こんにちは、産業カウンセラーの冨田です。
前回はメタ認知のお話をさせていただきました。
ストレスの受け止め方=認知を変えることはとても重要ですが、これまで学習してきた認知方法はすぐには変わらないこともあります。
でも、安心してください。
生まれつきではなく、認知はこれまでの経験・育った環境から身についているもので、変えていくことができます。
赤ちゃんの時から今の認知力や思考力を持っている人はいませんよね?
めげずに日々トライして、生活習慣の中に定着させてほしいと思います。
さて、習慣化してほしいことについては、リラックス法も欠かせません。
今回は自律訓練法を覚えていただきたいと思います。
変化はストレスになる
季節の変わり目、秋はあっという間に過ぎ去り、冬に移り変わりつつあります。
そろそろクリスマス・年末と一年の締めくくりも近づいてきていますね。
みなさん、仕事やプライベートで色々とストレスを感じているかもしれませんが、生活の変化、季節・気温の変化も実はストレスとなって、知らず知らずのうちに心身に変調をきたしてくることを知っていますか?
嫌な出来事だけがストレス現象ではありません。
良いことも悪いことも「変化」はストレスになりやすいと言われており、身体の中に見えないストレスダメージが蓄積されていきます。
ストレスにさらされると、人は交感神経が優位になり、その状態が継続されると徐々に自律神経やホルモンバランスが崩れてしまいます。
その交感神経に傾きすぎた自律神経のバランスをとるために、自律訓練法は大いに有効なのです。
難しい訓練?
自律訓練法は、副交感神経優位状態をつくり出す自己調整技法と言われています。
実際に血圧が下がったり、四肢の皮膚温が上がったりと、生理的な変化も認められています。
これだけ見ると、なんだかむずかしそうに思うかもしれませんが、大丈夫です!
自律訓練法は、
①道具がいらない
②どこでもできる
③変化を感じやすい
といわれており、初心者の方でも気軽に行っていくことができます。
準備しよう!
●座ったままで行う場合
反り腰にならないよう背筋はまっすぐ伸ばし、足裏は床に付ける。
両手は開いた状態で膝の上におき、頭のてっぺんからつるされているようなイメージで。
●寝転がって行う場合
全身の力を引き、床に背中をつけて力を抜く。
両脚は肩幅、腕は軽く開き、手のひらの向きは上でも下でも問題ありません。
※身体を締め付けているものは外しましょう。(ベルトやネクタイ、腕時計など)
できるだけ静かで落ち着ける場所を選び、ゆったりとイスやソファーに腰掛けてください。
ご自宅等で行う場合は仰向けに寝転がるのもいいでしょう。
1~6の公式
呼吸が大事です、目を閉じて、ゆっくり吸ってゆっくり吐くところからスタート。
(3~5秒、鼻から吸って、出し切るようにゆっくり口から吐く)
第1公式(四肢の重感):手足が重たい
「手足が重たい」と頭の中で意識してみてください。
両手両足に徐々に重みを感じ始めます。個人差があり、すぐには難しい場合もあります。
重みを感じられなければ、第2公式(四肢の温感)に移行しても大丈夫です。
第2公式(四肢の温感):手足が温かい
「手足が温かい」と頭の中で意識してみてください。
第2公式の方が感じやすい方が多いと言われています。
時間差で、手足のぽかぽかを感じることもあります。
第3公式(心臓調整):心臓が静かに打っている
心音に意識を向け、静かに一定のリズムを打っていることを感じてください。
「心臓が静かに打っている」と音に耳を傾けてください。
第4公式(呼吸調整):楽に呼吸している
リラックスした状態で、深呼吸を繰り返します。
「楽に呼吸をしている」と呼吸に意識を向けてください。
更に深いリラックス状態へ移行します。
第5公式(腹部温感):お腹が温かい
腹部がじんわりと温かくなってきます。
「お腹が温かい」と頭の中で意識してみてください。
この時、手足もぽかぽかしていて構いません。
第6公式(額涼感):額が心地よく涼しい
手足や腹部が温まると同時に、額は涼しい風を受けているような感覚に。
「額が心地よく涼しい」と頭の中で意識してみてください。
自然の中で気持ちのいい風を受けているようなイメージです。
消去動作を忘れずに!
自律訓練法では、特有の生理変化(眠気・だるさ)が生じることもあるため、訓練後は必ず消去動作を行うようにしてください。
思わぬケガにつながります!
<消去動作・ストレッチ>
①両手の開閉運動
②両肘の屈伸運動
③大きく背伸び
④首や肩をよく回す
⑤身体をほぐして深呼吸
寝る前に行う場合は、消去動作は行わずにそのまま眠ってしまっても問題ありません。
セルフケアセミナーで自律訓練法を受講者と実践してみると、
「眠たくなりました」「身体がぽかぽかしました」「家でもやってみます」
などなど、リラックスの変化を感じた方が多くいらっしゃいました。
寝つきが悪い時なども、ぜひベッドでやってみてください!
ストレスはこれからも付き合っていかないといけないものです。
自律訓練法を行うなど、自発的に、心身をケアしていく必要があります。
自分のストレスのたまり具合や疲労度に目を向けて、きちんと対処していきましょう。