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運動からアプローチする健康経営~習慣のない世代2位は30代、1位は?~
- 2024/10/22
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昨今の健康経営推進の高まりから、本記事を読んでくださっている皆様の会社でも従業員の方が健康で元気に働くための取り組みを展開されているのではないでしょうか。
健康経営と一口に言ってもその内容はさまざまですが、今回は従業員の方の運動習慣から健康促進へとアプローチする方法についてお伝えしていきます。
働く人と運動習慣
2024年8月に厚生労働省が公表した「令和4年国民健康・栄養調査の結果の概要」によると、運動習慣のある人の割合は、男性が35.5%、女性が31.5%となっています。
年代別では男女ともに20歳代が最も低く、働く世代において運動習慣のある者は多いとはいえない状況です。
※運動習慣のある人:1回30分以上の運動を週2回以上実施し、1年以上継続している人
また、2020年12月に厚生労働省が公表した「令和元年国民健康・栄養調査報告書」によると、運動習慣について「改善するつもりである(おおむね6ヶ月以内)」「近いうちに(概ね1ヶ月以内)改善するつもりである」とした人の多くが、「仕事(家事・育児など)が忙しくて時間がないこと」「面倒くさいこと」などが運動習慣定着の妨げとなる要素だと回答しています。
運動時間の確保、面倒さの払しょくにつながる働きかけを行うことで、運動習慣のある者を増やすことができると考えられます。
運動のうち、最も身近ともいえる「歩くこと」に焦点を当てて取り組みを行うことも効果的であると考えられます。
そして「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、働く人の健康を守るとともに労働生産性を高めるためには、働く人が職場で活動的に過ごす取り組みが重要であると示されています。
厚生労働省が「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」で推奨している歩数は、20~64歳で1日平均8,000歩、65歳以上で1日平均6,000歩ですが、「令和4年国民健康・栄養調査の結果の概要」によると歩数の平均値は男性で 6,465 歩、女性で 5,820歩でした。
運動のもたらす効果
本記事で運動習慣へのアプローチをおすすめしている理由は、「運動の効果が多岐に渡るから」です。
エネルギー消費量が増加することによる肥満の予防・改善はもちろん、糖尿病や高血圧、低HDL-コレステロール血症など、生活習慣病の予防・改善にも効果が期待できます。
また運動による骨や筋肉への物理的な刺激は、骨粗しょう症やロコモティブシンドローム(運動器の障害のために移動機能の低下をきたした状態)の予防・改善に寄与します。
さらには、ホルモン分泌や脳の海馬(記憶の貯蔵庫)体積増大に働きかけることでメンタルヘルス不調や認知症の予防効果も期待できます。
ただ、いずれも運動のみではなく食事をはじめとする生活習慣のアプローチがあってこそさらに効果を期待することができることも覚えておきましょう。
具体的な取り組み
最後に、職場でできる健康施策をご紹介します。
まずは従業員の方の運動に関する現状を把握するために、健康診断の問診結果を確認したり、現在の運動習慣にまつわる設問を盛り込んだアンケートを実施したりすることがおすすめです。
その後、現状を踏まえつつ効果や費用面などの要素を鑑みたうえで実際の取り組みを決定していきましょう。
具体的には、ウォーキングイベント、運動に関するセミナー、体力測定会の実施などが挙げられます。
運動時間の確保、VDT症候群予防のために就業時間内にウォーキングタイムや体操タイムを設けている企業も増えてきています。
また、運動イベント実施に先駆けて従業員の方の意識向上、効果を高めるためのセミナーを実施しているところも見られます。
今回は、健康経営の一環として、従業員の運動習慣にアプローチすることの重要性や具体的な取り組み内容を解説いたしました。
時間やお金をかけるのが難しい、という場合は「ナッジ」を活用するのも1つです。
ナッジとは、行動科学の考えを用い、望ましい行動をとれるよう後押しするアプローチです。
運動施策との組み合わせ例では、階段1段ずつに消費カロリーを掲示する、トイレやコピー機近隣に簡単な運動のポスター掲示を行うなどがあります。
いずれも、「目にすることで自然と身体を動かしたくなる」という効果を期待することができます。
市区町村の健康づくりに関するウェブサイトなどで、自由に使用できるステッカーやポスターなどがダウンロードできるのでチェックしてみるのもおすすめです。
<参考>
・ 厚生労働省「令和元年国民健康・栄養調査報告書」
・ 厚生労働省「令和4年国民健康・栄養調査の結果の概要」
・ 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」
・ 帝京大学大学院公衆衛生学研究科「ナッジを応用した健康づくりガイドブック 運動・身体活用支援編」