いま、この瞬間にあなたの目の状態はどうなっていますか?
ここ数年での視力低下や、違和感などの不調は増えていませんか?
1日中パソコンの画面を見て仕事をしている方や、スマートフォンで動画を視聴するのが習慣という方などは、ぜひこの記事を読んで、元気な目を維持するための工夫を実践するようにしましょう。
今すぐできる!ドライアイチェック
まず、自分の目の状態をチェックしてみましょう。
□ 目を開けて10秒間まばたきを我慢できない
□ 目の乾き、ゴロゴロするなどの異物感、ヒリヒリした痛みがある
□ よく目脂(めやに)が出たり、充血したりしている
これらの症状がある場合は、ドライアイの状態かもしれません。
ドライアイとは、目の表面にある涙などの層が安定して保てなくなり、不快感や視機能異常を生じる状態を指します。
角膜の表面は「涙液層」という水分やたんぱく質などを含んだ液体の層が覆い、さらにその表面を油の層が覆っています。
それらの層があることで、目は病原体を含めた異物からの防御や、角膜への栄養供給などを受けられています。
しかし、この層を構成する液体の量が少なくなったり、油の分泌が悪くなったりすると、通常であれば角膜表面を滑らかに覆っているはずの層が凸凹になってしまいます。
そうした状態になることで、目に痛みや違和感を生じやすくなるのです。
パソコン作業による視力低下のリスク
この記事を読んでいる間に、目にしょぼしょぼとした違和感がある人も、もしかしたらドライアイかもしれません。
ドライアイを進行させる要因としては、エアコンや扇風機などの風、コンタクトレンズの不適切な着用、そしてパソコンなどの情報機器を長時間使用することなどが挙げられます。
コロナ禍によって、生活のさまざまなことが変わりましたが、そのなかでも大きく変わったことの一つとして、自宅など、オフィス以外でパソコンやタブレットを使用した「テレワーク」の急激な普及があります。
東京商工リサーチの調査や総務省のまとめによると、民間企業におけるテレワークの実施率は、2020年3月初めは全体の17.6%であったのに対して、2022年6月は29.1%。
ここ最近では、コロナの新規感染者数の減少や感染症法上の5類移行に伴い、テレワークを廃止方向としている企業もありますが、一方では今後も継続していく企業も少なくありません。
オフィスでは対面の会議ができても、テレワークだとすべてオンラインでの実施になったり、人によってはオフィスよりかなり狭い部屋に閉じこもりになり、1日中パソコン画面ばかり見るようになったりします。
パソコンなどの画面を見ていると、集中するあまり、まばたきの回数が明らかに減ったり、近距離で画面を見るため視線を頻繁に動かしたりしてしまいがちです。
結果的に、ドライアイやそれによる違和感を悪化させてしまう恐れがあります。
また、長時間のパソコン作業は、ドライアイだけでなく視力低下のリスクを高めます。
さらに、日常の中で長時間パソコンなどを使用する機会が増え、離れたところを見る機会がなければ、実際に視力が低下していたとしても気づきにくくなることも考えられます。
「久しぶりに車を運転したら、夜道があまりよく見えなかった」なんて怖いことになりかねませんね。
「仕事を頑張って目を悪くする」を避ける工夫
ドライアイをはじめ、視力低下の要因に「パソコンの長時間使用がある」と前述しました。
しかし、仕事をするうえでパソコンの使用は必須であり、単純に使用時間を短くすることが現実的ではないでしょう。
ここで重要なのは、ちょっとの工夫を取り入れることです。
一般的なオフィス(以下では「事務所」という)には、物理的な環境を一定の基準に整備することが法律で義務づけられています。
事務所衛生基準規則という、労働安全衛生法に基づく厚生労働省令の一部に、事務所の明るさについての基準があります。
作業の区分 | 基準 | 補足 |
一般的な事務作業 | 300ルクス以上 | 情報機器作業は、この作業区分に含める |
付随的な事務作業 | 150ルクス以上 | 資料の袋詰めやクリップ留めなど、文字を読み込む必要のない作業 |
参考:事務所衛生基準規則
300ルクスは調理台や洗面台、食卓などの明るさ、150ルクスは浴室、玄関全体などの明るさをイメージするとわかりやすいかもしれません。
普段テレワークをしている方の環境は、オフィスくらいの明るさにしていますか?
部屋が暗い方は、カーテンをしっかり開けて部屋全体を明るくする、目に直接光が入らない位置に照明を追加するなどの工夫をしましょう。
また、以下のような工夫を取り入れ、目を守る働き方を実践しましょう。
■ 作業に集中しすぎて、まばたきを忘れないように意識する
■ 眼の乾燥を感じたら目薬を適切に使用する
■ 20分連続でパソコン画面を見たら、数十秒は遠くを眺める
<参考>
・ ドライアイ研究会「ドライアイ診療ガイドライン」
・ 株式会社東京商工リサーチ「第22回「新型コロナウイルスに関するアンケート」調査」