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フリーランスはどうなる?「雇用」に該当するかの判断基準を徹底解説!
- 2021/7/12
- ワークライフバランス, 働き方改革
2021年3月26日、内閣官房、公正取引委員会、中小企業庁、厚生労働省の連名で「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」が公表されました。
「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」策定の背景
近年フリーランスについては、多様な働き方の拡大、インターネットを通じて短期・単発の仕事を請け負う形態(ギグエコノミー)の拡大、社会保障の支え手の増加などに貢献することで期待されています。
しかし、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、フリーランスとして働く人に大きな影響が生じている状況を踏まえ、2020年7月に閣議決定された成長戦略実行計画において、フリーランスとして安心して働ける環境の整備を行うこととなりました。
今回は「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」のうち、「現行法上「雇用」に該当する場合の判断基準」をもとに、フリーランスに労働関係法令が適用される判断基準をわかりやすく解説していきます。
労働者性の判断基準は「使用従属性」が認められるかどうか
労働関係法令の適用に当たっては個々の働き方の実態に基づいて、「労働者」に当たるか否か(以下、「労働者性」という)が判断されます。
日本の労働関係法令における「労働者」の概念は大きく分けて2つあり、労働基準法と、労働組合法に規定されています。
まず、労働基準法上の「労働者性」は、「使用従属性」が認められるかどうかによって判断されます。
そして「使用従属性」が認められるかどうかは、他人の指揮監督下において行われている労働かどうか、報酬が指揮監督下における労働の対価として支払われているかどうかによって判断されます。
「使用従属性」が認められるかどうかポイントとなる、指揮監督下の労働であるか否かは、下記4つの判断基準に基づきます。
・ 仕事の依頼、業務従事の指示等に対する諾否の自由の有無:発注者等から具体的な仕事の依頼や、業務に従事するよう指示があった場合などに、それを受けるか受けないかを受注者が自分で決めることができるか
・ 業務遂行上の指揮監督の有無:業務の内容や遂行方法について、発注者等から具体的な指揮命令を受けているかどうか
・ 拘束性の有無:発注者等から、勤務場所と勤務時間が指定され、管理されているか
・ 代替性の有無(指揮監督関係を補強する要素):受注者本人に代わって他の人が労務を提供することが認められているか。 受注者が自分の判断によって補助者を使うことが認められているか
また労働組合法上の「労働者性」は、下図の①~③の基本的判断要素が満たされた場合、3つの要素が満たされない場合であっても、④~⑤の補充的判断要素や、⑥の消極的判断要素を合わせて総合判断することにより肯定される場合もあります。
基本的判断要素の、判断基準は下記に基づきます。
・ 事業組織への組み入れ:労務供給者が相手方の業務の遂行に不可欠ないし枢要な労働力として組織内に確保されているか
・ 契約内容の一方的、定型的決定:契約の締結の態様から、労働条件や提供する労務の内容を相手方が一方的・定型的に決定しているか
・ 報酬の労務対価性:労務供給者の報酬が労務供給に対する対価又はそれに類するものとしての性格を有するか
まとめ
今回は「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」のうち、「現行法上「雇用」に該当する場合の判断基準」をもとに、フリーランスに労働関係法令が適用される判断基準をわかりやすく解説しました。
フリーランスに対して労働関係法令が適用される基準を見てきましたが、今後、国全体としてフリーランスという働き方の選択肢を伸ばしていくという方向にある中で、このガイドラインはフリーランス側のみならず、フリーランスと契約をしようとする事業者にとっても重要な内容になるでしょう。
<参照>
内閣官房、公正取引委員会、中小企業庁、厚生労働省 「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」