職場における積極的な検査の実施について解説します!
- 2021/7/9
- 新型コロナウイルス
新型コロナウイルス感染症への国としての対応は、新型コロナウイルス感染症対策本部が策定する「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」に基づいて行われています。
「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」は適宜改訂が行われており、2021年5月28日には、職場における対策として以下が新たに盛り込まれました。
職場においても、健康観察アプリも活用しつつ、軽症状者に対する抗原簡易キット等を活用した検査を実施するよう促し、陽性者発見時には、幅広い接触者に対して、保健所の事務負担の軽減を図りつつ、迅速かつ機動的にPCR検査等を行政検査として実施する。
このため、学校及び職場等における検査の実施体制及び促進策、重点的な働きかけを行う職場その他の関連する事項について早急に具体化を図る。
職場での検査については「職場における積極的な検査等への実施への協力のお願い」にまとめられています。
今回は、「職場における積極的な検査等への実施への協力のお願い」をもとに、職場での検査体制、実施手順をわかりやすく解説します。
職場での検査体制、実施手順
職場における検査体制や実施手順については、「事情場内に診療所が存在するか否か」で変わってきます。
◎ 事業場内に診療所が存在する場合の実施手順
従業員1,000名以上の事業場(業態によっては500名以上の事業場)には専属産業医が在籍するなどして、事業所内に診療所が開設されていることがあります。
この場合の検査体制については、診療所と健康管理部門が連携のうえ、抗原簡易検査キットを入手のうえ、整備していくことになります。
また、従業員の健康管理は、体温などの記録ができ、毎日の健康状態が把握できる「健康観察アプリ」の導入が推奨されています。
具合が悪い、または体調不良を訴える従業員が出た際には、診療所で抗原定性検査やPCR検査を行います。
診療所の医師が確定判断を行うことができ、「陽性」と診断した場合は、保健所に報告、確定診断を行えない場合は、別途医療機関を紹介します。
◎ 事業場内に診療所が存在しない場合の実施手順
診療所が存在しない事業場の場合も、基本的には「事業所内に診療所が存在する場合の実施手順」と対応はさほど違いはないものの、診療所の代わりにコロナ診療を行える医療機関と連携し、進めていくことになります。
具合が悪い、または体調不良を訴える従業員が出た際には、提携医療機関で抗原定性検査やPCR検査を行います。
要請判明後の対応
事業場内診療所の有無にかかわらず、要請判明後は、事業場内で「接触者」を特定し、すみやかに以下の対応を行います。
① 自宅勤務を指示(発症日2日前、最終接触日の遅いほうから2週間を目安)します。
ただし、確定診断が「陰性」だった場合や保健所から濃厚接触者として特定されず、②の検査でも陰性であった場合は、自宅勤務を解除します。
② 感染拡大地域において、確定診断が「陽性」だった場合には、事業所側で検査の対象者を決めて保健所に対象者リストを提出し、「接触者」に対してPCR検査を実施します。
自宅勤務している従業員に対しては唾液検査キットを送付してください。
なお、PCR検査は行政検査として取り扱われます。
さいごに
ポイントとなってくるのは、実際の行動主体が「事業場」である点です。
診療所の有無にかかわらず円滑に進めるうえでは、社内では体調不良時の自宅静養のルール、さらに事業場と保健所との対応フローが欠かせません。
すでにマニュアルなどを作成されている事業場も多いと思いますが、改めて見直し、改定を行いましょう。
また、2つめのポイントとして、自宅療養者に対して事業場側から送付する「PCR検査」が「行政検査」として取り扱われ、事業場での取り組みの重要性、重責が以前よりも増しているといえます。
初動時に扱う「抗原簡易検査キット」については、厚生労働省サイト内に承認済みのもの一覧が掲載されています。
◆ 厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の体外診断用医薬品(検査キット)の承認情報」
<参考>
・ 一般社団法人日本経済団体連合会「職場における積極的な検査等の実施への協力のお願い」
・ 内閣官房「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」