コロナ禍の働き方改革により、脱ハンコの動きが加速しています。
日本の商文化では古くからハンコ文化が根づいており、そう簡単に廃止できるものなのだろうかと思っていましたが、行政や健康保険組合ではすでに一部を除く手続きで脱ハンコを実現させています。
リモートワークをしている企業であっても、一部の社員は出社しているという企業は少なくなく、その理由は押印業務のためなんてこともあるのではないでしょうか。
企業においても脱ハンコが実現できれば、「全社員・完全リモートワーク」に一歩近づけます。
今回は、脱ハンコの気になる点をわかりやすく解説します。
すでに進んでいる脱ハンコの動き
<協会けんぽ>
以下の書類には引き続き押印が必要になりますが、その他の手続きについては原則押印不要です。
社員の資格取得・喪失や月変、傷病手当金のような人事の方がよく利用する手続きのほとんどが押印不要になります。
① 任意継続被保険者の保険料に係る保険料預金口座振替依頼書・自動払込利用申込書の「金融機関お届出印」および「金融機関使用欄(ゆうちょ銀行を除く)」
② 高額療養費支給申請書、限度額適用・標準負担額減額認定申請書および出産育児一時金の市区町村長が証明する欄
<税金関係>
国税は以下の書類には引き続き押印が必要になりますが、その他の手続きについては原則押印不要です。
県税・市税は金融機関届出印や実印が必要な手続きを除き、原則押印不要となります。
① 担保提供関係書類および物納手続関係書類のうち、実印の押印および印鑑証明書の添付を求めている書類
② 相続税および贈与税の特例における添付書類のうち財産の分割の協議に関する書類
脱ハンコのメリット
<リモートワークのハードルが下がる>
冒頭で記述したように、押印業務のため出社せざるをえない社員にとっては、脱ハンコができれば出社の必要がなくなるので、完全リモートワークに一歩近づくでしょう。
<コスト削減>
従来のハンコ文化に伴うペーパーワークにより、紙代や印刷代、書類の保管代がかかっている企業がほとんどでしょう。
脱ハンコによりそういった費用がかからなくなるので、コスト削減も期待できます。
<生産性向上>
ペーパーワークに付随して、保管・管理業務も発生しますが、これらの業務は意外とバックオフィス部門の負担になっていることが多いです。
脱ハンコによりこれらの業務を省き、その時間を他の業務に充てることができれば、大幅な生産性向上が期待できます。
脱ハンコ、どうすれば実現できる?
<社内ワークフローの整備を>
いきなり契約書などの社外文書を含めて脱ハンコを目指すのは、かえってハードルが上がってしまいますので、たとえば出張申請書などのよく利用する社内文書から取り組んでみるのも一つの手です。
社内文書を承認・押印してもらうための手間や時間が省けますので、一部の文書を脱ハンコするだけでも効果を実感できます。
<行政・税務関係の手続きは電子申請が必須>
脱ハンコには電子申請の導入が不可欠です。
電子証明書が必要になりますが、パソコンとネット環境があれば、社会保険関係や税金関係のほとんどの申請を自宅にいながら行うことができます。
当社もe-Govやe-Tax、eLTaxなど電子申請ソフトを導入していますが、外出せずに手続きできるので、コロナ禍で人との接触を避けたい中での業務に大変役立っています。