印紙が必要な契約書
「工事の請負契約」には印紙が必要であり、契約金額に則った税額の印紙を貼り付けなければなりません。
請負契約では業務の完成に対して報酬が支払われますが、このような契約では、印紙が必要と定められているのです。
参考:国税局「契約書や領収書と印紙税」
印紙が不要な契約書
一方で、顧問契約のような、いわゆる「委任契約」に印紙は不要です。
この違いは、責任の性質が異なる点にあります。
請負契約は結果について責任が問われ、委任契約は過程について責任が問われます。
その違いが、印紙税にも反映されるということです。
※ ちなみに、役務の提供(サービスの提供)を目的とする委託契約において印紙は不要ですが、役務の提供であっても、以下の職業には印紙税が必要です。
一 プロボクサー
二 プロレスラー
三 演劇の俳優
四 音楽家
五 舞踊家
六 映画または演劇の監督、演出家またはプロデューサー
七 テレビジョン放送の演技者、演出家またはプロデューサー
上記のように、契約の内容・性質により印紙の要/不要が変わるため、新たに契約するたびに混乱する企業担当者が多いかもしれません。
ストレスチェック実施の契約書はどうなる?
ストレスチェック制度の大まかな流れは、以下の手順を踏んでいきます。
① 導入前の準備(実施方法など社内ルールの策定)
② 従業員への質問票の配布・回答
③ ストレス状況の評価・医師の面接指導の要否の判定
④ 受検結果の通知
⑤ 従業員から申出があれば医師による面接指導
実施者が医師や保健師などの医療職に限定されているため、必要な人員体制をすべて社内で整備できる企業は多くないと思われます。
社内で整備できない場合、実施者としての対応が必要な②~④は、外部委託となるでしょう。
その際、外部委託先との契約書には印紙が必要でしょうか?
ストレスプロフィールや集団分析結果等、本人への結果通知に関する書類が成果物となるため、「工事の請負契約」などと同様に、印紙が必要だと思われるかもしれません。
ところが、確かに成果物は納品されますが、ストレスチェック制度は、その名の通りストレス度合いのチェック(検査)を目的としており、検査実施に関する「委任契約」となります。
そのため、印紙税はかかりません。
検査を目的とする「人間ドック」などと同類の契約と考えれば、理解しやすいでしょう。