味がわからない?味覚障害かもしれません。

20代の友人から「味がわからないかもしれない。どうしたらいい?」と相談されたことがあります。
また、私の母(60代)は濃い味を好むようになり、ふだんの料理からついつい濃い味付けになってしまっています。
このように味が感じられない人もいれば、濃い味しかわからないという人もいますが、誰しもがなる可能性のある味覚障害の症状には「口に何も入れていないのに変な味がする」「特定の味がわからない」「舌の左右で味の感じ方が違う」「味の錯覚を起こす」などがあります。

原因は舌だけじゃない

舌の表面には、乳頭と呼ばれる細かい無数の突起があります。
その中には味蕾(みらい)といわれる感覚受容体があり、五大基本味(甘味・塩味・酸味・苦味・旨味)の情報を受け取り、脳に伝えることによって味を感じます。
このことから、味覚障害は、舌に原因がある場合と、口の中で感じた味を脳に伝える神経に原因がある場合に分けられます。
まず舌に原因がある場合は、機能が落ちているためと食生活の乱れによるものが考えられます。
その多くは亜鉛不足です。なぜ亜鉛かというと、味蕾は新陳代謝が非常に活発で7~10日間で新しい細胞と入れ替わりますが、その時に必要なのが亜鉛なのです。
食生活の乱れにより亜鉛不足になると、味蕾の細胞が再生しにくく、数が減り、その結果、味がわからないということが起こります。
そして老化とともにこの味蕾は減少・萎縮することがわかっています。
神経に原因がある場合は、脳卒中や脳に外傷を受けた場合、また神経に近い部分をいじるような耳の手術の合併症などの場合が考えられます。

症状の特徴

若年層=その多くは亜鉛不足:ダイエットやファストフードの取りすぎなど食生活の乱れがあると亜鉛不足がおきやすくなります。
高齢者=その多くは生理現象:味覚の異常が徐々に進むため自分では症状に気づきにくいことがよくあります。何を食べても味を薄く感じ、その結果、いつも通り調理しているはずなのに、家族から味が濃いと言われ気づくこともあります。
その他の原因=薬の副作用や、抗がん剤や降圧剤によって亜鉛が排出されやすくなっている場合、また胃や腸の手術後に、一時的に胃腸から亜鉛の吸収が減ることも考えられます。

亜鉛を補う食事

亜鉛を多く含む食材は、「かき、かに、いわしなどの魚介類」「わかめ、ひじき、もずくなどの海藻類」「牛肉やレバー」「チーズなどの乳製品」「しいたけ」などがあります。
レモンに含まれるクエン酸やビタミンCと一緒に食べると、効果的に亜鉛を摂ることができます。牡蠣とレモンを一緒に食べるのは、実はとても利にかなっているのです。
味がわかりづらいと、毎日の食事の楽しみや満足感が得られなくなり、食欲の低下から体力や抵抗力も下がってきます。生活の質の低下につながってしまう可能性もありえます。
また、味がわからないために塩分や糖分の過剰摂取につながり、高血圧や糖尿病などの生活習慣病を招くおそれがあります。
症状の改善がなかなか見られない場合、主治医に相談するか、耳鼻咽喉科を受診してみることをおすすめします。

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