こんにちは、産業カウンセラーの冨田です。
今年のゴールデンウィークも自粛モードとなり、残念な気持ちを抱えて過ごした人も多かったのではないでしょうか。
企業としては、新入社員が入社してからもうすぐ2ヶ月ほど経ちますが、まだまだ研修をしていたり、組織に馴染めない時期だと思います。
さて、今回は組織の意思決定に作用する集団心理のお話をさせていただきます。
新人の比率が上がった分、発言の機会は偏りを見せている会社もあるのではないでしょうか。
管理職や一部の社員だけがよく喋っている、なんて職場も見聞きます。会議でもそうですね。
よく発言する人とそうでない人で、分かれていることもあると思います。
集団極性化とは
集団心理の中に、集団極性化という言葉があります。
1961年に、アメリカのマサチューセッツ工科大学の大学院生だったジェームズ・ストーナーが発見したもので、「集団における意思決定は、極端な方向に振れやすい傾向がある」という心理現象です。
つまり、より優勢な判断や意見に引きずられてしまうんですね。
「三人寄れば文殊の知恵」とはよく言いますが、個人よりも集団で決める方がよりよい意思決定をできる!とは、必ずしも言えないのです。
リスキーかコーシャスか
ストーナーが報告した「リスキーシフト」という集団傾向があります。
何か物事を判断するとき、個人で判断するよりも集団で判断するほうが、リスクの高い選択をしやすいというものです。
個人で考えれば「あれ?危ないぞ」と冷静に判断できることであっても、集団になるとハイリスク選択をしやすくなるのです。
逆に安全志向が強い場合には、より安全志向が強まるという現象もあり、これをコーシャス・シフトといいます。
Cautious=慎重を意味し、変化に消極的な集団にいると、無難な意見を言ってしまうという心理です。
なぜ人の意見に左右されるのか
集団の中で発言する際に、自信満々で自分の意見を言える人ばかりではありません。
周囲の人々の多くが、自分と同じ意見を持っていると「自分の意見は正しい」と感じることはありませんか?
そういった確信や安心を得ることで、その結果、集団極性化が起こるといいます。
また、集団の大多数がリスキーあるいはコーシャスな意見を持っているとわかると、自分の意見を集団に合わせようとする同調が起きます。
集団での意思決定は、個人の意思決定と比べ、責任の所在も不明確になります。
自分の決定に責任が伴うとなれば、冷静に判断を行うものですが、集団になると「赤信号、みんなで渡れば怖くない」状態になるわけです。
あなたの職場でも、あなた自身にも起きている現象かもしれません。
一度振り返る時間を作ってみてはいかがでしょうか。