2019年4月から、労働条件の明示を電子化できるようになりました
- 2019/6/1
- 採用
労働基準法の改正により、2019年4月から労働条件の通知方法の条件が緩和され、電子メール等の電子的な方法での交付も認められるようになりました。
そこで今回は、労働条件通知書の電子化の概要をご紹介します。
そもそも、労働条件通知書とは?
労働者を雇用する場合、労働基準法15条1項の規定により、雇用主は労働者に対して労働条件を通知しなければなりません。
<労働基準法15条1項>
使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。
この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
通知が義務化されている項目は以下のとおりです。
・ 労働契約期間
・ 就業場所、業務内容
・ 労働時間に関する事項
・ 賃金の決定・計算・支払方法、締切・支払いの時期
・ 退職に関する事項
・ 昇給に関する事項
これらの労働条件の通知方法は「書面による交付」と限られていましたが、今回の労働基準法の改正により、2019年4月より、電子メール等の電子的な交付も可能になったのです。
労働条件通知書 電子化の概要
厚生労働省発表の文書によれば、新たに書面以外で認められた交付方法は次の2通りです。
労働条件明示の方法について、労働者が希望した場合には、
①ファクシミリの送信
②電子メール等の送信(当該労働者が当該電子メール等の記録を出力することにより書面を作成することができるものに限る。)
により明示することを可能としたものであること。
※平成30年9月7日付基発0907第号「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による改正後の 労働基準法の施行について」より一部抜粋
電子メール等には、メールだけではなく、LINEやFacebookなど、SNSを利用したものも含まれます。
ただし、これらの電子的交付には注意点がありますので、みていきましょう。
電子的交付の注意点
<注意点1 労働者が電子的交付を希望すること>
あらかじめ、労働者に電子的交付についての同意を得る必要があります。
なお、労働者がそれを希望しない場合は、従来どおり書面での交付となります。
<注意点2 電子メール等の記録を出力して書面を作成できること>
活用例として最も一般的な例は、電子メールに労働条件通知書のPDFを添付する形式だと思われます。
この場合は、送信した通知書をプリントアウトすることができれば問題ありません。
<注意点3 受信する者を特定して送信できること>
対象の労働者本人を特定して送信する必要があります。
SNSの利用も可能と記載しましたが、グループチャットや誰でもアクセスできるような共有フォルダへの格納は認められません。
企業の採用担当者にとっては、新卒採用・中途採用問わず、今まで書面で交付していた書類を電子化でき、業務の効率化を図れる良い機会でもあります。
ぜひ、法改正によるメリットを活かしてみてはいかがでしょうか。