働いているとさまざまな認証マークを目にしますよね。
頂いた名刺に印刷されていたり、会社HPに掲載されていたり……。
有名どころは「プライバシーマーク」や「くるみん」「えるぼし」などでしょうか。
今回はそんな認証制度のひとつ、「働きやすい職場認証制度」の2024年度申請スケジュールが国土交通省から公表されましたので、解説していきます。
「働きやすい職場認証制度」は、自動車運送事業(トラック・バス・タクシー事業)の人手(運転者)不足に対する施策として、事業者による職場環境改善の取り組みを国が認証し、求職者が持つ自動車運送業への悪いイメージを払拭し、運転者への就職を促進することを狙って創設されたものです。
2023年度から変わったこと
「働きやすい職場認証制度」は、2020年度から始まった比較的新しい制度です。
そのため年度によって変更があったり、追加事項があったりします。
昨年度(2023年度)には、主に2つの変更点がありました。
認証マークの変更
2023年6月1日より「働きやすい職場認証制度」の認証マークが一新されており、現在は新旧の認証マークが混在している状況ですが、いずれも正式な認証マークです。
「古いほうの認証マークだから今すぐ新しいのに申請し直さないと!」というわけではありませんので、すでに古いマークで認証を受けている事業者はご安心ください。
なお、旧認証マークは有効期限が2025年3月31日までの事業者が対象です。
「三ツ星」認証の追加
2020年度の開始当初は一段階(一つ星)の認証のみでしたが、2022年度からは、さらに高い水準への移行を目的として「二つ星」の認証が始まりました。
上記については、以下の記事で詳しく解説しています。
そして、「二つ星」認証を取得した事業者がさらなる高水準へ進むよう、2023年度からは「三ツ星」も導入されています。
ただ、「三ツ星」を取得している事業者はまだないようです。
「三ツ星」導入2年目となる、2024年度の申請から「三ツ星」の取得事業者が出てくるのではないかと期待しています。
「三ツ星」を取得するためには?
では、「三ツ星」はどうやったら取得できるのか、確認していきましょう。
「二つ星」までの詳しい取得方法は、上記で紹介した過去記事をご覧いただきたいのですが、まず審査要件として以下の6分野があります
[1] 法令遵守等
[2] 労働時間・休日
[3] 心身の健康
[4] 安心・安定
[5] 多様な人材の確保・育成
[6] 自主性・先進性等(「二つ星」「三つ星」のみ。「一つ星」では参考点として点数化)
この6分野の基本的な取り組み要件を満たせば、認証を取得することは可能です。
「三ツ星」を取得したい場合、[2]、[3]、[5]の認証項目が追加され、加えて、働きやすい職場実現にむけた行動計画、体制整備などの記載欄を設けられます。
事業者が改善に向けてPDCAを適切に回せているかも審査されることになるため、しっかりとした計画や目標を立てる必要があります。
2024年度申請スケジュールの詳細
2024年度の申請スケジュールは以下のとおりです。
■ 「一つ星」「二つ星」の申請
申請期間 | 2024年7月1日~9月15日 |
審査結果通知書の発行 | 2024年12月下旬以降 |
登録証書の発行 | 2025年2月以降で順次発送 |
登録証書の有効期間 | 発行日(2025年2月1日以降)より2027年3月31日まで |
審査料 | 50,000円(※)+3,000円×申請対象営業所数(本社除く) ※電子申請の場合、30,000円に割引。電子申請による一つ星の継続申請の場合、15,000円に割引 |
登録料 | 60,000円+5,000円×申請対象営業所数(本社除く) |
■ 「三ツ星」の申請
申請期間 | 2024年4月16日~5月31日 |
審査結果通知書の発行 | 2025年2月上旬以降 |
登録証書の発行 | 2025年3月以降で順次発送 |
登録証書の有効期間 | 発行日(2025年3月1日以降)より2027年3月31日まで |
審査料 | 147,000円(※)+3,000円×申請対象営業所数(本社除く) +84,000円×2カ所目以降の対面審査対象営業所数 ※電子申請の場合、127,000円に割引 |
登録料 | 60,000円+5,000円×申請対象営業所数(本社除く) |
どちらも審査料については、電子申請時の割引があるので、積極的に活用しましょう!
また、「三ツ星」の申請は「一つ星」「二つ星」よりも3ヵ月以上早くなっています。
取得を目指している事業者は、早め早めに認証項目の確認や情報収集を行いましょう!
厚生労働表の労働経済動向調査(2022年8月)にある労働者の過不足状況をみると、平成23年8月調査から45期連続して不足超過(人手不足と感じている事業所が多い)となっており、特に「建設業」、「運輸業、郵便業」、「医療,福祉」で人手不足感が高い結果になっています。
「働きやすい職場認証制度」が今後もっと認知され、自動車運送事業者も職場環境改善に積極的に取り組んでいるんだ!という姿勢がたくさんの求職者に伝わってほしいと思います。
<参考>
・ 一般財団法人日本海事協会「自動車運送業者の「働きやすい職場認証制度」」
・ 国土交通省「働きやすい職場認証制度」に関する令和6年度申請スケジュールのお知らせ」
・ 厚生労働省「労働経済動向調査(令和4年8月)の概況」