代勤務者の健康を守ることは、従業員個人の安全や働きやすさを支えるだけではありません。
体調不良による欠勤や離職を防ぎ、長く働き続けられる環境を整えることは企業にとっても大きなメリットです。
事故やヒューマンエラー防止にもつながり、労災リスクの低減や生産性向上も期待できます。
交代勤務者は健康リスクが高まりやすいことを改めて認識し、職場環境の整備や健康教育の体制を今一度見直してみましょう。

<参考>
・ 独立行政法人労働者健康安全機構『産業保健21』2019年10月号
・ 公益社団法人日本看護協会『看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン』

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小林 彩実株式会社ドクタートラスト 管理栄養士

投稿者プロフィール

大学で栄養学や食物学を学び、管理栄養士の資格を取得。「多忙な人にも健康を意識してほしい」の想いから産業保健業界へ。食事はもちろん、ながら運動やインナーマッスルトレーニングなど、運動セミナーも多数実施している。正しい知識をわかりやすく具体的に伝える姿勢が人気。
このほか、特定保健指導や執筆活動にも広く携わる。
【保有資格】管理栄養士、第一種衛生管理者、健康運動実践指導者、人間ドック健診情報管理指導士、健康経営エキスパートアドバイザー
【詳しいプロフィールはこちら】
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼、リリース送付などはこちらからお願いします】

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