春といえば、花粉による健康への影響が話題になることが多いですが、4月頃からは紫外線の量も急激に増えているということをご存じでしょうか。
この記事では、知っているようで知らない紫外線に関する知識や紫外線が健康にどう影響するのかを、わかりやすく解説します。
紫外線ってそもそもなに?
紫外線と聞くと、夏のギラギラとした日差しが肌を刺すようなものをイメージしませんか?
テレビコマーシャルなどでも、日焼け止め化粧品の必要性や効果を示すイメージで、そのようなシーンを見たことがあるかたはたくさんいることでしょう。
実際に、紫外線は太陽からのエネルギーである日射の中に含まれています。
日射には、波長の異なる3種類の光線(可視光線、赤外線、紫外線)があります。
「可視光線」とは、私たちが目視できる光です。
その可視光線より波長が長く、目には見えないけれども温かさを感じるのが「赤外線」、波長が短く何も感じとれないのが「紫外線」です。
また、紫外線も波長の短いものからUV-C、UV-B、UV-A の3種類に分かれています。
UV-Cは、地球を覆っているオゾン層などにより遮られるため、地表には届きません。
UV-Bも、ほとんどはオゾン層などで遮られるものの一部は地表まで届き、私たちの皮膚や目などの表面に作用し、炎症やシミ、乾燥の原因になります。
日焼けのあとに皮膚が赤くなるのは、これによるものです。
そのエネルギーは強いうえに散乱しやすいため、さまざま角度から私たちに届いてしまいます。
最も波長の長いUV-Aは、皮膚の奥深くまで届き、コラーゲンを変性させ、しわ・たるみなどの原因となります。
日焼けの後に肌が黒くなるのは、UV-Aによる皮膚の防衛反応のためです。
このような紫外線は、4月になると急激にその量が増えます。
4月や5月にはまだ真夏ほど太陽からの熱を感じにくいからと油断していても、気づかないうちに紫外線をたっぷりと浴びてしまっているわけです。
紫外線による健康への影響
紫外線が私たちに与える影響は、前述したような見た目への影響のみではありません。
紫外線によって皮膚が赤くなったり黒くなったりという変化は、長くて数か月でほとんど元に戻ります。
しかし、長期的な影響には皮膚にできるいくつかの腫瘍や白内障、あるいは結膜(白目)が角膜(黒目)の中央に向かって侵入する「翼状片」という病気を引き起こす可能性があります。
腫瘍は良性の場合もあれば悪性の場合もあり、眼球に関しては視野や視力に障害をもたらします。
直射日光に当たることはもちろん、何かに反射して届いた紫外線にも警戒が必要です。
たとえば、アスファルトにあたり反射する紫外線量は約10%です。
しかし、水面は10~20%、雪の場合は80%(※1)と、頭上から注ぐ紫外線のみ防ぐことでは対策として十分ではありません。
レジャーに行った際はもちろん、漁業や農業、建設業などの屋外業務、長時間の自動車運転業務などがある場合は特に対策が必要です。
波長の長い紫外線は窓や布も透過しやすいため、オフィスワーカーでも何年も窓の近くで過ごしている場合は、紫外線対策の見直しを検討してみてもいいでしょう。
今日から見直す紫外線対策
紫外線対策としてまず行うのは、日射を減らすことです。
帽子や日傘、サングラスなど身に着けるものによって、紫外線への暴露を防ぎます。
車の窓ガラスは、フロント部分は紫外線99%カットなどの高カット率のガラスを使用していることが多いですが、その他の窓はそれより低い可能性があります。
横からの紫外線をカットしたいからとスモークガラスにする場合には、可視光線透過率(可視光線をどのくらい通すかを示すもので、数値が高いほど向こう側がはっきりと見える)は70%以上ないと、道路運送車両法による保安基準の違反となりますし、助手席や運転席にカーテンやサンシェードを付けていることも、道路交通法第55条2項の違反となるため注意が必要です。
(乗車又は積載の方法)
第55条 (中略)
2 車両の運転者は、運転者の視野若しくはハンドルその他の装置の操作を妨げ、後写鏡の効用を失わせ、車両の安定を害し、又は外部から当該車両の方向指示器、車両の番号標、制動灯、尾灯若しくは後部反射器を確認することができないこととなるような乗車をさせ、又は積載をして車両を運転してはならない。
出所:道路交通法
そのため、衣類やサングラスで紫外線を防いだり、日焼け止め化粧品を使用したりすることはおすすめです。
日焼け止め化粧品には、「SPF」や「PA」などの表示があります。
「SPF」は「Sun Protection Factor」の略で、UV-Bへの防御力を表しています。
数値は50までで、50を超えた場合は「50+」となります。
数字は大きいほど防御力は強いことを示します。
「PA」は「Protection Grade of UVA」の略で、UV-Aへの防御力を表します。「+」~「++++」まであり、「+」の数が多いほど防御力が強いことを示します。
ここまで紫外線による悪影響のみ説明しましたが、紫外線には骨を強くするビタミンDの生成を助ける、体内時計の修正効果、ホルモン調整の効果など、必要な場面もあります。
日が昇ったとき強すぎない日射を30分程度浴びるなど、適度な日光浴を取り入れるといいですね。
紫外線による見た目への影響だけでなく、長期的に自分の健康を守るためにも、この春から紫外線対策を見直してみましょう。
(※1)出所:環境省「紫外線環境保健マニュアル2020(PDF)」