事業の継続が要請されている事業場で注意することは?~新型コロナウイルス感染症~
- 2020/4/25
- 新型コロナウイルス
2020年4月20日、厚生労働省は「緊急事態宣言時に事業の継続が求められる事業で働く方々等の感染予防、健康管理の強化について」(以下、指針 という)を公表し、労使団体などに対して協力を依頼しました。
指針公表の背景と概略
今回の指針公表は、緊急事態宣言時に際しても事業の継続を求められる企業における感染症対策について、厚労省から各労使団体・業種別事業主団体に対して周知の協力を要請したことによるものです。
内容は、2020年4月16日に改正された「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」に基づくものとなり、対象業種はこの基本的対処方針に示されています(参考資料ⅰ「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」25頁)。
指針では、事業の継続が求められる企業においても、まずは「在宅勤務(テレワーク)」を最大限利用して、必要最低限の出勤とすることが基本的な姿勢として示されています。
また、職場への出勤が必要な労働者についても、①交代勤務や時差通勤を導入して人と人との接触機会を極力低減すること、②TV会議などを利用し外出を減らすこと、③換気の徹底や対人距離の確保を通じて「三つの密」の回避を徹底することが求められています。
最新情報は、厚生労働省「新型コロナウイルス感染症について」を逐次確認することが同時に求められています。
事業を継続する職場における感染予防対策
対人サービスが中心である業種など、在宅勤務が困難な業種・職種については「職場における新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するためのチェックリスト(参考資料ⅱ)」を参考として、職場の実態に即した、実行可能な対策の検討が必要です。
この対策は大きく「職場内」と「外勤・通勤中」に分けられます。
⑴ 職場内での感染防止行動の徹底
(換気の徹底)
・ 換気設備が基準を満たしているかの確認
・ 窓を全開にしての換気
(接触感染の防止)
・ 物品の共用の回避
・ 労働者が振れる可能性のある共用部・共用物品のこまめな消毒
・ こまめな手洗いの励行や手洗い場における掲示
・ (入手可能であれば)手指消毒用アルコールの設置
・ 社外関係者に対する感染防止措置への協力の要請
(飛沫感染の防止)
・ 咳エチケットの徹底
・ 換気等の励行
・ 人が集まる形での会議等の回避
・ 社外の人との接触の回避や、回避できない場合には距離の確保やマスクの着用
(一般的な健康確保措置の徹底等)
・ 疲労の蓄積(免疫の低下)に繋がる長時間労働の回避
・ 十分な栄養摂取や睡眠の確保による健康管理
・ 定期的な体温測定など、各個人が自身の健康状態の把握について配意すること
⑵ 通勤・外勤に関する感染防止行動の徹底
(接触感染の防止)
・ 出社・帰宅時の手洗いや手指のアルコール消毒の徹底
(飛沫感染の防止)
・ 咳エチケットの徹底
・ 公共交通機関での集中を回避するため、時差通勤の他、公共交通機関に頼らない方法の積極的な活用(自転車・徒歩通勤等)
・ 公共交通機関を利用する際は不必要な会話を抑制
⑶ 特に注意が必要な業種・職種
指針では、医療関係者、旅客・貨物運送業の運転者、介護・福祉労働者、保育所等の労働者、宿泊施設の労働者は特に留意する必要がある
事業場で風邪症状を呈する労働者や陽性者等が発生した場合の対応
また、風邪症状を呈する労働者または陽性者が発生した場合の対応も詳解されています。
⑴ 風邪症状を呈する労働者への対応
新型コロナウイルス感染症に感染した場合、発生初期の症状は普通の風と見分けがつきません。
そのため、風邪症状がみられる労働者については、新型コロナウイルス感染症に感染している可能性を考えた労務管理が求められ、具体的には下記のような対応が必要とされます。
・ 対象者への出勤免除の実施や在宅勤務の指示、外出自粛の勧奨
・ 労働者を休業させる際は、欠勤中の賃金の取り扱いについて、労使で十分に話し合い、協力のもと、労働者が安心して休暇を取得できる体制を整えること
・ 医療機関を受診するためなど、やむを得ず外出する際には公共交通機関の利用は極力控えるよう注意喚起をすること
・ 「新型コロナウイルス感染症についての相談の目安(参考資料ⅲ8頁)」を労働者に周知・徹底し、該当する場合には電話相談をするよう促すこと
⑵ 陽性者等が発生した場合の対応
事業者においては、職場に新型コロナウイルス感染症の陽性者や濃厚接触者が発生した場合に備え、以下のルールを盛り込んだ対応ルールの作成・周知が求められます。
・ 事業者への報告に関すること
・ 保健所との連携に関すること
・ 職場の消毒等が必要になった場合の対応に関すること
・ 陽性者等になったことをもって不利益な取り扱いや差別を受けることはないということ
・ その他休業や賃金の取り扱いに関すること等
指針では合わせて「職場における新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するためのチェックリスト」が示されています。
各事業場でこれらを活かし、従業員を守っていきましょう。
<参考>
・ 厚生労働省「緊急事態宣言時に事業の継続が求められる事業で働く方々等の感染予防、健康管理の強化について、経済団体などに協力依頼しました」