近年、インフルエンザや新型コロナウイルス、マイコプラズマ肺炎などさまざまな感染症が流行しています。
特に、冬は低温・低湿を好むウイルスにとっては最適な環境であるため、感染症が流行しやすい時期といえます。
そのなかで2025年4月より、鼻炎や気管支炎を含む「急性呼吸器感染症」が感染症法上の5類感染症に位置づけられることになりました。
今回は「急性呼吸器感染症」が5類感染症に位置づけられることによる私たちの生活への影響についてみていきましょう。

5類感染症とは

そもそも5類感染症とはどのようなものなのでしょうか。
感染症分類は「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律（感染症法）」に基づき、感染症の感染力や罹患した場合の重篤性からみた危険度別に並べられた分類を指し、感染した場合の措置内容も異なります。
このうち5類感染症は、国が感染症発症動向調査を行い、その結果に基づいて必要な情報を国民一般や医療関係者に提供していくことによって、発生・まん延を防止すべき感染症が該当します。
今回、急性呼吸器感染症が飛沫による感染などにより周囲の人にうつしやすいという特徴を踏まえ、感染の動向を把握し、迅速に対応することができることを目的に5類感染症に分類されることとなりました。

「風邪」が5類感染症になったら生活はどう変わる？

以下では「風邪」が5類感染症に分類されることでの変化をQ＆A形式で答えてきます。

Q.　2025年4月より5類感染症の分類になる「急性呼吸器感染症」ってどのような病気？

急性呼吸器感染症とは、急性の上気道炎（鼻炎、副鼻腔炎、中耳炎、咽頭炎、喉頭炎）あるいは下気道炎（気管支炎、細気管支炎、肺炎）を指す多彩な病原体による症候群の総称です。
インフルエンザ、新型コロナウイルス、マイコプラズマ肺炎、私たちが普段「風邪」と呼んでいる症状も当てはまります。

Q.　急性呼吸器感染症が5類感染症になると生活に変化は生じる？

急性呼吸器感染症を5類感染症に位置づけることによる私たちの生活への影響はありません。
診療上の扱いもこれまでとは変わらず、インフルエンザなどのように就業制限や登校制限の対象とはなりません。

冬の感染症対策を徹底して感染症にかからない体を！

急性呼吸器感染症が5類感染症に位置づけられることによる生活への影響がないとはいえ、感染症にかからないことはとても重要です。
インフルエンザや新型コロナウイルスといった感染症対策の基本は「手洗い」、「咳エチケット」、「換気」です。
正しい対策方法を改めて確認していきましょう。

① 適切な手洗いを行いましょう

細菌やウイルスは、テーブルや手すり、ドアノブ、電車のつり革など日常生活のなかのさまざまなところについている可能性があります。
そのため、手洗いは、外出先からの帰宅時や調理の前後などこまめに行うようにしましょう。
手を洗う際には、流水で手を濡らした後に石鹸をつけ、手のひらだけでなく手の甲や指の間、爪の先までしっかりと洗うようにしてください。

出所：厚生労働省「一般的な感染症対策について（縦）」

② 咳エチケットはしっかりと！

「咳エチケット」とは、自分の咳やくしゃみによる飛沫による他の人への感染を防ぐために、マスクやハンカチ、ティッシュなどを使用することで、口や鼻をおさえることを指します。
咳やくしゃみなどの症状がみられる場合は、「咳エチケット」を心がけるようにしましょう。

③ こまめに換気しましょう

寒くなってくると、ついつい窓を閉めっぱなしになってしまいます。
換気が十分にできていない空間では、ウイルスが滞留しやすくなるため、感染するリスクが高まります。
換気扇やエアコンを使用する機械換気や窓を開けておこなう自然換気を積極的に取り入れましょう。
窓を開けて換気をする場合は、30分に1回、数分程度窓を全開する時間をとるようにしてください。
また、その際には空気の流れを作るために、複数の窓がある場合は2方向の窓を解放するように、窓が１つしかない場合は扉を全開にしましょう。

感染症に罹らないためには、普段の生活のなかの感染症対策が重要です。
「手洗い」「咳エチケット」「換気」を心がけていきましょう！

＜参考＞
・　厚生労働省「冬場における『換気の悪い密閉空間』を改善するための換気の方法」
・　厚生労働省「急性呼吸器感染症（ARI）」