職場環境改善、人事部との連携は必要?メリットって?
- 2021/10/15
- 労働環境
職場環境改善に取り組んでいる企業さまが年々増加し、弊社にも具体的な施策についてのお問い合わせが増えています。
「ストレスチェックの結果をどのように活用すれば良いか分からない」
「衛生委員会で議論した内容はどのようにすれば良いのか分からない」
「相談窓口を設けているが活用できてない」
こんな悩みございませんでしょうか。
結論として、職場環境改善にあたっては人事部との連携は必要です。
「当たり前のことでは?」と思う方もいるかもしれませんが、意外にも人事部ではない部署の担当者の方が1人で職場環境改善と向き合い、頑張っていることが多いです。
今回は、人事部と連携するメリットから他社事例について紹介していきます。
そもそも人事機能とは?
そもそも人事部の機能としては、何があるのでしょうか。
主に下記4つが挙げられます。
採用:企業にとって必要な人材を確保します。
オペレーション:給与計算をはじめ配置転換、昇給・昇格制度の構築等を行います。
ビジネスパートナー:事業の成長と戦略実行について、人事面から支えます。
人材開発、組織開発:社会人としてのビジネスマナー教育をはじめ、企業と社員の価値観のすり合わせ、社員がイキイキと働ける環境づくりを行います。
職場環境改善には、上記の人事機能のすべてが関係しています。
企業のビジョンに共感し、組織の成長に貢献してくれる人材の確保からメンバーが持つ能力を最大限に発揮できるよう配置などを行います。
また、経営戦略を理解したうえで、必要に応じたスキルが身に着けられるよう教育を行ったり、組織の課題解決に向き合うことが人事部としての役割になります。
人事部との連携メリットとは?
企業従業員数が50名を越えると、(安全)衛生委員会の立ち上げをはじめとして、産業医の選任、ストレスチェック実施、相談窓口の設置などを行うことになり、組織としてさまざまな課題が見つかります。
・ 慢性的に長時間労働が続いている。一部の者に偏っている
・ ストレスチェックの結果から、とある部署で人間関係が不良との結果が出た
・ ハラスメントを受けていると相談があった
こういった組織としての問題が表出したとき、担当者個人の力だけではどうすることもできません。
そんな時こそ、人事部と連携し、組織構造を変化させることで課題の解決を図ります。
また、担当者個人として動く際に角が立ってしまうことを懸念される場合も多いと思います。
第三者であり、かつ中立な立場として人事部が動くことにより公正な対処を行うことができ、対応後に後味が悪くなるといったことを避けることもできます。
人事部と連携した職場環境改善策の具体例
ここでは、人事部と連携して行った職場環境改善策を2つ紹介します。
★ケース1★
<課題>
ストレスチェックの結果から、特定の部署で上司と部下の関係が不良との結果が出た。
部署のメンバーも怖くて意見できない。
実施事務従事者として個人でその部署に介入すると角が立つため何もできていない。
<対応策>
人事部として全従業員にアンケートを実施してみましょう。
特定の部署にのみアンケートの実施をすることは、角が立ってしまいます。
そのため、全社的にアンケートの実施を行い、
・ 自部署における不安、懸念点
・ 他部署における不安、懸念点
・ 組織への要望
について詳しく確認します。
ここでのポイントは、「他部署における不安、懸念点」も確認することです。
自部署における不安、懸念点について、場合によっては「意見を挙げた後が怖くて正直に答えられない」という方もいるからです。
第三者からみてもこういった懸念点、事実があると分かれば、その後の対応について動きやすくなるでしょう。
★ケース2★
<課題>
ハラスメントを受けていると相談窓口に通報があった。
<対応策>
こちらもケース1と似ていますが、該当部署のメンバーをはじめとして、他部署のメンバーにもヒアリングを行います。
このとき、「ハラスメントの相談があって事情聴取をしている」とするのはあまりお勧めしません。
緊急を要する場合には良いかもしれませんが、まずは人事部として社員がイキイキ働ける環境づくりのため、直近の課題ヒアリングや今後のキャリアプラン構築に向けた話し合いの場として設けます。
そのなかで、「何か気がかりな点はある?」と確認し、ハラスメントに関わる発言があるようであれば、それとなく確認するのです。
ここでポイントは、上司と部下の1on1ミーティングでは問題は解決しないということです。
その上司がハラスメントをしている場合もありますし、部下からハラスメントを受けている場合もあるでしょう。
当たり前のことを……と思われるかもしれませんが、意外と部署内の1on1ミーティングはあれど、人事部等との1on1ミーティングを設定していない会社は多いものです。
担当者はもちろん、他の部署のリーダーが、該当部署に介入することも組織としてあまり好ましくないため、第三者の立場である人事部機能として行うのが良いでしょう。
会社の従業員規模が大きくなるにつれ、様々な価値観を持った方が増え、組織内での問題が数多く発生します。
これまでのように1人の力でなんとかなっていたことが、50名を越えた途端難しくなります。
組織の成長のためには、衛生管理者やストレスチェック実施事務従事者などの担当者と人事部との連携が必要不可欠です。
衛生管理まわりを担当している方は人事部へ協力を仰ぎ、人事部の方も担当者の方へ、「何かできることない?」と声をかけてみてはいかがでしょうか。