【令和6年国民健康・栄養調査】働き盛り世代の糖尿病が増加中、白米と運動で変わる予防策

厚生労働省が毎年実施している「国民健康・栄養調査」は、日本人の健康状態や食生活の実態を把握するための重要な統計です。
2025年12月2日に公表された令和6年(2025年)版の「国民健康・栄養調査」は4年に1度の拡大調査の年でした。
通常よりも幅広い項目を調べることで、国民の健康状態や食生活の実態をより詳しく把握できる貴重な機会となっています。
今回の結果からは、糖尿病の増加や食塩摂取量の改善傾向、喫煙率の低下などが明らかになりました。
その中でも今回は「糖尿病に関する状況」に焦点をおいて解説します。糖尿病は生活習慣病の代表格であり、働く世代にとっても大きな健康リスクとなります。
企業としても従業員が健康に働くために、対策を講じることが重要です。

糖尿病の増加と課題

今回の調査では、「糖尿病が強く疑われる者※1」が約1,100万人と推計され、平成9年(1997年)以降増加傾向がみられます。
一方で「糖尿病の可能性を否定できない者※2」は約700万人と推計され、平成19年(2007年)からみると減少傾向でした。

※1 ヘモグロビンA1cの測定値があり、身体状況調査票(7)、(7-1)及び(7-2)が有効回答の者のうち、ヘモグロビンA1c(NGSP)の値が6.5%以上(平成19年まではヘモグロビンA1c(JDS)値が6.1%以上)の者、又は身体状況調査票(7)「これまでに医療機関や健診で糖尿病といわれたことの有無」に「有」と回答し(7-1)「現在、糖尿病治療の有無」に「有」と回答した者。
※2 ヘモグロビンA1cの測定値がある者のうち、ヘモグロビンA1c(NGSP)値が 6.0%以上、6.5%未満(平成19年まではヘモグロビンA1c(JDS)値が5.6%以上、6.1%未満)で、「糖尿病が強く疑われる者」以外の者。
出所:厚生労働省「令和6年 国民健康・栄養調査」

また、「糖尿病が強く疑われる者」の割合として、男性は総数17.7%であり、40歳代から増加傾向にあります。
女性は総数9.3%であり、50歳代から増加傾向が見られます。男女ともに働き盛り世代で増加しています。

糖尿病は血糖値のコントロール不良だけでなく、動脈硬化や腎障害、歯周病など多くの合併症を引き起こします。
特に働き盛り世代では、食生活の乱れや運動不足、ストレスが発症リスクを高める要因となっており、早期の予防と対策が不可欠です。

生活習慣の改善と企業としての支援

生活習慣の改善ポイントと企業としての糖尿病予防のための支援方法をご紹介します。

食事

白米などの炭水化物の食べる量の見直し

高血糖の方の保健指導をする際に多く見られるのが「炭水化物の食べすぎ」です。
白米などの炭水化物に含まれる糖質は私たちが働くためのエネルギー源となりますが、食べすぎてしまうと肥満や糖尿病につながります。
たとえば白米を1食で2杯以上食べている、大盛にしている方は、お代わりをしない、大盛ではなく普通盛りを選ぶ。
ラーメンとチャーハン、うどんとおにぎりなどのW炭水化物になっている方は、1食で炭水化物は1品までになるよう工夫し、食べ過ぎないように見直しましょう。

食物繊維を含む野菜、海藻、きのこ類などの摂取量を増やす

血糖値の急激な上昇は、インスリンというホルモンの過剰な分泌を招き、糖尿病のリスクを高める要因となります。
食物繊維は、糖質の消化吸収を緩やかにする働きがあるため、食後の血糖値の急激な上昇を抑えることができます。
そのため、食物繊維をしっかりとることで、血糖値の変動を穏やかにし、糖尿病の予防につながります。

1食あたり生野菜であれば両手一杯分、加熱したものであれば片手一杯分を目安にとることで、食物繊維の摂取量を増やすことができます。

運動

血糖値改善のための運動としては、有酸素運動とレジスタンス運動の実施が推奨されています。

有酸素運動:ウォーキング、ジョギング、水泳、サイクリング など

週150分かそれ以上、週に3回以上行うことが推奨されています。

レジスタンス運動(筋力トレーニング):腹筋、腕立て伏せ、スクワット など

連続しない日程で週2~3回の実施が推奨されています。
また、歩行などの有酸素運動と組み合わせて行うことでより血糖改善に効果的です。

運動の時間を確保することが難しい方は、まずは1日の平均歩数をプラス1,000歩増やすことを目標にすることがおすすめです。

企業での取り組み

定期的な健康セミナーの実施

健康診断前後や生活習慣が乱れやすい年末年始など、時期を決めて定期開催することもおすすめです。

健診結果に基づく個別栄養指導(血糖値やBMIに応じた食事アドバイス)

特に健康診断結果で数値が基準値以上だった方以外にも、若年層で増加傾向にある方などにアプローチすることで、将来的な糖尿病のリスクを減らすことにもつながります。

社員食堂での取り組み

野菜や海藻などの食物繊維がとれる食材を多く取り入れたメニューの提供や白米量の調整(小盛、普通盛の選択肢を作る、はかりで測る)などがおすすめです。

自動販売機の商品の工夫

加糖飲料よりも無糖飲料のラインナップを増やす、加糖飲料については小型サイズにする、特定保健用食品の飲料を設置するなどがおすすめです。

運動習慣の推進

定期的な運動イベントの実施(ウォーキングイベント、ラジオ体操など)や階段利用を促すなど小さな工夫、福利厚生でのジムの利用補助などがおすすめです。

まとめ

糖尿病は生活習慣の積み重ねによって発症リスクが高まる病気です。
だからこそ、日々の食事や運動、小さな工夫が予防につながります。
今回の調査結果をきっかけに、企業と従業員が一体となって健康づくりを進めることが、企業の発展にもつながるのではないでしょうか。

<参考>
・ 厚生労働省「令和6年『国民健康・栄養調査』の結果」
・ 厚生労働省「糖尿病を改善するための運動」

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杉下 ももか株式会社ドクタートラスト 管理栄養士

投稿者プロフィール

大学で栄養や健康について学ぶ中で、集団に対する栄養指導や、スポーツとのかかわり、予防について興味を持ちました。食べることが大好きで、いかに楽をしてバランスの良い食事ができるかを日頃から考えています。
【保有資格】管理栄養士、第一種衛生管理者、健康経営エキスパートアドバイザー、フードスペシャリスト、腸活アドバイザー
【詳しいプロフィールはこちら】
【ドクタートラストの保健指導サービス詳細はこちら】
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼、リリース送付などはこちらからお願いします】

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