あなたの睡眠障害はどのタイプ?~5人に1人は不調を感じる時代〜
- 2021/10/14
- 睡眠
「よく眠れていますか?」
こう聞かれて迷いなく「はい」と答えられる人はどのくらいいるでしょうか?
厚生労働省の「国民健康・栄養調査」(2018年)によると、日本人の約5人に1人は「十分な睡眠を取れていない」「なんらかの不眠がある」と答えていて、年齢が上がるとよりその傾向が強くなります。
子供の頃は夜になると自然と眠くなり、朝になったら自然と元気になっていたのに。
そう感じる人もたくさんいることでしょう。
長引くコロナ禍における様々な不安や、リモートワークによる活動量の低下も相まって、睡眠にトラブルを抱えている人が増えています。
あなたの睡眠障害はどのタイプ?
睡眠に何らかの問題を抱えた状態を「睡眠障害」、それが1ヶ月以上続き、日中の活動に影響が出た状態を「不眠症」といいます。
平均的な睡眠時間は7時間ほどとされていますが、それより短い人も長い人もいます。
5時間ほどの睡眠でも翌日の体調に問題がなく元気に活動できれば、睡眠障害ではありません。
反対に8時間寝ているのに倦怠感や眠気が続き、やる気が低下するなどの症状があれば「睡眠障害」といえます。
睡眠障害には4つのタイプがあります。
① 入眠障害:寝付くのに時間がかかる
② 中途覚醒:寝付くことはできるが、途中で何度も目覚めてしまう
③ 早朝覚醒:起きる予定ではない早朝に目が覚めてしまう
④ 熟眠障害:ある程度眠っているのに、ぐっすり眠れた感覚が得られない囲
このほか「入眠障害+中途覚醒」のように混合したタイプもあります。
不眠を起こす原因はさまざまで、「こころ」「からだ」「生活リズム」「環境」「薬や刺激物」など、数多くのものが睡眠に影響しています。
見落としがち、眠りを妨げるこんな要因
睡眠が大事だとわかっていても、なかなか実行できていない人が多いのではないでしょうか?
起きている間のことには気が回っても、意識のない時間のこととなると、おろそかになってしまうのかもしれません。
眠りの質にはストレスや不安などの精神面が大きく影響することはもちろん、寝る前のスマホ・テレビ・パソコンはNG、朝日を浴びるようにするなど、さまざまな対策法が知られていますね。
それ以外にも眠りを妨げる、見落としがちな点をいくつかご紹介します。
当てはまるものはありませんか?
① 寝酒
お酒を飲んですぐに眠り、2〜3時間で一度目が覚めてしまった経験はありませんか?
「寝酒」という言葉があるくらいポピュラーな習慣ですが、質の良い睡眠には逆効果。
アルコールは眠気を誘うので一時的に寝つきは良くなりますが、アルコールが代謝される途中で睡眠のリズムに影響を与えるので、浅い眠りが増えて中途覚醒が多くなります。
アルコールの血中濃度のピークは30分〜2時間程度なので、寝る2時間前を目安に飲酒を終えるのが理想です。
② いびき
周りの人に「いびき」や「無呼吸」を指摘されることはありませんか?
「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」といって、睡眠中に気道(空気の通り道)が狭くなり、大きないびきをかいたり一時的に呼吸が止まってしまうことがあります。
当の本人には無呼吸の自覚がないのですが、睡眠中に何度も(何十回も!)呼吸が止まることで体には大きな負担がかかり、寝た時間の割に熟眠感がなく、疲れがとれない状態に陥ります。
これは熟眠障害に当てはまります。
睡眠中に機械でモニタリングすることで、SASかどうかを調べることができます。
SASに該当する場合は、治療を受けることで睡眠の質を改善できる可能性がありますよ。
③ 熱いお風呂
好みの問題もありますが、夜に熱めのお風呂に入ると交感神経のスイッチが入り目が冴えてしまいます。
疲れているのになかなか寝付けないなど、入眠障害の原因のひとつになります。
熱めのお風呂に入るのであれば、朝がおすすめ。
逆に夜は39〜40℃程度のリラックスできる温度に設定するのが良いでしょう。
④ 睡眠剤
不眠症で薬を内服している方のなかには、症状と薬の種類が合っていないケースが見られます。
いわゆる「睡眠薬」と呼ばれる薬には、作用時間が短いもの、長いもの、不安を和らげるもの、睡眠に関わるホルモンを補充するものなどさまざまな種類があります。薬を飲んでいるのによく眠れない時は、主治医と相談しながら薬の調整を考える必要があります。
薬の量を増やさなくても、種類を変えることで良い眠りにつなげられる場合もありますよ。
さいごに
忙しいと(楽しい時も!)真っ先に削ってしまうのが「睡眠時間」かもしれません。
しかし、眠っている時間=何もしていない時間ではなく、心や体に受けたダメージを一生懸命修復する大切な時間と捉えてみてください。
人間が生きていくうえで「睡眠」はなくてはならない基本的欲求のひとつです。
美味しい食事をとったり、素敵な服を着たりするのと同じように、寝ている間の自分のことも、今よりちょっと大切にしてみませんか?
<参考>
厚生労働省「国民健康・栄養調査」