すれ違いざまの一声が生産性向上に役立つ理由

雑談は、メンバーが持つ知識や情報を共有するためのツールとして重要であるといわれています。
実際に、企業がメンバー間の雑談を誘発するために休憩室等の活用へ取り組み、自然なコミュニケーションが生まれる場が積極的に作られるようになってきました。
雑談が注目されはじめた背景には、インターネットの普及によりビジネスサイクルが短くなってきており、上司が時間をかけて部下を指導して必要な知識をすべて引き継ぐことが難しくなってきていることが挙げられます。
変化の速い現代では、現場で働く人は自ら学習し、知識やノウハウを身につけ、行動していく力が求められており、こうした環境下で雑談によってメンバー間の信頼関係を築くのはもちろん、生産性向上に大きな効果を発揮しています。

コールセンターでの研究

組織の生産性に影響を与える要因を職場の活発度の観点から調べた研究があります。
研究ではウェアラブル端末を用いて、コールセンターで働くメンバーの活性度(身体的な動きの度合い)や対面コミュニケーションの時間等を測定したところ、業務中ではなく、休憩中の職場の活性度が生産性に影響することが明らかになりました。
その他、インフォーマルコミュニケーションを誘発するしくみによって組織学習につながる雑談を発生させるなどの研究がされています。

マグネットスペースの活用

マグネットスペースとは、休憩室やコピー機、給湯室など磁石のように人々が自然と集まるスペースのことです。
普段は、決まった部署のメンバー間でしか関わりがないという声も少なくありません。
そのような環境下において、マグネットスペースでは、同じ部署はもちろん、他部署のメンバーともコミュニケーションが生まれ、新しい発見の機会が多く見られます。
そんなマグネットスペースを活用している代表的企業を紹介します。

まず、1社目がGoogle社です。
世界各国特徴はバラバラですが、休憩室においては社員がストレスなく快適に過ごせるように特化しており、クリエイティビティ溢れるデザインとなっています。

2社目は、LINE株式会社です。
LINEでは、社内カフェの床に、あみだくじや、けんけんぱといった遊び心が加えられており、コミュニケーションの機会をカバーしています。

すれ違いざまの一声も有用

インターネットの普及によって、アナログ的なコミュニケーションが減ってきているうえ、働き方改革が推進され、雑談の時間を無駄ととらえる傾向もある昨今。
確かに淡々と作業をこなすことで個々人の生産性は上がるかもしれません。
しかし、組織全体を見た時に風通しの良い働きやすい職場をつくることができれば雰囲気が明るくなり、雑談から発想やアイディアが生まれる可能性もあります。
休憩室や通路でメンバーとすれ違ったときには、一言声をかけてみてはいかがでしょうか。

<参考>
・ 渡邊純一郎、藤田真理奈、矢野和男、金坂秀雄、長谷川智之「コールセンタにおける職場の活発度が生産性に与える影響の定量評価」(「情報処理学会論文誌」Vol.54 No.4(2013年4月15日発行))
・  浦山大輝、北村尊義、上東大祐、石井裕剛、下田宏、藤野秀則「組織学習につながる 雑談の誘発方法の提案」(ヒューマンインタフェースシンポジウム2015)
・ 藤野秀則、北村尊義、下田宏、石井裕剛、浦山大輝、大倉杏菜、西口幸太、棟友優香「業務における知識継承・情報共有を促す「休憩所での雑談」を 生み出す仕掛け」( 

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西口 新株式会社ドクタートラスト

投稿者プロフィール

前職は、いわゆるブラックと言われる環境でした。「働き方改革」と無縁の状況を体験しているからこそ、綺麗事だけでなくそういった環境で働いている人にも役立つ情報を提供できればと考えています。
【保有資格】健康経営アドバイザー

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