【管理栄養士レクチャー】肌のターンオーバーに効果的な食事はこれ

「産業保健新聞」運営元、株式会社ドクタートラスト管理栄養士の小林です
私事ですが最近スキンケアにはまっており、肌のコンディションが良いと気持ちも上向きになります。
実際に仕事、プライベート関わらず大事な予定の前に肌荒れをしてしまって気分が落ち込んでしまったという経験がある方も多いのではないでしょうか。
元気な肌を作るためには、スキンケアだけでなく内側からのアプローチも重要です。

今日は肌荒れの予防・改善に効果的な生活習慣について管理栄養士の視点からお伝えいたします。

生活習慣と肌の関係

「肌が荒れる」とは肌表面のなめらかさが失われ、かさつきやごわつき、ニキビなどの肌トラブルが起きている状態のことを言います。
マスクを日常的に着用していた時や花粉の時期に、肌が荒れてしまったという方もいらっしゃると思います。
摩擦や、花粉などの外的刺激、空気の乾燥なども肌荒れの原因です。
それに加え、睡眠不足や偏った食生活、運動不足などの生活習慣の乱れが、肌のターンオーバーの乱れにもつながってしまいます。
ターンオーバーとは、新しい皮膚が生まれて古い皮膚が剥がれ落ちる、いわば新陳代謝です。
新陳代謝が乱れると角質細胞間の保湿成分が不足し、肌のバリア機能が低下します。
その結果、乾燥やニキビ、湿疹といった肌荒れにつながってしまいます。
肌の健康を守るためには、外的刺激のへの対策とバリア機能を高める生活習慣が重要です。

健やかな肌へ導く生活習慣

① 睡眠

ターンオーバーは、睡眠中に活性化します。
厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」によると、年齢や季節によって必要な睡眠時間は異なるものの、1日の睡眠時間が少なくとも6時間以上確保できるよう努めることが推奨されています。
まずは、しっかりと睡眠時間を確保できるようご自身の生活習慣を見直してみてください。
また、睡眠の「質」も重要です。入眠してから3時間程度は特に、肌のターンオーバーを促進する成長ホルモンの分泌が活性化されます。入眠直後はもちろん、全体的な睡眠の質を高めるためには以下のポイントを抑えるようにしましょう。

・ 就寝の2~3時間前に入浴する:40~42℃のお風呂に15分~20分程度浸かるのが効果的といわれています
・ 寝る3時間前までには食事を終える
・ 寝る2時間前までには携帯やテレビなどブルーライトを発する機器の使用をやめる

② 食事

脂質や糖質をとりすぎてしまうと、皮脂の分泌が増えるため肌荒れしやすくなります。
揚げ物や洋菓子などの食べ物は脂質も糖質も多く含むため、注意が必要です。
逆に、意識して取り入れた方がよい栄養素は以下の通りです。

たんぱく質

たんぱく質は、過剰に取ってしまうと、脂質や糖質と同様に皮脂分泌を促進してしまいます。
しかし、ダイエットをしている人や1日1食~2食と食事回数が少ない人、麺などの単品料理をよく食べる人はたんぱく質が不足しがちです。
たんぱく質は肌や髪などを構成する材料であり、ターンオーバーを整える働きがあります。
肉や魚、卵、大豆製品などからたんぱく質をしっかりとるようにしましょう。

ビタミン類

肌荒れの予防・改善に効果的なのはビタミンA、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンC、ビタミンEなどです。
作用機序はさまざまですが、いずれもターンオーバーを整えることに働きかけます。

■ビタミンAを多く含む食品:にんじん、ほうれん草、かぼちゃ、レバーなど(妊娠中に取りすぎると胎児に奇形が起こることがあると報告されています。妊娠中の方は過剰摂取に注意をしてください)
■ビタミンB2を多く含む食品:レバー、ブリ、納豆、アーモンドなど
■ビタミンB6を多く含む食品:マグロ、カツオ、鶏むね肉、バナナなど
■ビタミンCを多く含む食品:ブロッコリー、芋類、柑橘類、いちご、キウイなど
■ビタミンE:アーモンド、ツナ缶(油漬け)、かぼちゃ、モロヘイヤなど

食物繊維

野菜や海藻に含まれる食物繊維は、腸の蠕動運動を促進することで腸内環境の改善に働きかけます。
腸内環境と肌のバリア機能は相互に影響しあっていることが報告されています。便秘気味の方、野菜を食べる習慣がない方はぜひ食物繊維を積極的に取り入れましょう。

善玉菌

発酵食品に含まれる「ビフィズス菌」や「乳酸菌」などの善玉菌は、腸内環境の改善に働きかけます。食物繊維と同じく、肌のバリア機能向上につながります。

③ 運動

有酸素運動によって血行が良くなると、酸素や栄養分が行き渡るようになるためターンオーバーが整えられます。
また、立命館大学スポーツ健康科学部の研究チームは筋力トレーニングが真皮の厚さを改善させることを明らかにしました。
真皮が薄くなってしまうと、赤みやかゆみ、乾燥が起きやすくなってしまいます。
実験では、週に2回の運動を4か月継続したことで、真皮が厚くなったことを確認しています。
日々の生活に、ウォーキングやストレッチ、筋トレなどの運動を少しずつ取り入れてみてください。

ほかにも気を付けたいこと

生活習慣だけではなく、普段のスキンケアも肌荒れ防止のためには重要です。
洗顔のし過ぎや保湿不足、肌に合わない化粧品を使用することによって肌あれが起こることもあります。
特にこの時期は、紫外線への対策も重要です。
「曇っていても紫外線は出ている」と聞いたことがあると思いますが、実は雨の日も一定量紫外線が降り注いでいます。
紫外線を浴びて肌がダメージを受けることで、肌荒れが起きることがあります。
日傘や日焼け止めなどの対策を講じることも忘れないようにしましょう。
日焼け止めの効果をしっかり保つためには2~3時間おきに塗り直すことが大切です。

本記事では、生活習慣の観点から肌荒れ予防の留意点についてお伝えしました。
スキンケアだけでなく、栄養バランスの整った食事や十分な睡眠、定期的な運動を心がけ、健やかな肌を目指しましょう!

<参考>
・ 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
・ Shu Nishikori、Jun Yasuda、Kao Murata、Junya Takegaki、Yasuko Harada、Yuki Shirai、Satoshi Fujita「Resistance training rejuvenates aging skin by reducing circulating inflammatory factors and enhancing dermal extracellular matrices」(「Scientific Reports」2023年6月)

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小林 彩実株式会社ドクタートラスト 管理栄養士

投稿者プロフィール

大学で栄養学や食物学を学び、管理栄養士の資格を取得。「多忙な人にも健康を意識してほしい」の想いから産業保健業界へ。食事はもちろん、ながら運動やインナーマッスルトレーニングなど、運動セミナーも多数実施している。正しい知識をわかりやすく具体的に伝える姿勢が人気。
このほか、特定保健指導や執筆にも広く携わる。
【保有資格】管理栄養士、人間ドック健診情報管理指導士
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼、リリース送付などはこちらからお願いします】

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