スムージー、菓子パン、サンドイッチ、パスタの食事で不足しているのは?
「朝はスムージーと菓子パン、昼はサンドイッチとカフェオレ、夜は冷凍パスタで済ませています」
筆者は企業に訪問して保健指導を行うことが多いのですが、体調不良を訴える女性に食事内容を尋ねると、こんな回答をいただくことがしばしばあります。
そしてこのような方のほとんどには貧血、冷え性の傾向があります。
上記の食事内容、何かが不足しています。
それは、心と体に最も大切な栄養素「タンパク質」です。
充足率はおよそ半分くらいでしょうか。
ここで「タンパク質の豊富な食事をとるように心がけましょう」と筆者は提案します。
すると、以下のようなお声をいただくこともまたしばしば。
「タンパク質をしっかり取ろう! と思ってお肉をがっつり食べると胃がもたれて辛いんですよね」
今回は、そんなお悩みを抱えている皆様にお役立ていただけるよう、正しいタンパク質の取り方をご紹介します!
「水だけダイエットをしたら、貧血、疲労感、冷え性が出てきてしまいました」とか、「食べようとしても食べられない」というお悩みを抱えている方に有用ですよ!
そもそもタンパク質は何に役立つの?
まずはタンパク質が体にとってどれくらい重要であるかを知ってもらいましょう。
食事から摂取した栄養は、体を作る大事な要素となるわけですが、タンパク質は吸収されて、体の何になるか知っていますか?
「肉は筋肉になる!」と直感的に気付く方もいるでしょう。
大正解です!
でも、それだけではないんですよ。
私たちの体を構成する割合が一番多いのは水分であるということをご存知の方は多いと思います。
実際、体の6~7割は水分でできています。
そして次に多いのが今回のお題の「タンパク質」で約2割です。
タンパク質は体のどこにいる?
タンパク質は、筋肉や内臓、血液や爪、髪や皮膚、骨などを作っているだけでなく、病気などに対する免疫抗体の原料、エネルギーやホルモン、ヘモグロビンなど、さまざまな形で体のなかに存在しています。
- 体(筋肉・皮膚・骨)の構成 ⇒ コラーゲン、ケラチン
- 血液の成分 ⇒ アルブミン、グロブリン
- 酵素の材料 ⇒ アミラーゼ、ペプシン、代謝酵素
- ホルモンの材料 ⇒インスリン
- 神経伝達物質 ⇒ セロトニン、ドーパミン
- 栄養素の運搬 ⇒ セルロプラスミン、トランスフェリン
- エネルギー源 ⇒ 糖質・脂質とともに3大エネルギー源として使用される
こうして見ると、タンパクはいろいろなものに変換されていくのですね。
このうち、神経伝達物質であるセロトニンとは、幸せホルモンのことで、うつになると不足します。
つまり、たんぱく質の不足した食事はうつになるリスクがあるということです。
タンパク質が心と体の両方にとって大変重要な栄養素だということがおわかりいただけたでしょうか。
タンパク質からアミノ酸へ
最も大切な栄養素であるタンパク質は、いかに消化吸収させるかが大切なポイントです。
なぜなら、タンパク質は分解されて「アミノ酸」として吸収されなければ役に立たないからです。
タンパク質が多く含まれている食物といえば、肉、魚、卵、豆、乳製品などですが、どのタンパク質も、食べた後そのまま吸収されるわけではありません。
タンパク質のままでは分子が大きいので(簡単に説明すると、50個以上分子がつながっている大きなかたまりの状態)、それを細かくカットしたうえで小腸から吸収する必要があります。
そして「細かくカットされた最終産物」がアミノ酸です。
さらにこのカット、何回かにわけて行い、より細かくしたほうが、格段に吸収率と吸収速度がよくなります。
以下では、この吸収過程に着目して、タンパク質の消化吸収をよくする方法をお伝えしていきます。
タンパク質をしっかり取ろう!と思って、お肉をがっつり食べるともたれて辛い方へ
お肉を食べて胃もたれする方は、体内でのカット作業が苦手かもしれません。
そんなときは、あらかじめカットされたタンパク質、それもできるだけ細かく、理想的には分解されてすでにアミノ酸と化しているものを摂取することをお勧めします。
具体的には以下のような食事が効果的です。
- ステーキ「塊肉」よりも、ハンバーグ(ミンチ肉)やペースト状にした肉「レバーペースト等」を選ぶ
- すでにタンパク質からアミノ酸が溶け出しているスープ類「和風だし、鶏ガラスープ、骨付き肉のスープ、魚介ブイヤベース」や、煮こごりを食べる
- 肉を塩麹やパイン・キウイなどの絞り汁、すりおろし玉ねぎに漬け込んで、細かく分解されやすくしておく
- 食べている時に、胃酸をしっかり働かせるために、食事中の水分を取りすぎない
- 胃酸を出やすくするように、食事の前半で、レモン水や梅干しなどを少量、酢の物を先に食べる
まとめ
上記の事柄は本来、中学や高校の保健体育で習っているはずのことです。
しかしながら、食べることが、心や体と密接につながっていることをご存知の人はとても少ないのが現状です。
保健指導の現場で、これらを詳細にお伝えすることができればいいのですが、時間的な制約もあってなかなかできません。
そこでドクタートラストでは、食事の重要性を考みて、ストレスチェックの中に生活習慣問診を追加しました。
たんぱく質が幸せホルモンである、セロトニンの素であることをご説明しました。
つまり、生活習慣を通したセルフケアによって、メンタル不全を防止できるということです。
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