ただ歩くだけでは効果半減?歩幅や腕の振り方を意識した「攻めのウォーキング」
- 2024/11/15
- 運動
歩くことは健康によい、というのは皆さんよくご存じですよね。
しかしただ歩くだけでは少しもったいないんです。
本記事では、ウォーキングの効果を高める方法について解説します。
カギは早歩き
ウォーキングは有酸素運動の最も手軽な例です。
有酸素運動を行うことで消費カロリーが増え、減量につながったり、生活習慣病の予防が期待できたりします。
ただ、たくさん「歩く」だけでは健康効果を実感するのに不十分という研究結果もあり、効果を高めるには、高い強度のウォーキングをすることが重要であることがわかっています。
ウォーキングの強度を高めるにはいくつかの方法がありますが、取り組みやすいものをご紹介します。
歩幅を広く設定
身長の45%~50%くらいを歩幅の目安とすると、自然と動かす筋肉の部位が広がって運動量を増やすことができます。
自宅などで、メジャーを置いて測ってみるとよいでしょう。
普段歩いているよりもかかと1つ分程度は大股になるのではないでしょうか。
目標心拍数を設定
運動強度を測る指標に「心拍数」があります。
心拍数とは「1分間にどれだけ心臓が拍を打つか」のことで、運動によって数値は高まります。
「220-年齢」で推定最高心拍数を概算することができ、運動初心者はその50%程度、慣れている場合は75%程度の心拍数を目標にするのがおすすめです。
運動後(3分以上継続)すぐに10秒心拍数を測定、6をかけた値が運動後の心拍数です。
速度を変えると心拍数も変化します。心拍数が低いようなら早歩きを、高すぎるようなら少しゆっくり目に歩くようにしましょう。
腕ふりを行う
普通に歩くのではなく、意識的に腕振りをして歩くことによって消費カロリーが約26%もアップするという研究結果もあります。
ただし、肩や腕に力が入らないように注意してください。
インターバル速歩をマスターしよう
インターバル速歩は、信州大学大学院の能勢博先生によって科学的根拠に基づき提唱されたウォーキング方法です。
普通歩き3分、早歩き3分を1セットとして最低5セット繰り返すのがインターバル速歩の方法です。
中高年者を対象に5か月間インターバル速歩の効果を検証した実験では、最大酸素摂取量(持久力)が10%増加したという結果が得られました。
それ以外にも、生活習慣病の予防やうつ指標の改善、医療費の削減効果などが報告されています。
「すでに早歩きを意識している!歩くのは頑張れるからより高い効果を得たい!」という方はぜひ、インターバル速歩にチャレンジしてみてください。
注意点
歩き過ぎや過度な負荷をかけたウォーキングは、ひざや脚に負担をかけてしまいます。
厚生労働省の提唱する目標歩数(20~64歳:8,000歩、65歳以上:6,000歩)を目指しつつ、無理ない範囲で行いましょう。
医師から運動制限等の指示がある際はそれに従ってください。
また、運動としてウォーキングを行う際はウォームアップ、クールダウンが大切です。
ウォームアップは、メインの運動の前に行うことで筋肉の温度を高め、運動中の怪我予防や効果アップにつながります。
具体的には、軽い体操や有酸素運動(ストレッチなど)がおすすめです。
また、ウォーキングを終了する時は徐々に速度を落として最後はゆっくり歩くようにしましょう。
急に立ち止まらないようにし、5分~10分程度ストレッチを行うことで怪我の予防等につながります。
歩くことは現在・将来の心身の健康につながります。
その際ただ歩くだけではなく、無理ない範囲で強度を上げるとさらに高い効果を期待することができます。
ぜひご自身の体調や目的に合わせて、強度を高めた「攻めのウォーキング」に挑戦してみてください。
<参考>
・ Ken-ichi Nemoto、Hirokazu Gen-no、Shizue Masuki、Kazunobu Okazaki、Hiroshi Nose「Effects of high-intensity interval walking training on physical fitness and blood pressure in middle-aged and older people」(『Mayo Clinic Proceedings』2007年7月号)
・ 中野ジェームズ修一『フィジカルトレーナーが教える 正しいウォーキングの始め方』 (大和書房、2017年4月)
・ Steven H. Collins、Peter G. Adamczyk、Arthur D. Kuo「Dynamic arm swinging in human walking」(『Proceedings of the Royal Society』2009年10月号)
・ NPO法人熟年体育大学リサーチセンター
・ 能勢博「メリハリをつけて歩くインターバル速歩」(『日本顎口腔機能学会雑誌』2012年1号)
・ 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」
・ 公益財団法人健康・体力づくり事業財団発行『健康運動実践指導者養成用テキスト』