ビジネスネームと多様性の時代
- 2021/10/12
- 労働環境
皆さまは「ビジネスネーム」という言葉からどのようなものを連想されますでしょうか。
仕事上で使用する、本名とは別の名前
出典:小学館
ビジネスネームとは上記のように定義され、
・ 旧姓の使用
・ 創作活動や芸能活動における芸名
・ 接客業における偽名や源氏名
など、さまざまなケースがあります。
今回は、そんなビジネスネームについて考えてみたいと思います。
従来の用途
冒頭に例示したようなケースでは、以下のような目的で使用されております。
・ 旧姓から新姓へ通称を変更する手間の省略
・ 芸能活動をする上での知名度の向上
・ 本名を知られることによって起こり得る脅威からの従業員(もしくは自身)の保護
しかし、現在これらとはまた違った目的で使用されることがあるのをご存知でしょうか。
ビジネスネームとLGBTQ
従来、職場でビジネスネームを使う理由は、「旧姓の継続使用」や「従業員保護のため(コールセンターの電話番など)」などが多くを占めていました。
しかし昨今、多様な従業員(特にLGBTQ)への対応のためのビジネスネームという考え方が広まりつつあります。
取組としては、戸籍上の氏名による制約を受けず、自らの性自認に基づいて、社内外を問わず、自らの氏名を設定できるというものです。
取組紹介
賃貸仲介業のハウスコムでは、7月より従業員がお互いの人格・個性を尊重し、社会的差別や人権侵害を許すことなく、いきいきと働くことができる職場を築く制度として、ビジネスネーム「ハウスコムネーム」を導入しました。
同社では、2020年より、より働きやすい環境の実現のためにLGBTQへの対応として研修の実施や窓口の設置、採用におけるエントリーシートから性別欄の削除などさまざまな取組をしてきました。
また、一風変わった取組として、産業機械などのレンタルを事業とするレンタルのニッケンでは、ダイバーシティとはまた違う目的で、旧姓の仕様のみに限らないビジネスネームをなんと1987年より導入していました。
同社ではこの取組において、会社を劇団、社員を役者と見立てた「公私の区別」を最大の狙いとしており、「会社の玄関をくぐったらスイッチを切り替えてプロ意識をもって働くこと」、そして「仕事を離れて家に帰れば、個人の時間や家族・友人を大切にしてほしい」という会社からのメッセージでもあるとのことです。
今回ご紹介したような取組はあくまで一例であり、ビジネスネームという制度にこだわらずとも、すべての社員がいきいきと働けるような職場環境づくりという目的意識が肝要ですね。
<参考>
・ ハウスコム株式会社「ハウスコム、ビジネスネームを導入~多様性を尊重し、いきいきと働くことができる職場の実現へ~」
・ 株式会社レンタルのニッケン 「ビジネスネームについて」