これまで数々のダイエット法が流行し、その効果や取り入れやすさにより、話題になったもの・すでに廃れたものとさまざまありますが、中でも近年人気の「糖質制限ダイエット」は、耳にしたことがない人はいないくらい、かなり浸透したもののひとつだと思います。
このダイエット法は「糖質オフダイエット」「低炭水化物ダイエット」「ローカーボダイエット」などと呼ばれることもありますが、数多くのメディアに取り上げられてきたのでご存知の方も多いでしょう。
さてこうしたダイエットを行う際に気を付けたいのが「フードファディズム」です。
今回は、食べ物や栄養の影響を過大に評価、信じてしまう「フードファディズム」をわかりやすく解説します。
フードファディズムに要注意
最近では、自己流での間違った「糖質制限ダイエット」により、逆に健康障害が引き起こされる危険性が指摘されています。
炭水化物を極端に減らす、あるいは食べないことで、代わりに脂質・タンパク質を過剰摂取してしまうこともその一因ですが、三大栄養素、五大栄養素という言葉があるように、本来炭水化物は身体にとって大切な栄養素の一つ。
それを「極度に」セーブしてしまうことで、不調をきたしてしまうのは当然のことでしょう。
糖質制限ダイエットのように、「この食品を摂ると健康になる」「この食品は身体に悪い」「○○は摂らない方がいい」といった、食べ物や栄養が健康に与える影響を過大に評価、また信じることを「フードファディズム」と言います。
とくに、メディアに取り上げられる糖質制限食は「ステーキ、焼肉は食べ放題!」「カロリーは気にしなくてOK」など、糖質さえ摂らなければ何を食べても飲んでもかまわないといった情報が前面に出ていることもしばしば。
現在の食生活を大幅に変えずに、しかも好きなものは何を食べてもいいとなると、つい信仰してしまいがちですね。
炭水化物の適正摂取とは?
日本人の食事摂取基準(2015年版)によると、1日に必要なエネルギーの約6割は、ご飯やパンに含まれる糖質で摂るよう推奨しています。
仮に、2,000kcalが必要な成人が糖質を摂らなかった場合、1日の摂取エネルギーは800kcalとなり、確かに抜くだけで確実にダイエットができそうなイメージがありますが、一方で、無理な実践によって健康を害する恐れもあることについては、あまり知られてはいないのではないでしょうか。
糖質制限について、日本糖尿病学会では「炭水化物のみを極端に制限した食事療法は勧められない」と提言しています。
この学会の見解に対しては医師からもさまざまな意見が出ており議論が続いているところですが、まずポイントとしておさえておくべきなのは、「極端な」というところでしょう。
フードファディズムに躍らされないために
ラーメン+炒飯のような、糖質の重ね食いが習慣になっているような方は、見直しが必要でしょう。
しかし基本は、主食抜きの極端なオフは栄養バランスが乱れるため、避けた方がよいでしょう。
食に関する情報があふれる昨今、その中から有益な、正しい情報のみを取捨選択するのはなかなか難しいことかもしれません。
ですが、その媒体ごとに、情報発信者には何らかの意図があるものです。
食情報を読み解くこと、またその前提に、食への意識を高く持つことが大切なのだと思います。