9月は「職場の健康診断実施強化月間」!~ポイントは徹底と連携~

毎年9月が「職場の健康診断実施強化月間」なのはご存じでしょうか? 労働安全衛生法に基づく一般定期健康診断の実施、その結果についての医師の意見聴取およびその意見を踏まえた就業上の措置の実施について、改めて事業者に徹底を促すために、厚生労働省が位置づけたものです。

2023年8月16日に厚生労働省からこの強化月間に向けた協力依頼が公表されていますので、何を徹底していけばいいのか、内容を確認していきましょう。

協力を求められている重点事項

厚生労働省から公表された通知にでは、以下6つの重要事項への協力が依頼されています。

(1)健康診断及び事後措置等の実施の徹底
(2)健康診断結果の記録の保存の徹底
(3)一般健康診断結果に基づく必要な労働者に対する医師又は保健師による保健指導の実施
(4)高齢者の医療の確保に関する法律(昭和57年法律第80号。以下「高確法」という。)に基づく医療保険者が行う特定健康診査・保健指導との連携
(5)健康保険法(大正11年法律第70号。以下「健保法」という。)に基づく保健事業との連携
(6)平成30年3月29日付け基安労発0329第3号「地域産業保健センター事業の支援対象に関する取扱いについて」を踏まえた小規模事業場における地域産業保健センターの活用
引用:厚生労働省「『職場の健康診断実施強化月間』の実施に関する協力依頼について

リーフレットでは特に、(1)と(6)についてまとめてありますので、わかりやすく解説します。

特に確認してほしい2事項

健康診断及び事後措置の実施の徹底

厚生労働省「令和4年労働安全衛生調査」によると、事業場規模が小さくなるほど、健康診断の実施率と有所見者に対する医師意見聴取率も低くなっています。

事業場規模別 健康診断および医師意見聴取の実施割合

現在の日本は、生産年齢人口は減少の一途をたどっています。定期的な健康診断の実施、そしてもし何か所見が見つかった場合は医師から意見聴取を受け、適切な事後措置を行うことで、現在在籍している社員の健康を守ることができます。

まずは、有所見者に対する医師からの意見聴取を徹底しましょう。加えて、重要事項(3)にあるとおり、特に健康保持に努める必要がある社員に対しては、保健指導を積極的に行うようにしましょう。なお、上記は小規模事業場も含むすべての事業場で徹底してください。

医療保険者との連携

協会けんぽや健保組合、共済組合などの医療保険者は、高齢者医療確保法に基づき特定健康診査・特定保健指導を、健康保険法に基づき保健事業を実施し、労働者の予防・健康づくりに取り組んでいます。そして事業者は、医療保険者から健康診断に関する記録の写しの提供を求められた場合、当該記録の写しを提供しなければならない、とされています。

また、特定健康診査に相当しない項目も、労働者の同意を得れば提供可能です。

なので、健康診断の実施者である事業者は、医療保険者から情報提供の求めがあった場合には、当該定期健康診断結果の迅速かつ円滑な提供など、緊密な連携・協力による事務処理が必要になるのですが、、これらのことがなかなか認知されておらず、情報提供が進んでいないという指摘があります。

「知らなかった!」という方は、ぜひ覚えていただいて、連携強化を意識しましょう。

産業保健に関する取り組みの周知・啓発もしましょう!

定期健康診断の徹底を進めるのと同時に、ぜひ以下のような産業保健に関する取り組みの周知・啓発・実施を行い、多角的な視点で健康保持増進を進めましょう!

●ストレスチェック
定期健康診断で体のチェックをしたら、ストレスチェックで心のチェックもしましょう!労働者が50名以上の事業場では年に1回の実施が義務付けられていますが、しっかりと行えていますか? また、せっかくやるならばやりっぱなしはもったいないので、集団分析からの職場環境改善にまで取り組んでいきましょう。

総受検者数163万人超!ドクタートラストのストレスチェックについてはこちら

●職場におけるがん検診の推進
定期健康診断実施時に、がん検診も一緒に受診するように呼びかけましょう。がんは早期発見が何より大事です。福利厚生として、がん検診費用を一部負担することなども検討できたらより良いですね。リーフレットの中に、子宮頸がん検診・乳がん検診についての資料もついていますので活用してください。

また、無料の「がん検診普及啓発ポスター」も厚生労働省から公開されています。

●目の健康
定期健康診断の項目に視力はありますが、ドライアイや疲れ目など特にオフィスワークの方々は目を酷使しています。視力だけで判断するのではなく、現在抱えている目のリスクについて、チェックリストなどを活用して確認してみましょう。

以下のサイトから「アイフレイル(視機能の衰え)」のチェックができます。
https://www.eye-frail.jp/checklist/

事業者の皆さんには、まず定期健康診断の徹底と医師や医療保険者との連携をお願いします。そしてこれらが完璧に整ったら、健康保持増進まで見据えて、現在一緒に働いている社員が元気に長く働ける環境づくりを進めてください。

<参考>
厚生労働省「「職場の健康診断実施強化月間」について
厚生労働省「9月は「職場の健康診断実施強化月間」です(リーフレット)
厚生労働省「『職場の健康診断実施強化月間』の実施に関する協力依頼について

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

中川果穂株式会社ドクタートラスト 広報

投稿者プロフィール

幸福度や労働生産性が高いと評される北欧(ノルウェー)へ留学した際、仕事に対する日本と北欧の良いところ悪いところをひしひしと感じてきました。この良いところをお伝えすべく、北欧の労働環境などに関しての情報はもちろん、身近な話題や疑問を分かりやすくお仕えできるよう日々勉強中です!
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼、リリース送付などはこちらからお願いします】

この著者の最新の記事

関連記事

解説動画つき記事

  1. 【動画あり】「抗原」「抗体」ってなに? コロナ抗体検査は必要?

一目置かれる健康知識

ページ上部へ戻る