不公平感はどこから生まれるのか
働くなかで不公平を感じた瞬間はありますか?
日々、業務をこなし、結果・功績を残すことで、評価を求め、次第に“競争意識”が生まれます。
競争意識は、自己を奮い立たせ、より高いパフォーマンスを発揮させるための原動力にもなる一方で、他者と自己を比較することにつながり、自己肯定感の低下や、不満につながることもあります。
そして、その不満の多くは、公平性に欠ける事態に直面した時に発生します。
※ 公平:すべてのものを同じように扱うこと。判断や処理などが、かたよっていないこと。また、そのさま。(出典:デジタル大辞泉)
不公平を感じる経験とは
不公平を感じる経験は、大きく次の2つに大別できます。
- 間接的経験
- 直接的経験
間接的経験
目撃したり、伝聞したことで経験する不公平感を指します。
間接的経験では、不公平に対する認識や知見を深めることがほとんどであり、不満は比較的少ないものです。
例)メディアやニュースを介して社会的な格差問題を把握した場合
直接的経験
一方、直接的経験では、自らが不当に不利益を被っていると感じる経験を指します。
例)最終学歴にもとづいた処遇の違い、男女の性差による不当な取扱い
不公平とメンタルヘルスのつながり
上記の通り、不公平感を抱く経験には、2つのパターンがあるのです。
このうち、メンタルヘルスへ大きな影響を及ぼすのは、後者「直接的経験」をした場合です。
直接的経験の例
ここで例をご紹介します。
AさんとBさんがいました。
2人はそれぞれお小遣いをもらいました。
Aさんは5,000円のお小遣いをもらい、以前からほしかったものを買うことができ、幸福度が高い状態にありました。
そんなAさん、あとになってBさんが10,000円貰えたという事実を本人から教えてもらいます。
するとどうでしょう。
ほしいものを購入でき、幸福状態であったはずなのに、自分より多くのお小遣いをもらっているBさんの存在に対する、不公平感の気持ちのほうが強くなってしまったのです。
働くなかでも同様のことはありませんか。
もちろん、理由もなく不当な取り扱いを受けることはないにしても、公平でないと感じる瞬間は、さまざまなところに潜んでいます。
たとえば、給与や昇進、性差、年齢、学歴、職場環境・形態など…。
こうした不公平感は大きな不満につながります。
また、本人にとって重要性が高い問題ほど、大きなストレスとなるでしょう。
前述のように、直接的経験から生まれる不公平感がもたらすストレスは非常に大きく、満足感や充実感を感じていたとしても、不公平に直面したとたん、それらは低減してしまいます。
職場でできる不公平感の解消
「すべての人に不満がないように、公平に」
こんな環境を作ることができれば理想的ですが、残念ながら不可能に近いといえるでしょう。
しかし、「多様性」の観点をもって職場環境改善を行うことで、公平性の高い職場の実現に近づくのではないかと考えます。
その際には、一人ひとりが抱える背景を理解すること、現場の生の声を拾うことが必要になってくるでしょう。
職場巡視や衛生委員会などで、従業員の意見が反映されていますか?
部下の不満や愚痴を聞き流してはいませんか?
不満の源には「不公平感」が潜んでいるかもしれません。
小さな声に耳を傾けることも、職場環境改善のきっかけになりますよ。