意外と知らない月経のことを学ぼう!

意外と知らない月経のことを学ぼう!

毎月1回、月経(生理)が女性には起こります。
非常に煩わしく、人によっては体調を崩す原因にもなります。
「月経はないほうが楽だ」と思う方がほとんどでしょう。
5人程度出産していた昭和初期後の女性の生涯月経回数は50~100回でした。
現代の女性は初経も早まり、出産回数も減少しているので、生涯月経回数は400~450回と昔の4~9倍増えています。
思春期から更年期の間に約400回も煩わしい、辛い期間を過ごしているのだと驚いてしまいます。
「自分の月経周期や症状は大丈夫かな?」と思っても、他人と比較できず、相談もしにくい内容ですよね。
今回は月経の知識や受診が必要な症状についてなど解説していきます。

月経ってなに?必要なの?

月1回、脳から卵巣へ合図が出されると、子宮内膜を厚くしたり、排卵を起こしたりします。
厚くなった子宮内膜は妊娠するために必要不可欠ですが、妊娠が成立しなければ必要がなくなるため、血液とともに排出されます。
この出血を月経と呼びます。
排卵の約2週間後に月経がはじまり、3~7日続いて自然に止まります。
脳から出るホルモンや卵巣などから出る女性ホルモンの複雑な働きによって、私たちの月経はコントロールされています。
女性ホルモンは「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の2種類があります。
女性ホルモンの役割は女性らしい身体や月経、妊娠だけではありません。
特にエストロゲンは他にも大事な役割を持っています。

エストロゲン

・ 子宮内膜を厚くし、妊娠するための準備をする
・ 女性らしい身体をつくる(乳房発育、丸みのある身体)
・ 自律神経を安定させる
・ 肌を美しくする
・ 血管、骨、関節などの機能を健康に保つ など

プロゲステロン

・ エストロゲンの作用で厚くなった子宮内膜を柔らかくし妊娠しやすい状態にする
・ 妊娠を維持する
・ 体温を上げる
・ 食欲が増す など

正常な月経と異常な月経って?

正常な月経と異常な月経の目安

正常異常
月経開始12歳前後10歳未満:早発月経
15歳以上:遅発月経
18歳以上になっても初経がない:原発性無月経
周期25~38日24日以内:頻発月経
39日以上3か月未満:希発月経
3か月以上月経停止:続発性無月経
持続日数3~7日2日以内:過短月経
8日以上:過長月経
月経血量(1回の月経期間)20~140g20g以下:過少月経(オリモノシートで足りる)
150g以上:過多月経(1時間でナプキンを交換する、夜用ナプキンでも漏れるなど)
月経以外で出血:不正出血
閉経50歳前後40歳未満:早発閉経
55歳以上:遅発閉経
月経障害なし~月経困難症・月経前症候群(PMS)
軽度月経痛子宮内膜症など

あくまで目安なので、婦人科で診てもらい問題なければ、個人差の範囲になる症状もあります。
私は以前、婦人科で働いていましたが、問診に「月経不順」と記載が多かった印象があります。
異常周期の方ももちろんいましたが、詳しく確認すると「28日だったり30日だったりとばらばらです」と言われることが結構ありました。
毎月必ず28日周期、30日周期でなくても、変動が6日程度であれば問題ありません。
私たちの身体はとても繊細であり、ホルモンのコントロールを自分自身ですることもできないので、ほんの少しのずれは問題ありません。

何週間も出血する、出血が極端に少ないなどは、不正出血の可能性が高く、月経ではありません。
また、子宮頸がんや性感染症でも不正出血しますので、必ず病院を受診しましょう。

3か月以上月経がないことを放置する(妊娠・授乳中は除く)、閉経が異常に早いなどは非常に危険です。
「別に自分は妊娠を望んでいないし、うっとうしいので楽」と思っていると大変なことになります。
先ほどエストロゲンの作用で「血管、骨、関節などの機能を健康に保つ」と紹介しましたが、適切な時期に月経がない場合、動脈硬化が進んだり、骨粗しょう症になったりと生活にも支障が出ます。
端的に言えば、老化が進むのです。
婦人科で働いていた時に「学生時代から月経は年数回、ここ数年はまったく出血がない」と30代前半の女性が来院されました。
子宮も卵巣もエコーで見えないくらい萎縮し、ほぼ閉経に近いと診断されました。
また、骨密度を測定すると「70代相当」でした。

月経は煩わしいものですが、毎月定期的に月経があるということは、しっかり女性ホルモンが出ている証になります。
上記の表で月経状況を確認し、異常が続いている場合は受診しましょう。
閉経が近い更年期であれば、問題ない場合もありますが(月経量が減る、月経周期の期間が長引くなど)、自己判断は心配ですので、気になる症状は婦人科で相談しましょう。

「月経異常かも?」と思ったら

まずは「正常な月経と異常な月経の目安」の表にある、異常の症状がある場合は婦人科を受診しましょう。
月経不順、月経痛、子宮内膜症などは低用量ピルや黄体ホルモン製剤などの治療がすすめられています。
私も学生時代から月経痛に悩まされ、痛み止めも効かないくらいでした。
学生時代とは違い働き出すと急に休むのも難しくなり、これ以上月経に振り回されたくないと思い、今は内服でコントロールしています。
さまざまな不快症状は一切なくなり非常に快適です。(薬には必ず副作用があるので、医師からの説明をよく聞いた上で判断しましょう)

治療が必要なレベルでない方、「自分でできることはないか?」と考えている方は、下記の改善方法をとり入れましょう。(生理不順が酷い方、不正出血が続く方などは病院を受診してください)

適正体重を守る

痩せすぎ、太りすぎはホルモンのバランスが崩れやすいため、月経が止まる、不順の原因になります。
特に痩せすぎは注意が必要です。
BMI18.5~25が適正と言われているので、過度なダイエットは避けましょう。

BMI計算方法=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)

ストレスをため込みすぎない

過度なストレスはホルモンのバランスを崩します。
PMSの症状も増強させると言われているので、睡眠をしっかり取る、半身浴をする、趣味を楽しむなど、自分なりのストレス発散方法を見つけて実践しましょう。

身体の冷えに注意する

身体が冷えると血行が悪くなり、月経痛が悪化すると言われています。
素足や短いスカートなどは冷えの原因になるので、月経中は控えましょう。
お風呂に浸かったり、お腹を温めたりして、身体を冷やさないようにしましょう。

運動をする

習慣的に運動することが大切です。血行が改善、自律神経が整います。
さまざまな健康効果があるので、やって損はありません。

黒い食べ物を積極的に取り入れる

黒い食べ物には身体を温める効果があると言われています。
また、ポリフェノールやビタミン、ミネラルなども豊富な食品なので、体内バランスを整えてくれます。
例)玄米、海苔、ひじき、黒ゴマ、シイタケ、ワカメ、黒豆、ブルーベリー など

月経の不調や原因はさまざまです。生理的なものなのか、病気からくる症状なのか判別する必要があります。
まずは適切に診断してもらうために、婦人科受診をおすすめします。
また日ごろの生活習慣も月経に影響を与えるので、規則正しい生活を心がけましょう。

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保健師 大島かよ

投稿者プロフィール

病棟・クリニックでの患者さんとの関わりの中で、「もっと早く治療開始できていれば」、「病気になる前に何かできないか?」と考えるように。その思いから次第に予防に興味を持ち、「働く世代」に対するアプローチがしたい!と、産業保健の世界へ飛び込みました。
現在産業保健師として数社訪問、健保で特定保健指導を担うフリーランスの保健師です。
自分の経験なども盛り込みながら、産業保健に関連する情報を発信していきます。
【取材、記事協力依頼、リリース送付などはこちらからお願いします】

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