【管理栄養士が教える】熱帯夜の「快眠」を叶える食事とは?

今年も昼夜を問わず厳しい暑さが続いていますね。
夜になっても気温が下がらない熱帯夜は、私たちの睡眠の質を大きく低下させる原因となります。
暑さで寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚める、朝起きても体がだるいといった経験は、多くの方がされているのではないでしょうか。
そこで今回は快眠を叶えるための食事のヒントをご紹介します。

夏に眠れない理由

夏に睡眠の質が低下する主な理由としては、まず室温と湿度の高さが挙げられます。
私たちの体は、体温が下がっていく過程で自然と眠りやすくなりますが、寝室の温度や湿度が高いと、体温が下がりにくく、寝つきが悪くなります。
また、睡眠中も深い眠りに入りにくくなり、途中で目覚めてしまう原因にもなります。

また、自律神経の乱れも大きな要因です。
暑さによる体の負担、日中の強い日差し、エアコンの効いた室内と屋外の激しい温度差などにより、自律神経のバランスを崩しやすくなります。
自律神経のバランスが乱れると、心身がリラックスモードに入りにくくなり、スムーズな入眠や質の高い睡眠を妨げます。

さらに、夏バテによる食生活の乱れも睡眠に影響を与えます。
食欲不振から食事内容が偏り、必要な栄養素が不足したり、消化に負担のかかる食事や就寝前に冷たいものを食べることも胃腸の活動を活発にさせ、体が休まりにくい状態を作り出します。
このように、夏の不眠は複数の要因が影響して生じるため、さまざまな角度からのアプローチで対策することが重要です。

快眠を誘う!おすすめの栄養素と食品

質の良い睡眠は、日中の活動を支えるだけでなく、免疫力の維持、精神的な安定、そして集中力の向上にも必要不可欠です。
そして、睡眠をサポートする栄養素の摂取が重要です。
以下では睡眠の質向上におすすめの栄養素、およびそれらが含まれる食品を見ていきます。

睡眠の質向上におすすめの栄養素

トリプトファン

トリプトファンは、体内で作ることができない必須アミノ酸の一つで、幸せホルモンとして知られる「セロトニン」の材料となります。
このセロトニンは、睡眠ホルモンである「メラトニン」に変換されるため、良質な睡眠には欠かせない栄養素です。

マグネシウム

マグネシウムは、神経の興奮を抑え、筋肉の緊張を和らげることで心身をリラックスさせる効果が期待できます。
精神安定作用があり、質の良い睡眠に欠かせないミネラルです。

カルシウム

カルシウムも神経の興奮を抑え、精神を安定させる作用があります。
イライラを抑え、リラックス効果を高めることで快眠をサポートします。
カルシウムは、ビタミンDと一緒に摂ることで吸収率がアップします。
日光浴をしたり、きのこ類や鮭などのビタミンDが豊富な食材と組み合わせたりすると効果的です。

ビタミンB6

ビタミンB6は、トリプトファンからセロトニン、さらにはメラトニンへの合成を助ける重要な役割を担っています。
エネルギー代謝を円滑にし、神経機能を正常に保つためにも不可欠です。

睡眠の質向上に!おすすめ食品例

上記栄養素を含んだ食品の例は以下のとおりです。

栄養素食品
トリプトファン牛乳、納豆、アボカド、バナナ、マグロ など
マグネシウムわかめ、ひじき、アーモンド、玄米、バナナ など
カルシウム牛乳、チーズ、小魚、小松菜、豆腐 など
ビタミンB6マグロ、カツオ、レバー、鶏むね肉、バナナ など

ナッツとフルーツのヨーグルト和え

さらに、睡眠におすすめの栄養素が摂取できる「ナッツとフルーツのヨーグルト和え」レシピをご紹介します。
簡単に作れるのでぜひ作ってみてください。

<材料(2人前)>
ヨーグルト:100g
バナナ:1本
キウイフルーツ:1個
素焼きナッツ:20g

作り方

①フルーツを食べやすい大きさに切る
②材料をすべて和える
③甘さが足りない場合ははちみつなどを追加してください!

ポイント

朝食でトリプトファンを摂り、太陽光を浴びることでセロトニンが生成され、夜にはセロトニンから睡眠ホルモンのメラトニンに変わりやすくなります。
また、たんぱく質が不足しがちな朝食にプラスするのがおすすめです!

快眠のための就寝前の過ごし方

また、快眠のための栄養素を積極的にとるだけではなく、就寝前のすごし方も重要です。

1. 夕食は就寝の3時間前までに済ませる

食後、胃腸は消化活動のために活発に働きます。この状態で眠りにつくと、体が休まりきらず、睡眠が浅くなったり、胃もたれで寝苦しくなったりする原因となります。
どうしても遅くなってしまう場合は、うどんやスープなどの消化の良いものを選び、脂っこいものや生ものは避けるようにしましょう。

2. カフェインとアルコールは控える

コーヒー、紅茶、緑茶、エナジードリンクなどに含まれるカフェインには覚醒作用があり、摂取後数時間はその効果が持続します。
カフェイン飲料は夕方までに飲み終えるようにしましょう。
また、アルコールは一時的に寝つきを良くする効果があると感じるかもしれませんが、利尿作用によって夜中に目が覚めやすくなったり、睡眠の質を低下させ、深い眠りを妨げてしまいます。
そのため、遅くても就寝2時間前までに飲み終えるようにしましょう。

3. 体を冷やすものを摂取しすぎない

夏は冷えた飲み物やアイスなどを食べる頻度が増えますよね。
冷たいものは一時的に体を冷やしますが、体温調整機能が乱れてしまい、寝付きを悪くすることがあります。
就寝前には、常温の水や白湯、温かいハーブティーやホットミルクなど、カフェインを含まず、体を内側から優しく温める飲み物を選ぶのがおすすめです。

夏の暑さに負けず、毎日を元気に過ごすためには、良質な睡眠が不可欠です。
今回ご紹介したポイントを参考に、できることから少しずつ、ご自身の生活に取り入れてみてください。

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杉下 ももか株式会社ドクタートラスト 管理栄養士

投稿者プロフィール

大学で栄養や健康について学ぶ中で、集団に対する栄養指導や、スポーツとのかかわり、予防について興味を持ちました。食べることが大好きで、いかに楽をしてバランスの良い食事ができるかを日頃から考えています。
【保有資格】管理栄養士、第一種衛生管理者、健康経営エキスパートアドバイザー、フードスペシャリスト、腸活アドバイザー
【詳しいプロフィールはこちら】
【ドクタートラストの保健指導サービス詳細はこちら】
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼、リリース送付などはこちらからお願いします】

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