2021年7月19日、コロナウイルスによる健康影響調査の結果が産業医科大学から発表されました。
本調査は第3波時(2020年12月)に、全国の労働者3万人を対象として行われたもので、大きく分けて次の8つが判明しました。
・ 職場での感染対策は中小企業で課題
・ 通勤や職場での感染不安がメンタルヘルスに影響
・ 在宅勤務では、仕事環境が生産性に影響
・ 在宅勤務希望のミスマッチがメンタルヘルスに影響
・ 在宅勤務とワークエンゲージメント
・ コロナワクチンの接種意向は若い女性で課題
・ コロナ禍での治療中断は社会経済状況が関連
・ 会社の感染対策が社員のメンタルヘルスに影響
本記事では上記のうち3つを解説します。
① 仕事のやる気と在宅勤務頻度の相関
従業員の仕事に対してのやる気、熱意は企業が当然求めるものでありますが、在宅勤務を実施した場合、それらに対してよい影響をもたらすか否かが明らかになりました。
調査によると、在宅勤務の頻度が週2~3日、週1日、月1日(低頻度)の人は、やる気・熱意が高いという結果でした。
一方で、在宅勤務の頻度が週4~5日の人はやる気が相対的に高くない傾向がみられました。
在宅勤務は実施したほうが良い、しないほうが良いとは一概に言えるものではなく、その頻度も企業側が検討すべき事項なのかもしれません。
② 在宅勤務の環境の重要性
前述の在宅勤務に関する調査では、適切な頻度の在宅勤務が従業員のやる気を高めるとわかったわけですが、在宅勤務の環境も非常に重要である事実も発覚しました。
一例として、在宅勤務をするのに「十分な明るさがない」と答えた人は、十分な明るさがあると答えた人の2倍、パフォーマンス低下のリスクが高くなったというものが挙げられます。
また、在宅勤務のリスクを促進させるものとして、①集中できる場所・部屋がない、②仕事をするのに十分な明るさがない、③机の上に作業できる十分なスペースがない、④足元に十分なスペースがない、⑤室内の温湿度調整が不快、⑥静かな環境ではない、⑦事務用以外の机・椅子でしているの7つが挙げられました。
7つすべてに該当する人は、1つも該当しない人と比較して4.5倍、パフォーマンス低下のリスクが高くなったようです。
③ 社員の不安を少しでも取り除くために
在宅勤務が奨励される世の中ですが、規模が小さいなど全面的な実施が難しい状況下に置かれている会社もあります。
そういった会社は、通勤時や職場での感染を懸念する従業員の不安を取り除くことに注力しなければなりません。
就業中のマスクの着用や、懇親会や会食の自粛などの感染対策は、大企業で9割、中小企業でも4割と結果が出ています。
調査当時よりは対策が厳重化されていると考えられますが、感染対策により従業員の不安を少しでも軽減することが依然として重要になるでしょう。
今回は、産業医科大学の調査結果のうち、主に在宅勤務に関する項目を紹介しました。
新型コロナウイルスの感染者は減少傾向にありますが、今後も在宅勤務を継続する企業、および在宅勤務を主流とする企業は増えるのではないでしょうか。
いずれにせよ、企業側は従業員に十分配慮した対応が必須となるといっても過言ではありません。
<参考>
産業医科大学「3万人を対象とした「コロナの健康影響調査」で分かったこと!」